世界のスポーツ・エンタメを知ろう![SCRUM CONNECT 2024 Report Vol.2]

March 14, 2024 イベントレポート

テクノロジー×スポーツ・エンタメの大きな潮流

2024年2月29日に開催したSCRUM CONNECT 2024レポートの第2弾をお届けいたします。第1弾はこちら。

今回は観戦の敷居が少し高いゴルフという競技のエンターテイメント性を高めようとしているTGL(運営 TMRW Sports)のJoey Branderと、US発のK-POPエージェンシーを企画しているTITAN CONTENTのNikki Semin HanのFireside Chatと、ArcturusのKamal Mistry、Misapplied SciencesのAlbert Ng、Project AdmissionのStephen Glickenによるパネルディスカッションの様子をお届けしましょう。

ゴルフをもっとエキサイティングなエンターテイメントに

TGLについては、日本でも大きなニュースになってたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

今回は、TGLを主催するTMRW Sportsのファンディングチーム& VPのJoey Branderが登壇して、TGLについて説明してくれました。モデレーターはScrum Ventures General Partnerの清重和弘が務めました。

ゴルフは、人気のスポーツではありますが、ワンプレーで約4時間もの時間がかかり、現地で観戦するには18ホールをついて歩かねばなりません。ところが、競合する多くのエンターテイメントは、どんどん短い時間で簡単に楽しめるようになってきています。ゴルフを短時間で観戦できるエンターテイメント性の高いスポーツにしようというのが、TGLのチャレンジです。

TGLはテクノロジーを駆使したアリーナゴルフによるゴルフリーグで、競技場はアメリカンフットボールのフィールドサイズ。そこに約2000人の観客席が周りを囲みます。ロングショットは64×46フィート(約20×14m)の大スクリーンを使ったシミュレータで行い、実際にボールが飛ぶのは35ヤード、その後はスクリーンの中のグラフィックスで表示されます。

ショートパッドはスタジアムの特設グリーンにおいて行います。このフィールドはバスケットボールコート4面ほどのサイズで、189個のアクチュエータで自由に地形を変えられます。そして、ロングショットのステージも、ショートパッドの特設グリーンも、観客席に座ったまま観戦できるように工夫されています。このTGL競技場の最初のひとつは、アメリカフロリダ州のウエストパームビーチに建設中です。

競技場が観戦しやすいだけでなく、参加する選手も特別です。TGLには、PGAツアーに参加するトッププロが参加でき、個人戦ではなく3人一組のチーム戦となっています。6チーム、総勢18人で、白熱したエンターテイメント性の高い戦いが見られるように工夫されています。また、それぞれのチームには、従来さまざまなスポーツのチームのマネジメントを行ってきた企業や個人がオーナーとなっています。

さらに特徴的なのは大谷翔平、ルイス・ハミルトン、ジャスティン・ティンバーレイク、セリーナ・ウィリアムズ、ステフィン・カリーなど、多くのスポーツ選手やミュージシャンなどが、このプロジェクトの株主になっていることでしょう。彼らがその動向について、いろいろとSNSに投稿するわけです。そのフォロワー総数はなんと4.3億にも及び、TGLのパブリシティにおいて大きな好影響を与えることが約束されているのです。

「若い世代の人も、ゴルフを観たいと思っています。スポーツ観戦はリアルタイムで見たいものです。しかし、Netflixをはじめとしていろいろなコンテンツがある中で、観戦に割ける時間はどんどん短くなっています。また、どうせ見るなら、トップアスリートのスーパープレイを見たいものです。そこで、2時間ぐらいで、アメリカのプライムタイムに、有名な選手が集って行うゴルフゲームを作ろうとしています。有名選手がプレイするのを全ホール、目の前で見られるのです」とJoey Branderは語りました。

アメリカ発、世界行きの K-POPプロダクション

次に、宮田ともに登壇したのはTITAN CONTENTのChairman of the BoardであるNikki Semin Hanです。Nikki Semin HanはBOAや少女時代を輩出した韓国の大手芸能プロダクションSM Entertainmentの元CEOで、今回新たにアメリカでTITAN CONTENTを立ち上げました。

K-POPは、韓国や日本で人気があるのはご存知の通り。しかし、すでにこれら二つの市場に依存しておらず、世界中に広まっています。世界のK-POP市場のうち、韓国は15.71%、日本は7.98%と両方合わせても全体の1/4にも及びません。続いて、インドネシア、インド、アメリカ、タイ、メキシコ、フィリピン、アルゼンチン、ブラジルなど、K-POPは世界中で人気を博しており、2031年までに21Bドル(約3兆円)規模にまで成長するといわれています。

TITAN CONTENTは、初めてアメリカに設立されたK-POPエージェンシーで、当初からグローバルでの展開を計画してプランニングされています。そして、リアルワールドだけではなくデジタル世界でも展開するデジタルツインで、2028年までに6グループがデビューする予定です。

「従来、多くのK-POPの会社は、韓国でスタートして、アジアで成長し、最終的にアメリカのマーケットを目指しました。ご存知のように、アメリカは世界で最も先進的で大きなマーケットです。それなら、最初からそこで始めればいいのではないかと、私は思ったのです」と、Han氏は話しました。

「オーディションは、LAから始まり、西海岸の各都市で行い、そしてNYへ。カナダに行って、オーストラリアのシドニー、翌週にはメルボルン。日本の大阪や東京へやって来ます。そのあと、多くのアジアの都市へも。バンコク、台北、香港、ホーチミン、シンガポール、クアラルンプール……このグローバルオーディションで、我々は20以上の都市をめぐります。我々のオーディションは驚くべきダイバーシティに満ちています。K-POPであるにもかかわらず、アメリカでオーディションに参加したのは80%以上がアジア人以外です。NYで開催したオーディションにはフロリダや、プエルトリコからやってきた人もいました。すでにアメリカには多くのK-POPファンがいて、TITANのオーディションに参加したいとやって来るのです。TITANは過去例のないインターナショナルなK-POPグループを見い出すことができるのです。BLACKPINKのLISAはタイ人ですが、彼女がいることでタイ人のみならず、多くの東南アジア、そして世界中のファンを惹きつけています」

「来年には、男女のグループをそれぞれひとつずつデビューさせるつもりです。そして、それだけでなくユニークなコンテンツ、ファンが参加できるアクティビティを今年中にリリースします。また、Web3のブロックチェーン技術を使った透明性のある、ファンのみなさんがグループと一緒に成長できる仕組みも提供する予定です」と語りました。

世界のベンチャーから見た日本市場の魅力は?

続いて、Scrum Studioのプログラムマネージャーである宇都宮沙織のモデレーションで、ArcturusのCEO Kamal Mistry、Misapplied Sciencesの共同創業者兼CEO Albert Ng、Project Admissionの共同創業者兼 CEO Stephen Glickenに、日本にどういったことを期待するのか? それぞれのアングルから、スポーツエンターテイメントをどう捉えているのか? などを話してもらいました。

Arcturusは、3Dボリュメトリック動画という多視点映像を撮って圧縮する技術。スマホで使ったり、放送に使ったり、VRやメタバースに使われたりしています。

Misappliedは、同じディスプレイなのに見る人によって、違う映像が見えるという技術。パーソナライズされたパラレルディスプレイ。ひとつのディスプレイで、最大100人以上の人に違う映像を見せられます。

Project Admissionはチケッティングのソリューションを提供しています。リアルタイムでのインベントリ管理や、ファンエンゲージメント、物販との連携を実現しています。すでにMLB、NBA、NFLなどでも導入されています。

ArcturusのKamalは「日本はVRやXRにおいて先進国だし、日本の人たちは新しい技術に対して積極的です。そして、日本はスポーツ観戦においても非常に先進的な市場を持っています」と話しました。MisappliedのNgも日本市場に参画することを楽しみにしているとのことです。

「僕はみなさんもご存知のように日本の食べ物にすごく興味があるけど……」と切り出したのは、Project AdmissionのStephen 。「Project Admissionは米国市場のかなり広範囲において、主要なプレイヤーになっていますが、日本のライブイベントの領域で起こっている革新に参加できる機会に興奮しています」とのこと。

展示ブースで実際に触れるプロダクトも!

会場にはプレゼンテーションした企業を中心としたブースも出展されました。

ゲーム機をはるかに超えた、実際にレーシングチームも使っている500万円超のレーシングシミュレーターを展示したZENKAIRACINGや、東大発の藻類ベンチャーアルガルバイオが開発した良質な休息をとるための藻を使ったサプリメントMoneru、自動運転アルゴリズム開発環境のVirtual Motorsport Lab.に加えて、登壇ししたFeverやArcturus、 Misapplide Science、Bandit、 TMRW Sports、TITAN CONTENTS、 Project Admissionなどのブースが出展され、多くの人が実際にそれらの新しいテクノロジーを体験することができました。


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