コンバーチブルノート(convertible notes)ってなに?SAFE?KISSって?

May 12, 2016 by Guest Writer
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この記事はTMI総合法律事務所所属の弁護士3名(波多江氏、竹内氏、小川氏)が運営するサイト BizLawInfo.JP の記事を加筆修正の上、転載したものです。波多江氏、竹内氏、小川氏の3名は、日本とシリコンバレーに分かれ、コーポレート、投資、M&A、個人情報、知財等、幅広い分野で先端の法律実務に従事しています。BizLawInfo.JP では、日本とシリコンバレーのStartupの実務や日本企業の海外進出を取り巻く環境に関する法律問題などについて、積極的に情報を発信しています。

Convertible Noteってご存知でしょうか?SAFEとかKISS、聞いたことありますか?

これらはいずれも、シリコンバレー界隈で主流となっているシードファイナンスやブリッジファイナンスの手法です。Convertible Noteは一言で言えば、「将来的に株式に転換されるかもしれない借金」のことです。あくまで借金ですので、もちろん返済期限(Maturity Date)がありますし、利息もつくのが通常です。

次にSAFEというのは、もちろん「安全」…ではなく、「Simple Agreement for Future Equity」の頭文字をとったものです。KISSというのは「接吻」ではなく、「Keep It Simple Security」の頭文字をとったものです。

これらは著名なAccelerator Programの提供者であるY Combinatorと500 Startupsが開発したもので、どちらも基本的には「Convertible Equity」と呼ばれる類型に分類されるものです(KISSConvertible Noteに分類されるものもありますが)。こちらはEquityだけあって、借金ではありません。でも株式でもありません。いったいConvertible Noteとナニが違うのさ?という点については、おいおい説明していこうと思います。

さて、これらのConvertible Note(CN)やConvertible Equity(CE)がなぜシリコンバレー界隈でのシードマネー調達の主流になっているかというと、日本人的に分かりやすく言えば「安い」「早い」「ウマい」からなんです。​

1. 早い

Preferred Stockで投資してもらう場合と比較して、圧倒的に交渉や事務処理が早いです。この事務処理の中身として、「Valuationを決める必要がないため、時間が節約できる」だとか、「株式投資の場合、そのラウンドで投資する人の足並みを基本的にそろえなければならないため時間がかかるが、CNやCEにはその必要はない」などという説明がよくされているようです。BizLawInfo.jpはその2点の説明には懐疑的であり、むしろ、CNやCEが「早い」理由として「株式投資に比べて、圧倒的に書面の量が少ない」という点を強調しています。

株式投資ですと、通常のSeries Aであれば、タームシートからして数ページから時に10ページ以上、実際の契約書面になれば、合計で優に100ページを超える量になります。弁護士側でも、1st Draftの作成に、少なく見積もっても6~8時間程度(1-2年目のアソシエイト前提)、ちょっとややこしくなると10時間とか15時間とかかかり、その後の投資家側のレビューや交渉、書面の修正、さらに調印までの管理を含め、かな~〜〜りたくさんの時間を費やすことになります。Series AASeries Seedといった軽めの優先株式を利用したシードファイナンスを行う場合であっても、やはり書面は合計で50ページ前後にはなるでしょうか。

それにくらべてCNときたら…タームシートは1枚(か2枚)、Note本体の書面は2-3ページ、Note Purchase Agreementは5ページ程度と、かなり分量が少ないです(内容にもよりますが)。CEもほぼ一緒で、10ページ以内には収まります。その分、文書作成の負担も激減します。極端な話、本当に典型的な条件のCNやCEでしたら、時には数十分で全部の書面ができてしまったりするわけです。

ということで、とにかく「早い」。

2. 安い

上記のとおり、CNやCEは、圧倒的に書面の量が少なくて済みます。ということは、必然的に弁護士の作業量も激減します。資金調達の際の最大のコストは間違いなく弁護士費用ですので(笑)、それを大きく節約できるCNやCEは、調達額もそれほど大きくないSeed Financingにおいては、かなり魅力的ですね。

ということで、とにかく「安い」。

3. ウマい

CNやCEは、シードファイナンスやブリッジファイナンスによく使われますが、会社側からすると、向こう数ヶ月から1年(時にはもっと)の運転資金を一時的に獲得することで、将来もっと高いバリュエーションで資金調達を行うことができる(かもしれない)というメリットが得られます。

つまり、「あと少し頑張ればもっと有利な条件で資金調達ができそうだ」といった状況のときに、その「あと少し」の間を乗り切るだけの燃料を会社に与えることができる(かもしれない)ものが、CNやCEということです。

他方で、投資家側からすると、投資家はシリーズものの規模の大きな資金調達に行き着く前に橋渡し的にお金を入れることになりますので、その分リスクをとっていることになります。そのため、一般的には、投資家側に早めにリスクを取ってくれたリスク料(のようなもの)として、Valuation CapやDiscount Rateを通じて一定のプレミアムを付与しますし、CNやCEの転換が生じるようなシリーズものの資金調達の前にM&Aが生じた時には元本の2倍(あるいはもっと)返します、なんてされていることもあります。

ということで、会社側・投資家側の双方にとって「ウマい」。

したがって、CNやCEは「安い」「早い」「ウマい」。

CNとCEについてさらに詳しく知りたい方は、BizLawInfoのForum: Convertible Note/Convertible Equityを参考にしてください。


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記事提供: JP-US Legal Forum〜Business, Laws & Information BizLawInfo.JP
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