「未来の都市」をテーマにトヨタ・ベンチャーズとともにイベントを開催

December 20, 2021 イベントレポート

2021年11月サンフランシスコにて、スクラムベンチャーズは、トヨタ・ベンチャーズと共同で「未来の都市」をテーマにしたイベントを開催しました。パネルディスカッションには、ロサンゼルス、サンディエゴ、サンノゼのイノベーションオフィサーをはじめとする、スマートシティ分野のキーパーソンが登壇。気候変動、モビリティ、公平性など、都市が抱える主要な問題を中心に、イノベーションがどのように変化を促しているかを話し合いました。登壇者は以下のメンバーです。

  • Kirby Brady, Chief Innovation Officer, City of San Diego
  • Miguel Sangalang, Executive Director, City of Los Angeles
  • Jordan Sun Chief Innovation Officer, City of San Jose
  • Jim Adler, Toyota Ventures Founding Managing Director
  • Michael Proman, Scrum Ventures Managing Director [Moderator]

このイベントは、スクラムスタジオが主催する「SmartCityX」の2年目開始に合わせて行われました。「SmartCityX」は、スタートアップが大企業、メンター、投資家との密なコラボレーションを通じて、スマートシティに関連するプロダクトやビジネスの開発を進めることを目的とした、1年間のグローバル・アクセラレーション・プログラムです。消費者向けプロダクトやサービス、モビリティ、スマートビルディング、コネクティビティなどの分野で、私たちのライフスタイルを変えるスタートアップを支援しています。

パネルディスカッションの一部をご紹介します。

投資家がスマートシティ領域に求めているもの…

私たちはいつもスタートアップに、「Big、Broken、Open to disruptionなマーケットを追求しているか?」を聞いています。この3つが当てはまらなければ、基本的に興味を持つことはありません。もしこの3つを満たしている場合、問題は「どうやって変化を起こすのか?」「どうやってその市場にアクセスするのか?」です。スケールするためには、本日このパネルに参加しているような、実際の都市作りを行う方々も巻き込む必要があります。

私たちはモビリティやエネルギー関連の投資も行っています。新たなテクノロジーやプラットフォームがうまれていますが、実際の街に組み込むことも合わせて検討する必要があると感じています。

Jim Adler, Toyota Ventures Founding Managing Director.

現在直面している課題とは…

サプライチェーンの再構築を迫られています。パンデミックで巨大な需要と供給のミスマッチが生じているものの、サプライチェーンは以前より複雑化しているため、動かしながら最適解を見つけていく必要があるのです。20もの問題を一度に解決せねばならない状況で、再構築に時間がかかっています。

Jim Adler, Toyota Ventures Founding Managing Director.

人々の生活を向上させるために、効果的なテクノロジーを提供し続けたいと思っていますが、実はかなりチャレンジングです。今回のパンデミックにより、非常に多くの人々がそのようなツールにアクセスできないことがわかりました。サンディエゴでは、慈善団体と協力して、このギャップを埋めようとしています。図書館などの既存の施設でブロードバンドへのアクセスを提供したり、低所得者層に対して、ケーブルやブロードバンド料金を払う助成を行ったり、また中古のノートパソコンなどを提供したり。

とはいえ、ポケットにスマホを持っていない人は、情報にアクセスできないということなのでしょうか?パンデミックを通じて、いくつかの方法に気づくことができました。情報を伝える方法は、彼らがいる場所に行くこと、彼らに方法に合わせることです。電話をかけたり、コミュニティに出向いたりする必要があるのです。私たちは、街頭に人を配置して住民と話をしたり、希望するコミュニケーション方法を聞いたり、住民に代わってレポーティングしたりということを実行している最中です。

Kirby Brady, Chief Innovation Officer, City of San Diego

モビリティの未来について…

“地上よりも、空中で何が行われるかが重要”

この分野では、いくつかの大企業が際立った存在になると考えています。業界最高水準のパートナーや最高水準の投資家を参加させる際には、新しいモビリティ技術が公平な結果を生む必要があります。特に、空中利用(垂直方向の建築)に関しては、異なる都市やエリアをどのように再定義するかが重要です。サンタナ・ロウでの建設はうまく行くかもしれません。しかし、他の場所ではどうでしょう?そして、それは他の都市にどのような影響を与えるでしょう?ロスガトスであれ、サンタクルーズであれ、丘陵地帯のどこかであれ、事前に計画を立てる必要があります。しかし一方でまずどこかの場所を選んでスタートしなければなりません。どこかから始めるということは、関係する人全員が理解し、理解される必要があります。

Jordan Sun Chief Innovation Officer, City of San Jose

健康と安全のための代替エネルギーソリューションとは…

食料システム、エネルギーシステム、モビリティシステムなどのシステムがどう回っているかは、私たちの健康に大きく影響します。今、世界が目指す方向は、ローカルな食料、ローカルなエネルギー、そしてスケールの大きなマイクロモビリティに向かうことだと思います。

十分なエネルギーがあり、そのエネルギーを地元で生産できるのであれば、新しい原子力の設計が次々と生まれてきます。原子力というと悪いイメージがありますが、武器にならないよう、安全性を高めるための選択肢はたくさんあります。無駄を省いた核設計は、50メガワットという小規模な単位で無駄なく電力を供給することができ、送電網に頼らずに近隣の地域に供給することができます。つまり、24時間365日稼働する必要のある薬や医療機器は、大きな送電線を気にすることなく稼働することが保証されるのです。これが私たちの未来の姿だと思います。また、都市部で栽培された食品や、屋上の農場など、利用されていないスペースを利用したローカルフードも将来的には必要だと思います。

Jim Adler, Toyota Ventures Founding Managing Director.

まちづくりとDiversity Equity and Inclusionについて…

ロサンゼルス市で働くものとして、私たちは、あらゆる緊急事態に柔軟に対処する必要があります。私は、パンデミックの際にホームレスのシェルター支援に借り出されました。人々が助けを求める場所にいることが大事なのです。今後は、ハイブリッドモデル(対面式とオンライン式)が主流になると思います。特に市民の健康と安全のニーズに対応するためには、フレキシビリティは大事なポイントだと思います。

Miguel Sangalang, Executive Director, City of Los Angeles

このイベントは、サンフランシスコのギラデリ・スクエアにある美しいCulinary Artistasのスタジオで開催されました。パネルディスカッションの後、参加者と出席者は、素晴らしい景色を楽しみながら、食事や飲み物で交流を深めました。

 

 

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