パーソナライズで”フィジタル”なペットケア「Dr. Treat」 [Why We Invested]
このコンテンツはスクラムベンチャーズ Medium Dr. Treat: Why We Invested を翻訳したものです。
テクノロジーとデータを使ってペットケアを変革し、ペットの健康&ウェルネスを実現するスタートアップ「Dr. Treat」に投資しました。ファウンダーの Hetal Shah氏、Rakesh Tondon氏、Charlie Bowman氏は、愛するペットがより健康で幸せに暮らせるように、獣医と飼い主のあり方を見つめ直し、このサービスをスタートしました。
サンフランシスコを拠点とする「Dr. Treat」は、2022年に最初のクリニックをオープンしました。2021年時点で、米国の世帯の70%(9000万軒以上)がペットを飼っており、2019年の67%から3%上昇しています。3%というと小さな数字に思えますが、Forbesによる最近の調査によると、米国のペットの飼い主の78%が、パンデミック開始以降、新しいペットを迎えている(複数のペットを飼っている)という状況で、世帯数では3%の増加ですが、ペットの数はさらに増加しているという状況です。
ペット数の増加により、ペットケアの領域は人手不足に陥っています。従来のケアモデルの問題点を解消する、新たなソリューションが必要とされています。
イノベーションと変革が必要な業界
Forbesの調べでは、2022年上半期、米国のペット飼い主の3分の2が、ペットケアへの支出が増えたと回答しています。ちょうど、企業がオフィスに戻る方針を打ち出した時期であり、多くの飼い主達は、ペットが家で一人で過ごす時間が増えることに伴い、愛するペットがその環境に慣れるために、支出が増えたと話しています。
同時に、若い世代による、よりパーソナライズされた、より質の高いペットケアを求める流れもあるようです。
米国の18歳から39歳までの層では、5,100万人以上のペットオーナーがおり(2021年時点)、彼&彼女らはペットの生活の質を向上させるために、新しくより良い方法を見つけることに投資を惜しみません。ミレニアル世代と Z 世代のペットの飼い主達は、ペットセラピーや専門スパサービスなど、ホリスティックなペットケアサービスにお金を使う傾向が、年上世代よりはるかに高くなっています。
最近の飼い主達は、ペットケアを選ぶ際に、トレンドでなく、家族であるペットにとって意味がある選択肢を求めています。その流れで、予防的ペットケアの需要がかつてないほど高まっています。
予防医療へのニーズが高まる
予防医療には、ワクチン接種、デンタルケア、寄生虫対策、体重管理、さらには遺伝子検査など、あらゆるものが含まれます。何か気になる症状があるので獣医に相談するといったきっかけベースでは、予防医療として十分ではありません。ペットの健康状態に対して、プロアクティブかつ総合的にアプローチする必要があります。
人間の健康管理では、予防医療は長期的な健康状態の改善に非常に有効なため、保険会社や雇用主は予防医療を受けるよう推奨しています。なぜペットの世界では、予防医療の導入が遅れているのでしょうか?
実は、そもそも質の高いペット医療が希少という問題があります。ペットのベビーブームが起こる以前から、飼い主達はワクチン接種などの定期的なサービスを受けるため、スケジュールを組むのに苦労してきました。ペットケアへの需要が高まる中、飼い主達は、適切なケアを提供してくれる、信頼できて利用しやすいペットケアサービスを見つけるために、四苦八苦しています。
Dr. Treatの始まりは、ファウンダーのHetal Shah氏とRakesh Tondon氏の夫婦が、パンデミックの初期にこのような問題に実際に直面したことがキッカケです。適切な獣医を見つけようとしても、なかなか見つからない…という経験をした後、自分達の得意分野であるデジタル技術を活用し、これらの問題を解決できるサービスを作ることを決意しました。
ペットのためのより良いケア、飼い主のためのより良いサービス
Dr. Treat は、会員制モデル(年間)で、ペット飼い主に、最高の獣医による予防も含めたペットケアを提供しています。会員プランの「Dr. Treat One」に登録すれば、クリニックでの無料診察、テレヘルスプラットフォームによるバーチャル診察、簡単な予約機能、デジタルでの医療記録へのアクセス、薬の自動宅配などのサービスを受けることができます。
Dr. Treatは、バーチャルケアの利便性と質の高いクリニックでのケアを組み合わせた「フィジタル(phygital = Physical + Digital)」ケアモデルを通じて、会員に総合的なペットケアサービスを提供しています。米国では動物医療従事者が不足しているため、医療従事者と飼い主のためにペットケアを合理化することがこれまで以上に必要とされています。ペットケアに遠隔医療を取り入れることで、飼い主達は必要なケアに簡単にアクセスできるようになります。
飼い主達は、対面ケアが不要な状況ではバーチャル診察を予約することができ、クリニックのスタッフは、歯科治療、手術、予防接種など、対面ケアが必要な内容に注力することができます。クリニックの少ない予約枠を奪い合うのではなく、クリニックと遠隔医療を組み合わせることで、両方の利点を享受することができます。Dr. Treat のクリニックでは、トリアージ(優先治療判断)を日々改善し、ワークフローの効率化に努めています。
さらに、Dr. Treat のテクノロジーを駆使したサービスは、ペットの電子健康記録を活用し、長期にわたってよりパーソナライズされた効果的なケアを提供しています。Dr. Treat の予防医療サービスには、遺伝子スクリーニング、年2回の健康診断、行動アセスメントなどが含まれているため、獣医が各ペット特有のニーズを理解しており、飼い主は安心して任せることができます。
Dr. Treatは、2022年のクリニック開業以来、口コミで急速に成長しています。それは、Dr. Treatチームが、顧客が最も必要なものを提供することの重要性を理解しているからです。Dr. Treatの顧客が大切にしているのは、他でもない愛するペットたちの健康と幸せです。
顧客志向のファウンダー達
今、ペットケア市場は、特にダイナミックな動きを見せています。イノベーター達は、時代遅れのペットケアをディスラプト(破壊)する新しい方法を探しています。米国におけるペット数の急激な増加や様々な要因が重なり、スクラムベンチャーズにとっても、ペットケア市場は非常に興味深いマーケットです。ペットが家族の一員として扱われるようになるにつれ、ペットの飼い主達が自分たちのニーズを満たす革新的なソリューションを求めるようになり、このマーケットはこれからもチャンスに満ちています。
Dr. Treat は、飼い主にとってわかりやすく、信頼性が高く、ストレスのない、パーソナライズされたペットケアを提供しています。Dr. Treat One に登録すると、新規会員にはペットの遺伝子検査が提供され、会員にふさわしいパーソナライズされたケアプランを受けることができます。また会員は以下のような様々な治療を明朗会計で利用することができます。
- ワクチン
- 薬代
- 研究開発
- 歯科検診とクリーニング
- 避妊・去勢手術
Dr. Treat のモバイルアプリを使用すると、会員はいつでもペットの健康記録にアクセスでき、24時間365日のバーチャルケアの予約や、当日または翌日のクリニック診療の予約をすることができます。Dr. Treat は会員制モデルを通じて、飼い主がペットの健康を管理するために必要なサポートを提供しています。
犬用と猫用に別々の待合室を用意し、栄養面などでの個別アドバイスを提供するなど、チームは飼い主の優先事項を考慮した上で、サービスを提供しています。チームの顧客志向が、ペットの健康&ウェルネスの進化、サービスの拡大を後押ししています。
Dr. Treat 独自のメンバーシップモデルとテクノロジーを駆使したサービスにより、より合理的かつ効率的な治療、そしてペットケアにおける予防医療の進化を実現します。Dr. Treat チームは、消費者に価値ある体験を提供するために欠かせない顧客志向の姿勢でサービス開発にのぞんでいます。
スクラムベンチャーズは、以前ファッションレンタルサービス「Le Tote」のファウンダーとして Rakesh Tondon 氏と仕事をしていました。彼は、価値ある顧客体験をスケールする能力が非常に高く、彼の優れた起業家精神が、ペットの飼い主達が求めているサービスと体験を作り出してくれると信じています。