コミュニティを通じてランニングを盛り上げる、次世代パフォーマンス・ライフスタイル・アパレル・ブランド「Bandit」 [Why We Invested]

April 3, 2024 Article-Show on Top-ja Blog-Show on Top 投資先紹介

このコンテンツはスクラムベンチャーズPartnerのMichael Promanによる Encouraging Running through Community: Why We’re Supporting Bandit を翻訳したものです。

約23年前の4月のPatriots’ Day、曇り空のボストンで初めてのマラソンを経験した。忘れられない思い出だ。最後尾からスタートし、アーマスト大学のフットボールチームのパンツとTシャツを着ていた私は、世界でも有名なボストンマラソン大会に参加するランナーには見えなかったと思う。多くの才能ある見知らぬ人たちに囲まれ、4時間近くを過ごすうちに、そこにはなんとも言えない繋がりが生まれていた。この繋がり=コミュニティの感覚は、その後に私がランニングを続ける大きなきっかけになった。こういったコミュニティをさらに広げる方法があればと思っていた。ランニングの世界は進化し、成長し続けているが、私たちは皆、もっとつながりたい、もっとアドバイスをもらいたい、それぞれを理解しサポートしてくれるブランドと伴走したいと願っている。この視点が、Banditへの投資を行う際に決め手となったポイントだ。

あの4月の日以来、私は5つのマラソンを完走し、いつも走りたくてうずうずしている。フルマラソンに挑戦するために数ヶ月のコミットメントをした多くの友人たち(場合によっては、会ったこともない人たち)にいつも刺激を受けている。ランニングは、カラダに良い健康的な習慣だが、それよりも多くの人にとって重要なのは、コミュニティ、仲間意識、そして熱心なランナー同士が集まるソーシャルな場という側面だと私は考えている。

ブルックリンを拠点とするパフォーマンス・ランニングウェアブランドであるBanditは「ランニングを進化させる」というミッションを掲げている。「コミュニティ」それがスクラムベンチャーズがBanditをサポートする第一の理由だ。Banditにとって、それは基本でありながら、ランニングを新たな方向へと押し進めるための要でもある。Banditは、コミュニティの体験を向上させ、メンバーのランニングとの関係を向上させることを目的とした年間プログラム「The Membership」を提供している。

Bandit「The Membership」

「The Membership」は毎年125ドルのロイヤリティ・プログラムで、会員が増え続けているコミュニティだ。The Membershipの会員には、50ドルのギフトカード、パフォーマンス・ラン・ソックス1足、10%の割引、送料無料、すべての商品への早期アクセスなどの特典がある。Banditチームは、プロダクトの方向性を決める時にも、常に会員の声を聞き、フィードバックを受け入れている。この6ヶ月でBanditの会員は倍に増えた。Banditは2024年初めから、新しい特典の追加も検討している。

しかし、メンバーシップは始まりに過ぎない。Banditは他の方法でもコミュニティを盛り上げている。秋のマラソンシーズンに向けて、Banditはアシックスと連携してトレーニング・プログラム「The Program」をスタートした。ニューヨークでリアルイベントとして開催されたプログラムには100人以上のパフォーマンス志向のランナーが参加し、バーチャル版プログラムには数千人のグローバルランナーが参加した。Banditのコミュニティ・パートナーシップ部門責任者であるSteve Finley(元ナイキ・プロランナーで、ナイキ・ラン・クラブを立ち上げ、ナイキ・コーチに転身)は、間もなく発表されるジェネレイティブ・トレーニング・アプリでバーチャル・プログラムを拡大し、2024年にはリアルで行うプログラムを複数の都市に拡大する予定だ。

シカゴマラソンでは、Banditはシカゴ市の中心部に、他にはないポップアップストアを作り、「The Program」に参加するランナーや世界中のファンのために、週末を丸ごと使ったイベントやプログラムを実施した。NYCマラソンでは、BanditはShopifyとアシックスと連携し、NYCにインスパイアされたカプセル・コレクションを発売するためのイベントを行った。

目標を設定し、それを達成し、アドバイスやモチベーションを分かち合い、他の情熱的なランナーと出会い、勝利を分かち合い、障害を乗り越えるのを助け合うために、多くのランナー達が集まることを目的としている。

経験豊かなファウンダー達

Nick WestとTim Westの兄弟がBanditを立ち上げ、チーフデザイナー(女性用アクティブウェアブランドBandierの元創設デザイナー)であるArdith Singhが、ブランドの立ち上げ初期に共同設立者として加わった。Banditを創業する前の2014年、Nickは第一号社員としてJet.comに加わり、Timはモバイル・ショッピング・チームの共同リーダーとして、Jet.comのアンドロイド・ショッピング・アプリを開発するエンジニア・チームを率いた。Jet.comはウォルマートに$33Bで買収された。これは当時、Eコマース史上最大の買収で米国では大きな話題となった。つまり創業者の2人は、スタートアップやブランドを築き上げた経験がある。2人は子供の頃に父親から紹介されたトライアスロンやマラソンのコミュニティからヒントを得て、ランニングウェアとアクセサリーのブランドであるBanditを立ち上げた。それ以来、彼らは熱心なランナーであり、起業家でもある。

スポーツ&エンタメ分野の投資を強化しているスクラムにとって、世に数多あるランニング・ブランドをサポートすることはプライオリティは高くないように思えるかもしれない。しかしBanditには特別なものがある。ランナーを結びつけるBanditは、ランニングへの情熱と最高のランニングギアを繋ぐ役割を果たしているが、アパレルへのフォーカスは時に二の次に見えることもある。同社には適切な在庫管理の規定があり、強引な売り込みは決して行わない。West兄弟は、コミュニティメンバーのランニングの経験を高めることにフォーカスしている。Banditで彼らが行うこと、作ることのすべては、あらゆるレベルやフィットネス・ゴールを持つランナーとの会話がベースになっている。この点が他のアパレル・ブランドとは一線を画しており、コミュニティの信頼を得ることにも貢献している。

ブルックリンに実店舗を構えるBanditは、ニューヨークのランナーや多くの熱心なランニングクラブを結びつけている。それ加えて、オンラインの口コミやInstagramのようなソーシャルメディアを通じて、アメリカ国内だけでなく世界中の人々が、Banditと関わっている。そこで交わされる率直なコメントが、より良いギアやより強い帰属意識につながっている。Banditのコンテンツは、ランニングというスポーツにおいて、Instagramで最もエンゲージメントの高いブランド第1位を獲得している。

世界中のコミュニティに愛されるBandit

Banditへの投資を検討している間、Banditの会員にユーザーインタビューを行なった。ある1人は、創業者のTimが出演したポッドキャストでBanditのことを知り、2年前にBanditがメンバーシップサービスを開始したときに入会した。それ以来、彼女はBanditコミュニティの一員となり、デザインに対してのフィードバックやコメントを提供し、最新ギアをいち早く入手できるようになった。リアルのグループランニングでは、コース沿いでの給水、ホリスティックなトレーニング・プログラム、フィジカル・セラピーやメンタルヘルスに関するヒント、Banditスタッフの栄養士に相談する機会も得られる。このコミュニティへのコミットメント、手厚いサポートがBanditのメンバーコミュニティが発足以来急速に成長している理由だ。

コミュニティでの価値ある体験が、Banditの口コミを生み出している。米国の2022年のランニングギア市場規模は$11.8Bに達し、2028年には$20Bに達すると予想されている(CAGR 成長率は9.1%)。 Banditは、シカゴ、ニューヨーク、そしてロンドン、ベルリンなど、さらなる拠点への進出も計画している。

Banditの真の役割

グローバルな展開に加え、Banditはランニングをよりインクルーシブなものにすることを目指している。ランニングはみんなのものであるべきである。初めてボストンマラソンを完走した女性であるBobbi Gibbは、女性の出走が許可されていなかったにも関わらず、ボストンマラソンに忍び込んだ。まさにBandit(無法者)である。このエピソードに共感して、創設者たちはこの言葉を社名に選んだ。

素晴らしいランニングクラブがあり、あらゆるペースやレベルのランナーを受け入れている。誰もがランナーズ・ハイを体験し、活気あるコミュニティの一員になる資格がある。Banditは、ランナーを結びつける役目を果たしていく。

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