今週の注目5社:不妊治療福利厚生 / 公共交通Waze / りんご摘みロボット / 栄養機能食品 / パーソナライズスクール
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「不妊治療福利厚生」Progyny
[Service/ヘルスケア] Progyny
Series B-II ($10M) Kleiner Perkins Caufield & Byers, SR One and TPG Biotech
不妊治療の福利厚生サービス。
1回あたり平均$12,400と高額な治療費が必要となる不妊治療を企業が福利厚生としてサポートするサービス。体外受精、卵子凍結、代理母、養子縁組等、トータルで子どもを授かりたい人をサポートする。体外受精のプロセスでは、双子が生まれる可能性が高いことや、体力や経済的な負担が大きいことも課題となっているが、Progynyの技術ではその可能性を85%減少させることができるとのこと。既にeBay等を顧客に持つ。
2008年創業、本社はニューヨーク。Kleiner Perkins Caufield & Byers等から今回調達した$10Mは、顧客基盤及び、不妊治療専門家の増強、システムのアップグレード費用として活用する予定。
2.「公共交通Waze」Swiftly
[Saas/モビリティ] Swiftly
Unattributed VC ($2.5M) Ford Smart Mobility, Millennium Strategic Group, Mobivia Groupe, Samsung NEXT, Wind Capital and Zipdragon Ventures
電車やバス等の公共交通機関の運行状況のクラウドソーシングサービス。
アプリを起動すると、目的地までのルートに加え、近隣の停留所への公共交通機関の到着時間をカウントダウンしてくれる。まだベータサービスだが、45,000以上のユーザがおり、そのGPSや実際の乗車時間等の情報をクラウドソースすることで、リアルタイムの情報提供を可能としている。更に、公共交通機関はSwiftlyのデータ分析サービスを利用すれば、これまで数ヶ月かかっていたオペレーションの改善を数日でできるとのこと。現在、サンフランシスコやシカゴ、ボストンなどで展開している。
2016年創業、本社はサンフランシスコ。Ford Smart Mobility等から今回調達した$2.5Mは、海外展開費用として活用する予定。
3.「りんご摘みロボット 」Abundant Robotics
[HW/ロボット] Abundant Robotics
Series A ($10M) BayWa, Comet Labs, Google Ventures, KPCB Edge, Tellus Partners and Yamaha Motor Ventures
熟しているりんごを見つけて、傷つけないように摘み取ることができるロボット。
りんごの収穫方法は100年以上に渡って改善されておらず、人件費もかさむため農家にとって大きな課題であった。その課題が画像認識技術や、ロボットアーム技術の向上により解決に近づいている。りんご摘みロボットは来年の商品化を目指しており、将来的には他のフルーツや野菜の自動摘み取りロボットも開発する予定。SRI Internationalからのスピンアウト。
2015年創業、本社はアラメダ。Google VenturesやYamaha Motor Ventures等から今回調達した$10Mは、引き続き開発費用として活用する予定。GVのAndy Wheelerが取締役として名を連ねている。
4.「栄養機能食品」Soylent
[Commerce/食品] Soylent
Series B ($50M) Andreessen Horowitz, Google Ventures, Lerer Hippeau Ventures and Tao Capital Partners
生きるために必要な栄養素がすべて含まれている栄養機能食品。
従来の食事の代替食品で、ボトルドリンク(1本あたり約$2.7)、粉末(1バッグあたり約$1.5)、バー(1本あたり約$1.9)の3種類の製品がある。現在はオンラインのみでの販売だが、今後はリアル店舗にも展開予定で、それに伴いミズーリ州の工場の他にも製造機能を拡大する予定。2017年Q1の売上は昨対比200%で成長しており、月間売上は200万個とのこと。
2013年創業、本社はロサンゼルス。Andreessen HorowitzやGoogle Ventures等から今回調達した$50Mは、海外展開に加え、スーパーマーケットやカフェといったリアル店舗への拡販費用として活用する予定。
5.「パーソナライズスクール」AltSchool
[Service/教育] AltSchool
Series C ($40M) First Round Capital and Founders Fund
個別学習を中心としたマイクロスクール。
最新のテクノロジーを駆使し、学習プランも個人の能力と興味に基づいて個別に設計される。現在、サンフランシスコ、ニューヨークに 8校舎を持ち、各校舎35-120人のマイクロスクール(1クラスの上限は25名)として運営されている。通常の学年での区分ではなく、幼稚園〜小学校(低学年)、小学校(高学年)〜中学校といった幅でクラスが分けられている。今後は自前でのスクール運営に加え、他の学校へのプログラム導入にも注力していくとのこと。
Googleの元エンジニアが2013年に創業、本社はサンフランシスコ、従業員は現在50名。First Round Capital等から今回調達した$40Mは、引き続き研究開発や提携校の拡大費用として活用する予定。