広がるNetflix経済圏。T-Mobile「データ無料」/ Virgin「航空機内視聴可能」。
「Netflixはテレビ局だよ」
先週ハリウッドの一線で映像制作をされている方とお話をしていていると、「Netflixはもはや単なるOTTじゃない。テレビ局だよ」ときっぱりとおっしゃっていました。
世界で6900万人もの有料視聴者を抱え、ドラマの制作に億単位の巨費を投じることのできるNetflixは、優秀で実績のあるプロデューサーを取り合う競争の激しいハリウッドの中において、すでに「単なるネットサービス」というという扱いではなく、「巨大テレビ局と同列かそれ以上の位置付け」になっているということを改めて認識しました。
T-Mobile「スマホでNetflixを見ても、データ加算なし」
若い世代を中心に動画コンテンツをスマホなどで見るという動きはどんどん強まっています。
先週携帯キャリアのT-Mobileが、かねてから噂されていたインパクトの非常に強い料金プランを発表しました。「BingeOne」というサービスは、Netflixを始めとする24のOTTサービスを対象に、スマホで視聴しても、その分のデータはデータプランに加算されないというものです。
私もVerizonの回線を使って、NetflixやSling TVのサービスを頻繁に使っていますが、動画系のサービスはデータを非常に食ってしまうのでいつも気にしながら使っています。BingeOneは多くのユーザにとって非常に魅力的なサービスだと思います。
CEOが明確にこのサービス導入の意図として言っていますが、これはAT&TやVerizonというライバルからユーザを奪うことに確実に一役買いそうです。T-Mobileの最近の躍進は目覚ましく、業界3位だったSprintを会員数で抜いた( T-Mobile 5900万 / Sprint 5800万)ばかりですが、その勢いは止まりそうにありません。
Virgin America「機内でNetflixユーザは、動画視聴可能」
T-Mobileの新サービスではNetflixは他のOTTと横並びでしたが、航空会社のVirgin Americaは、「Netflixの会員のみ」に向けて面白いサービスを展開しています。
最近は米国ではほとんどの国内線の飛行機の機内でWiFiが使えるようになっていますが、有料でありかつNetflixなどの動画配信サービスは対象外でした。Virgin Americaは、先月からNetflixと提携し、Netflixの会員であれば、WiFiが無料で利用でき、しかも、Netflixが飛行機の中で見られるというサービスを発表しました。
これはものすごいパワフルです。
今の所2016年3月まで限定ということですが、私のようにVirginと他の航空会社を並行して使っているユーザにとっては、毎回10-25ドル程度かかるWiFiが無料になり、かつ仕事の合間にNetflixが見られるのであれば、Virginに乗る強いモティベーションになります。また、Netflixの会員でない人にとっても、Virginの飛行機に乗ってWiFiにつなごうとした瞬間に、WiFi代に25ドル支払うのであれば、7.99ドルのNetflixに入ろうと思うかもしれません。
ちなみにNetflixのライバルのAmazon Prime Videoも、航空会社JetBlueと提携を発表し、Amazon Primeメンバーであれば、JetBlueの機内WiFiが無料で使えて、動画も観れるという提携を発表しています。
拡大する「Netflix経済圏」有料会員7000万人は間近
先日発表したQ3の決算発表では、アナリストの期待値を下回ったことで発表後に10%程度株価は下落しましたが、Q3の売上 $1.74B、YoYでも+23%と順調に成長しています。有料会員数は国内88万人、海外2.7万人と増加し、トータルで会員数は6917万人と、7000万人は間近です。
ハリウッドでの存在感も増し、大テレビ局と肩を並べるまでになったNetflix。その経済圏は、携帯キャリア、エアラインなどとのパートナーシップでさらに拡大しています。
そしてその結果としてたまる膨大な「データ」。
そこから生み出されるパワフルな「コンテンツ」。
テレビ局との競争の次にどこまで行くのか。Netflixからは目が離せません。