日本の大企業に、シリコンバレー流ベンチャーのスピードと活力を! [Scrum Connect 2018 Report Vol.1]

December 11, 2018 by Tomoko

古いしがらみにとらわれずイノベーションを起こすために

スクラムベンチャーズは、2018年11月19日に『Scrum Connect』を、東京港区のアメリカンクラブで開催しました。投資家のみなさま、ベンチャーのみなさま、スタートアップとその活動に興味のある大企業のみなさまに互いを知っていただき、『コネクト』することで新たな未来を産み出すためのイベントです。


シリコンバレーのスタートアップはなぜイノベーションを産みだすことができるのか? 大企業でオープンイノベーションに取り組む際には何に気を付けなければいけないのか? さまざまな分野の最先端ベンチャーは、どんな課題に取り組んでいるのか? 日本のベンチャーはどんな課題感を持っているのか?そんな日本とシリコンバレーのイノベーションを取り巻くさまざまな障壁、課題感について現実的な意見を聞ける貴重なイベントになったと思います。

『トップのコミットメントが大切』と、三井住友銀行の工藤氏

最初のセッションは、大企業の側からオープンイノベーションに取り組んでいらっしゃるお三方にご登壇いただきました。企業に出資する側でありながら、自らも歴史ある大企業としてイノベーションを起こさなければならないと考えてらっしゃる三井住友銀行から常務執行役員の工藤禎子氏。近年、社内でオープンイノベーションに注力しているパナソニックから専務執行役員の本間哲朗氏。メディア企業として各社の姿を追いながらも、自ら電子化というカタチでイノベーションに取り組む日本経済新聞から常務取締役の渡辺洋之氏がおいで下さいました。モデレーターは弊社パートナーである春田真が務めました。


三井住友銀行の工藤氏は、出資者側として大企業のイノベーションに関わる際には、「常に極力経営に近い、影響力の大きい人にアクセスするように心掛けていました」と語られました。ボトムアップで話を持っていっても、途中で話が滞り、最終的に結果に結びつかないことが多かったという自らの体験からのお話です。社内ベンチャーであるトリプルアイでも、ボトムアップの過程を踏んでいるうちにスピード感ある意思決定ができず、ビジネスに結びつかなかった苦い経験があるとのことです。


「3年間取り組んで来て、一番重要なのはトップのコミットメントだと感じました」と工藤氏。新しいチャレンジを若いメンバーに委ねられる度量がないと、最終的にトップがチャレンジを承認できずダメになってしまうことが多いのだそうです。

「アイデアが世に出るために、別のルートが必要」とパナソニックの本間氏

パナソニックの本間氏は、当時後発であったSDカードの規格を立ち上げ成功へと導いた自身の経験を活かして、内外からパナソニックのオープンイノベーションに取り組んでいらっしゃいます。100年企業としての伝統ある企業価値にこだわってしまう部分をひっくり返してでも、イノベーションを起こさなければならないと考えているとのことです。


本間氏は「大企業的アプローチでなく、ベンチャー的アプローチで仕事を進めるには、早いサイクルで潜在的な顧客やパートナーに戦略をぶつけて方向転換していくことが大切」と語ります。大会社ならではの複雑な承認システムにより、最終的にはすべて事業部長の承認を得なければならない、という仕組みも問題だとのこと。アイデアが世に出るために、別のルート、抜け道ルートがあった方が、手堅いだけではないアイデアが生き残るというのです。

「長期的なストラテジーこそ大切」と渡辺氏

日本経済新聞社の渡辺氏は、企業に取材し報道する側であると同時に、一企業として経営を続けなければならない同社の課題について言及されました。
なにしろ『日本経済新聞』ですから、日本中の企業の浮き沈みを目の当たりにし、それをレポートし続けてきた存在です。しかし紙の新聞は今や斜陽産業。その紙の新聞を作りながら、『経済新聞』として恥ずかしくない経営をしなければならないというのが難しいところなのだそうです。
その閉塞感をひっくり返すために始まったのが『日本経済新聞電子版』。紙の新聞より高い4200円という価格を理由に、『絶対に売れない』と当初は言われたのが、今や61万部を売り上げるまでになり、デジタルメディアの購読者ランキングで世界第5位になるほどに成長しました。
メディアとしては当然CVCはできない(経済新聞がCVCをするとインサイダーのようになってしまう)ので、キャピタルゲインは最初から目指せない。しかし、だからこそオープンイノベーションに寄った立ち位置で戦略的なベンチャー投資にチャレンジできたのだと言います。
「当然ですが、ストラテジーが大切なのです」と渡辺氏。いろいろな企業を見てきた経済新聞が起したイノベーションですから、とても意義深いものだといえるでしょう。

大企業がベンチャーに学ぶ姿勢こそ大切

3社ともに共通して言えるのが、歴史ある大企業という立ち位置を大切にしながらも、ベンチャーのような意思決定のスピード感、さまざまなアイデアを大切にするアプローチ、そしてチャレンジするスピリットを重視したことにあるといえるでしょう。
大企業でも、ベンチャーのスピード感と、フットワーク、柔軟な志向を取り入れることはできるのです。

5段飛ばし、10段飛ばしで、チャレンジを

セッション1のあとには内閣官房副長官、衆議院議員の西村康稔氏がご登壇下さいました。


「日本の大企業は何も卑下する必要はない。日本のコツコツやっていく力、顧客に寄ったホスピタリティの精神は世界に通用するものです。大企業のみなさんと、ベンチャーが手を取り合って、頑張って欲しい。安倍政権はそれらのチャレンジを応援します。特区もあるし、サンドボックスもある。ぜひ新しい未来を切り開いていただきたい」と西村氏。
「ベンチャーの活力、大企業の大きな資本力という違うものをミックスして、新しい成果を産み出して欲しい」と力強く語られました。

挑戦こそがベンチャースピリット。大企業はついて来られるか? [Scrum Connect 2018 Report Vol.2]に続く

[Scrum Connect 2018 Report]
Vol.1 日本の大企業に、シリコンバレー流ベンチャーのスピードと活力を!
Vol.2 挑戦こそがベンチャースピリット。大企業はついて来られるか?  
Vol.3 日本の大企業は、ベンチャーの活力を取り入れられるか?

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