アマゾンが取得した、店舗で競合他社サイトへのアクセスをブロックする特許

July 20, 2017 by Guest Writer
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この記事はTMI総合法律事務所所属の弁護士4名(波多江氏、竹内氏、小川氏、中塚氏)が運営するサイト BizLawInfo.JP の記事を加筆修正の上、転載したものです。波多江氏、竹内氏、小川氏、中塚氏の4名は、日本とシリコンバレーに分かれ、コーポレート、投資、M&A、個人情報、知財等、幅広い分野で先端の法律実務に従事しています。BizLawInfo.JP では、日本とシリコンバレーのStartupの実務や日本企業の海外進出を取り巻く環境に関する法律問題などについて、積極的に情報を発信しています。


先日、Amazonが高級スーパーのWhole Foodsを買収すると発表しました。買収額は137億ドルです。シリコンバレーに住んでいたころ、アメリカ系スーパーではとWhole FoodsとSafewayは同じぐらいの頻度で行っていたのですが、あのWhole FoodsがまさかAmazonに買収されるとは想像していませんでした。

そのAmazonが買収発表の約3週間前に、実際の店舗で比較ショッピング(comparison shopping)をさせないようにする特許を取得したことがわかりました。特許のリンクはこちらです。買収するWhole Foodsのお店にも導入される可能性があるのではないでしょうか?

実際の店舗でスマホを使って比較ショッピングをしたことがある人は、けっこういるのではないかと思います。特に高額な商品の場合、他店での値段をスマホでチェックし、結果、行ったお店ではなく、別のお店でオンラインで安く買うことにした、という経験をしたことがあるのは私だけではないはずです。

Amazonの特許は、消費者がこのような比較ショッピングをしようとするのをブロックしようとするものです。特許の発明の名称は「PHYSICAL STORE ONLINE SHOPPING CONTROL」です。今回はこれについてご紹介します。

特許の詳細

この特許では、消費者のスマホがお店のWi-Fiアクセスポイントを介して通信することが前提となっています。したがって、通信会社のネット環境を介して通信する場合には、特許の権利範囲の対象外です。

概略、以下のような処理を行うようです。

  1. 消費者がスマホでリクエスト(検索)した、URL、検索ワード、ショッピングアプリなどを特定し、
  2. 競合他社のサイト&商品の情報にアクセスして、1のリクエスト内容と比較し、
  3. その結果、両者に対応性があれば、消費者にControl Actionを仕向ける。

すなわち、店舗において、消費者が競合他社の商品の情報にアクセスしていると判断した場合は、Control Actionが発動されます。

Control Actionとはなにか?

申請書類には例として、以下が列挙されています。

① 競合他社(リクエストされた情報)へのアクセスをブロック
② 自身の店舗Webサイトへの誘導
③ クーポンなど、競合他社に対抗する情報の提供
④ プロキシーアクセスの提供
⑤ 消費者のところに店舗販売員を派遣
⑥ SMSメッセージなどを消費者のスマホに送信

このControl Actionのうち、正直言って、①の競合他社へのアクセスブロックや④の店舗販売員の派遣をされるのは勘弁してほしいですが、③のクーポンが提供されるのはむしろ嬉しいですね。ひょっとしたら、ずる賢い人は、クーポン狙いであえて店舗でコンペティターへのサイトにアクセスするということもするのではないでしょうか。

どのControl Actionを発動させるかは、店舗内における消費者の位置、その店舗に対する消費者の価値のほか、コンペティターの商品との値段比較などが考慮されるようです。

特許の経緯と実際の権利範囲

この特許は成立までに5年かかりました。アメリカで出願されたのが2012年5月4日で、登録されたのが2017年5月30日です。この間、4回のRejection(拒絶理由通知書)が出されていました。その経緯を見ると登録になるまでかなり苦労したことがうかがえます。

最終的に権利として認められた範囲は、Control Actionの内容が限定されています。この限定されたControl Actionは、上記③のクーポンに近いもの。具体的には、別のWebサイトに誘導してcomplementary item(補足的な商品)の提供をするということになっています。

この特許に紐づけられている海外のファミリー出願がないところを見ると、Amazonは、アメリカ以外では権利化を目指していないようです。

この特許の出願当時(5年前)、Amazonは実店舗を持っていなかったと思いますが、それにもかかわらず、実店舗を考慮した特許を出していたのは興味深いです。面白い特許が見つかりましたら、またご紹介いたします。ではまた~。


 記事提供: JP-US Legal Forum〜Business, Laws & Information BizLawInfo.JP

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