今週の注目5社:$3ブランド / パーソナライズサプリ / 家庭用地熱発電 / オンライン債権回収 / スマートワインサーバ
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「$3ブランド」Brandless
[Commerce/消費財] Brandless
Series B ($35M) Cowboy Ventures, Google Ventures and New Enterprise Associates
様々な種類の自社ブランド商品を3ドル均一で販売するオンラインブランド。
飲料、お菓子、清掃用品、食器、化粧品等の商品を$3ドル均一で提供する。”BrandTax Free”をうたっており、ナショナルブランドの価格に含まれるマーケティングや梱包コスト等を削減、同一品質の他社商品と比較して平均約4割安くなるという。取扱商品はすべて自社で開発。いいものを安くがコンセプトで、全商品ケミカルフリー、半数以上がオーガーニック。創業者のTina Sharkey氏はJohnson & Johnson子会社でCEOを務めた経験があり、消費財業界において豊富な経験をもつ。
2016年創業、オンラインショップは2017年7月にオープン。本社はサンフランシスコ。
2.「パーソナライズサプリ」Care/of
[Commerce/ヘルス] Care/of
Series A ($12M) Goodwater Capital, Juxtapose, RRE Ventures and Tusk Ventures
パーソナライズサプリの定期購入サービス。
個人のライフスタイルや価値観、健康上の目標等に合わせておすすめの組み合わせを特定し、毎月箱に詰めて配送してくれる。現状30種類の成分を提供しており、その組み合わせパターンは100万種類以上に及ぶという。85%の顧客がその個人のためだけに独自に組み合わされたサプリを利用中。月額料金は組み合わせによって異なり、平均は約$40。創業者はBonobosの元マーケティング責任者であるCraig Elbert氏。
2016年創業、本社はニューヨーク。Goodwater Capital等から今回調達した$12Mは配送センターの業務を自動化し、製造コストを削減するために活用する予定。
3.「家庭用地熱発電」Dandelion Energy
[HW/再生可能エネルギー] Dandelion Energy
Unattributed VC ($1.04M) Collaborative Fund
一般家庭向け地熱を利用した冷暖房ソリューション。
地熱利用のためのプラスチックパイプと設置用ドリルを開発。パイプを一般家庭の庭と家屋床下に設置し、パイプ内に水を巡回させ、冬場は地熱回収用、夏場は家屋内の温度を下げるために利用する。一般家庭の庭でも埋め込めるようパイプはコンパクトにデザインされており、自社で開発した小型のドリルで地中に設置する。導入コストは約$20,000から$25,000と安く(従来型システムの導入コストは約$60,000)、普及の妨げとなっていた導入コストの高さを軽減し地熱冷暖房の利用を促す。ニューヨークの一般家庭からサービスの受け付けを開始。今後は工事事業者とのパートナーシップ締結を進めたいとしている。
Google Xからスピンアウトし2017年創業。本社はパロアルト。Collaborative Fundから今回調達した$1.04Mはセールス・オペレーション機能の強化のため活用する予定。
4.「オンライン債権回収」Collectly
[Saas/金融] Collectly
Seed VC ($1.9M) Cabra.vc, GoAhead Ventures, Granatus Ventures, Index Ventures, IT-Farm Corporation, Lightspeed Venture Partners, OnWave Ventures and WTI Holdings
個人に合わせた回収方法で債務者に支払いを促すオンライン債権回収業者。
SNSなどの公開情報や電子メール開封の有無等の情報をもとに、債務者個人に合ったメッセージや支払いプラン等を提案することで債務者へ支払いを促す。債務者とのやりとりは大部分が自動化されており、迅速な債権回収が可能という。取引ごとに0.5%から1%の手数料を課金する仕組みで、現在の取扱債権残高は$2Mに上る。当面のターゲット顧客は医療機関。アメリカの負債残高の約4割は医療機関に対するもので、今後10万件の医療機関からの利用を見込む。Athena HealthやDr Chrono等のEHRと連携済み。
Y Combinator出身で2016年創業、本社はカリフォルニア。Index Ventures等から今回調達した$1.9Mは顧客数拡大のために活用する予定。
5.「スマートワインサーバ」Plum
[HW/食品] Plum
Series A ($9M) Khosla Ventures and Las Olas VC
ワイン保存、サーブ用マシン。
二本のボトルを同時に保存でき、一杯づつ最適な状態でワインが飲めるようになる。ラベルを自動的に読み取り、各ワインに最適な温度で保存してくれる。価格は一台$1499。今回のラウンドで、ヒルトンホテルグループの幹部を取締役に加え、家庭用デバイスだけでなく、高級ホテルでの客室内での導入も視野に入れいている。既にフォーシーズンズやマリオット等の有名ホテルとも契約を結んでいるとのこと。
2015年創業、本社はフロリダ。Khosla Ventures等から今回調達した$9Mは、高級ホテル業界におけるビジネス拡大に向けて利用する予定。