今週の注目5社:女性専用コワーキング / 産業用AR / 自動運転タクシー / オンラインレンディング / 大企業向け業界トレンド分析
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「女性専用コワーキング」The Wing
[Service/オフィス] The Wing
Series A ($8M) BBG Ventures, Kleiner Perkins Caufield & Byers and New Enterprise Associates
女性専用のコワーキングスペース。
月額$215で、wifi完備のコワーキング/ネットワークスペースが使い放題。ドリンクや軽食も食べられるカフェ、シャワー室に加えて、メイクアップルームや授乳室など女性ならではのサービスも充実している。会員になるにはアプリケーションを提出する必要があり、職業やSNSなどから審査が行われる。2016年10月にマンハッタンのフラットアイロンにオープンし、ウェイティングリストは現在3,000人となっている。更に会員向けのマイクロSNSも今後開発する予定。
2015年創業、本社はニューヨーク。Kleiner Perkins等から今回調達した$8Mは、ソーホー、ブルックリン、ワシントンDCに新たにオープンする費用として活用する予定。
2.「産業用AR」Upskill
[Enterprise/AR] Upskill
Series B-III (NA) Boeing HorizonX, GE Ventures, New Enterprise Associates and SineWave Ventures
オペレーションの効率化を目的とした製造業向けARプラットフォーム。
スマートグラス用にARと音声認識を用いたアプリケーションを開発するためのソフトウェア「Skylight」を開発している。音声認識の指示によりスマートグラスに作業指示やチュートリアルなどを表示できる他、確認したいことがあれば、部品の名前を読み上げるだけで必要な情報を検索できる。Boeing社は、航空機の内部に張り巡らされている配線業務に当技術を取り入れることで、人的なエラーをほぼゼロにすると同時に作業時間を25%短縮したとのこと。
2010年創業、本社はバージニア。BoeingやGE等から今回調達した資金は、引き続き開発費用として活用する予定。
3.「自動運転タクシー」Voyage
[HW/Auto] Voyage
Seed VC (NA) CRV, Initialized Capital and Khosla Ventures
自動運転技術を活用したタクシーサービス。
自動運転技術の開発だけでなく、自動運転のカーシェアリングサービスの運営までをゴールとしている新しいスタートアップ。 走行の停止や音楽などを音声でコントロールすることも目指している。既にベイエリアでの実証実験では、140の信号を通過し、31マイルの自動運転に成功している。更に、将来的にはFacebookやGoogleのように広告収入を主な収益源とし、乗車賃はほぼ無料というビジネスモデルも構想中とCEOがTwitterで発言し注目を集めている。
2016年にUdacityの幹部であるOliver Cameronがスピンアウトして創業。Khosla Ventures等から今回調達した資金は、引き続き開発費用として活用する予定。
4.「オンラインレンディング」Upgrade
[Service/金融] Upgrade
Series A ($48M) CreditEase, FirstMark Capital, Noah Holdings, Sands Capital, Silicon Valley Bank, Union Square Ventures
クレジットカードローンの支払いに特化したオンラインレンディングサービス。
ユーザーは住所や生年月日、収入といった簡易な質問に答えるだけで、$2,000-50,000までのローンを借りることができる。年率は5.66%-35.97%で、期間は36ヶ月か60ヶ月を選択できる。ローンは投資銀行のJefferiesを含む4社からファンディングを行っているとのこと。更に、ユーザーにはクレジットスコアをどのように上げるかといったアドバイスも今後行う予定。
Lending Clubの創業者Renaud Laplancheによって2016年に創業、本社はサンフランシスコ。Union Square Ventures等から今回調達した$60Mは、サービスの開発及び拡大費用として活用する予定。
5.「大企業向け業界トレンド分析」Crunchbase
[Service/Investment] Crunchbase
Series B ($18M) Mayfield Fund
大企業向けの業界動向や競合調査等の分析サービス。
スタートアップデータベースのCrunchbaseが、Enterprise for business intelligenceと呼ばれる新サービスをリリース。大企業向けに、業界・投資トレンド、競合分析、成長市場などの分析レポートを提供している。既に、Deloitte、Microsoft、IBM Watsonといった約5000にのぼる企業で導入されている。将来的には企業情報のプラットフォームを目指しており、今後は分析対象となるデータを自社以外のサードパーティーからも集めるべく現在交渉しているとのこと。
2007年創業、本社はサンフランシスコ。Mayfield Fund等から今回調達した$18Mは、引き続き新サービスの開発費用として活用する予定。