Yコンビネーター卒業生が語る「特別」の理由 [Scrum CEO Summit 2016 Report vol.2]

January 27, 2017 by Scrum Staff
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Text by 松村太郎@taromatsumura

2016年11月16日に、Scrum Venturesは、東京・渋谷でCEOサミットを開催しました。

シリコンバレーやニューヨーク、ロサンゼルスから、Scrum Venturesの投資先CEO達も参加し、ファッション、ヘルスケア、ビデオエンターテインメントなど、新しい分野とテクノロジーが融合したサービスの成長の秘訣を知ることができました。

前の記事: シリコンバレーにおける日本企業の投資活動 [Scrum CEO Summit 2016 Report vol.1]

Yコンビネーター卒業生が語る「特別」の理由

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Y Combinator出身のスタートアップ企業は、どの企業もジャンルを開拓し、トレンドにぴったりなタイミングで素晴らしいサービスを打ち出しているように見えます。

Spire、Le Tote、Vidpresso。彼らに共通しているのは、Y Combinator出身で成長した企業であることです。時価総額1000億円以上のユニコーン企業をいくつも排出してきたY Combinatorではいったい何が起きているのか、そして、卒業生は何を経験してきたのか、VidpressoのRandall Bennett CEO、SpireのJonathan Palley CEO、Le ToteのRakesh Tondon CEOの3氏が語りました。

  • Jonathan Palley, Spire 「ココロの状態がわかるウェアラブルデバイス」
  • Rakesh Tondon, LeTote「ファッションレンタルサービス」
  • Randall Benett, Vidpresso 「Facebook Live配信プラットフォーム」

 コミュニティが素晴らしい

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Y Combinatorの本質を語る上で、「コミュニティ」を抜きにしては語れません。コミュニティには、成長と失敗の膨大な経験値が蓄積されています。Y Combinatorにはそれを実際に起業家としてそれを経験した人、起業家にアドバイスを与えた人たちが存在しているのです。

SpireのPalley氏は、実はシリコンバレーでは、アドバイスは受けやすいと言います。しかし、ノイズが多いことも問題点です。

Y Combinatorには、膨大な数のスタートアップ育成の中で、問題解決や失敗のパターンが蓄積されています。パートナーやメンターがそこから、最適なアドバイスをしてくれる点が他でのアドバイスとは大きく異なるとと指摘しました。

起業家は、初めから起業家ではない

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VidpressoのBennett氏は、メディアからY Combinatorへ勤務先を移し、そこで周りに触発され自身が起業家に転身しています。メディアのバックグラウンドがある同氏が、経験を生かし、新しいメディアに目をつけた会社が、Facebook Liveに関連する企業、Vidpressoだったというわけです。

アドバイザーや投資家に、多様性あるバックグラウンドが揃っている点は、Y Combinatorにとって、未来の可能性を見抜くために重要である、とセッションを通じて感じることができました。

ユニークなアイディアと専門性

Spireの呼吸のデータを集めるというアイディアは、CEOのPalley氏が医学的なバックグラウンドを持っていたおかげで、そのアイディアの真価を理解することができたわけですし、初期投資を受けられるかどうかやその後の発展を予見できるかどうかに関しても早期に正しい判断ができたわけです。

Le Toteが取り組むファッションのビジネスは、テクノロジー関係者だけでは、どのようなデータが重要なのかを探ることは難しかったでしょう。

また、Vidpressoはマスメディアを最初の顧客としたわけですが、これは、創業者自身がマスメディアでの長い経験があり、従来のマスメディアが顧客のニーズに十分応えられてない部分を理解していたからこそ、新たな付加価値のついたメディアを実現し提案できたわけです。

確かに破壊的イノベーションを目指すのであれば、これまでのバックグラウンドを全て無視することも良いでしょう。しかしY Combinatorの企業は、専門性を強みとしています。

医者が起業したり、ジャーナリストが起業することは、自分自身が専門家であり続けながら、テクノロジーを用いて問題解決に取り組む、ということです。

専門家の鼻を生かしたビジネス展開は、独自性があり、簡単に思いつかない領域にぽつんと企業を発生させ、将来的な大きなビジョンを実現していく。Y Combinatorの企業の最近の成功の法則を見出すことができました。

既存のビジネスや人々の生業に注目していることが、テクノロジーやアイディアをより素早く人々の生活に滑り込ませ、独自のビジネスを行う土壌を急速に整備しているのです。

「データ」という成功パターン

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さて、多様性あふれるY Combinatorの企業に共通していたのは「データの収集と深い分析」です。

Spireは誰も把握していなかった人々の日々の生活の呼吸というデータを採り、そこから大統領選挙のストレスレベル、というユニークなデータ作りをみせてくれました。もちろん、それが目的ではなく、医療面での改善や未病対策への活用がゴールです。

Le Toteは、ユーザーの体系の変化や、好み、定性的なフィードバックといったデータを持つ企業になりました。現在、新作をアピールすることに注力するブランドに対して、ユーザーの好みの変化まで理解しているLe Toteの優位性は、ファッションや消費の概念を大きく変化させるでしょう。

またVidpressoは、インタラクションを用いたライブ映像の制作を簡単にすることはもちろんですが、導入の価値は、やはりデータ活用に帰結します。ざっくりとした視聴率というデータから、視聴者のリアクションをデータとして制作にフィードバックする仕組みを作り上げています。

データを採ることは、最適化へ向けた指標を作り、次に何をすれば企業の成長を維持できるか、そして大きなビジョンを数字に変換し、ゴール達成へ向けた成長のマイルストーンを決めることにつながります。

これが、Y Combinatorの「方法論」の強さであり、我々の生活が着実に「スマート」になっていく現代の発展モデルにもなっています。

Scrum Ventures投資先企業によるピッチ [Scrum CEO Summit 2016 Report vol.3] に続く

[Scrum CEO Summit 2016 Report]
Vol.1 シリコンバレーにおける日本企業の投資活動
Vol.2 Yコンビネーター卒業生が語る「特別」の理由
Vol.3 Scrum Ventures投資先企業によるピッチ

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