自動車決済プラットフォーム「Car IQ」創業者インタビュー: Sterling Pratz

July 21, 2021 by Scrum Staff

このコンテンツはスクラムベンチャーズの米国投資チームの Rya Mendoza による Medium Founder Spotlight: Car IQ を翻訳したものです。

Car IQは、自動車が商品やサービスの代金を直接支払うことができる、初の自動車決済プラットフォームです。今回のスタートアップ創業者インタビューでは、Car IQの創業者兼CEOである Sterling Pratz 氏に話を聞きました。Car IQは、自動車が自律して銀行の決済ネットワークに接続し、受けたサービスを検証した上で支払いを行うことを可能にする決済ネットワークを開発しています。このプラットフォームにより、車両関連のサービスや支払いのフローでクレジットカードを使用する必要がなくなり、金融機関への直接接続が可能になります。

スクラムベンチャーズがCar IQに初めて投資したのは2019年8月のシリーズAラウンドです。実はスクラムは遅れての参加でした。Car IQの資金調達のプレスリリースを見て、そのコンセプトにひかれ、急いで連絡をしてみたところ、まだ投資を受ける可能性があるとのこと。早速話し合いを行ったところ、今後Connectedでスマートな社会が進むにつれ、モビリティと自動化において何か起こるか、創業者のビジョンはスクラムが考える将来像と共通しており、大きな可能性を感じました。

今後、自動車の所有モデルが変化し、自動車は1人で所有するのではなく、共有するものになるでしょう。また真の自律走行を実現するためには、運転だけでなく通行料金の支払いなどといった車内活動も自動車が自律的に行う必要が出てくるはずです。そしてM2M(Machine-to-Machine)通信は、モビリティや社会全般において非常に重要な役割を果たすでしょう。Car IQは、これらを現実に導く仕組みです。Car IQは、自動車が単独で取引を行うことを可能にする新たな決済技術を用いて、M2M接続における幅広いアプリケーションを準備しています。

私たちは、強力なチーム、高い技術、そして車両の支払いという素晴らしい初期ユースケースを見せてもらいました。各車両が直接サービス料を支払うことができるため、フリートオペレーターは車両の管理、透明性、機能を大幅に向上させることができるのです。

Q. どのようにして車両の支払いの“タッチレス化”を実現したのですか?

私たちは、銀行やカードネットワーク、サービスプロバイダーが信頼する特許取得済みの機械ID認証システムを基盤技術とする、車両決済プラットフォームを設計しました。これにより、自動車は、サービスに対する支払いを自動的に開始することができ、従来のカード決済プロセスが不要になります。モノのインターネット(IoT)は、あらゆるアプリケーションで進化しており、基本的なモノを決済メカニズムに変えるというコンセプトがあります。例えば、スマートホームは、すでに商取引の司令塔として機能しています。しかし、大事なのは信頼性です。現在のカードベースのソリューションは高価で管理が難しいだけでなく、深刻な詐欺の問題があります。私たちの新しい決済方法は、不正防止のためにいくつかの独自の層を設けることで、シンプルさと利便性を高めています。

Q. 会社を立ち上げるときに 「あ、これだ!」と思った瞬間はありますか?

直感したのは「スマートシティ」や「スマートテック」の到来を実感したときです。私は常々、自動車がガソリンや通行料、保険や修理などのサービスを自分で支払うようになるべきだと考えていました。私は以前にも会社を設立しているので、2度の起業経験があります。私の最初の考えは、車をインターネットに接続し、スマホをインターネットに接続することでした。2006年から2015年まで、私は車と”何か”の接続に取り組んでいました。その時私は既に自動車のテレマティクス・プラットフォームに取り組んでいたので、自動車の中に貴重なデータがあることを知っていました。そしてCar IQは、「人間が直接関与せずにコントロールする」という前提でスタートしました。それが私のこだわりでした。私たちは、固有の車両IDを作成して、自動車がマーチャント・プラットフォームに直接接続し、取引や支払いを行うことができるようにするという目標を掲げました。

Q. あなたは元プロのレーシングカードライバーですね。創業者として役に立つ経験はありますか?

確かに、アスリートとして培ってきた原理原則は、創業者にも当てはまります。役に立っているのは、第1コーナーに突っ込むことへの恐怖に耐える力ではなく、判断する能力です。これは、スタートアップを運営する上で、毎日、毎時間、100%実感しています。自動車レースは本当に複雑です。暑いし、汚いし、うるさいし、体に負担がかかるし、痛みを伴うこともあります。そして車の中にいるときは、常に判断しなければなりません。言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。ミスをおかさないためというより、自分の装備を最大限に活用するために、瞬時の判断が必要なのです。タイヤが消耗している?どのタイヤだ?私はグリップを失っているのか?向かい風が吹いているのか?車に乗っているときは、多くのことが同時に起こっています。常に動きや変化に対応し、柔軟に対応できるように、より状況に応じた意識を持つことが必要です。そして、その瞬間瞬間で判断を変える必要があります。それと同じように、創業者としては、1つのことに集中しながらも、常に全体像を把握し、すべてを意識しながら物事を進める必要があります。

Q, あなたは自分が恐れを知らないリーダーだと思いますか?不安になることはありますか?

怖いと思うことは良いことです。アスリートの知人がいますが、彼らは恐怖心がないわけではありません。恐怖心がないのではなく、恐怖心をどのように利用するかを知っているのです。私にとっての今日の恐怖は、投資家とのやりとりに関するものです。未知の世界であり、投資家にノーと言われるのではないかという恐怖。起業家になってハードだと感じるのは、”イエス “と言われるよりも “ノー “と言われることの方が多いことです。

Q. 創業者として印象に残っている出来事は何ですか?

印象に残っているのは、最初に創業した会社のAutonetが、アーリーステージだったにも関わらずCESに招待されたことです。CESの約1ヶ月前に、あるストリーミングサービスのCMOから電話がかかってきました。彼らのコンセプトを実証するためにAutonetの技術を貸したのですが、その技術が役に立ったというのです。CMOはその技術に感銘を受け、彼らのブースで私たちの製品を紹介するスペースを提供してくれました。

もちろん、私たちはこのチャンスに飛びつき、チームは展示に間に合うようにパッケージやプレゼンテーション資料を練り直しました。さらに展示だけでなく、CES開催の前日に行われるメディア関係者のみが参加するMedia Dayにも招待されました。私たちは、このイベントに実際の車を持ち込むことにしました。今では珍しくないですが、当時、車を持ち込むのは前代未聞のこと。それにまつわる面白い裏話があります。燃料が満タンの車を持ち込むことはNGで、車から燃料を抜く方法がなかったので、会社のメンバーが一晩中車を走らせてガソリンを抜いたんです。彼はラスベガスのネオンの下からスタートして、砂漠に向かい、星空の下を往復しました。Media Dayでは、誰も車の中でのインターネットを見たことがなかったので、メディアからは引く手数多で、たくさんの取材を受けました。怒涛の36日間でしたが、やり切ったかいがあったと思います。

Q. これから会社を立ち上げようとしている他の起業家にアドバイスをお願いします。

みんなで考えること。多くの起業家は、誰かに自分のアイデアを盗まれるのではないかと、人に話そうとしません。でも私は話すことが大事だと考えています。自分のアイデアを他人に話すことを恐れてはいけません。私がCar IQのアイデアを話し始めた時、シティバンクのCIOとつながりました。彼女に考えていることを話したところ、すでに何億台もの機械がインターネットに接続され、そういったサービスを求めていることを理解し、アイディアを認めてくれました。彼女は、私たちが開発した「fingerprinting」という手法を銀行に応用し、自動車やフリートを銀行に接続するという目標を理解してくれ、システムへの連携を許可するなど、シティバンクとしてサポートしてくれました。新しい起業家に言いたいのは、自信を持ちながらも謙虚さを持つこと。そして素晴らしいアイデアは、いかに素晴らしくても実際に実現しなくては意味がありません。

Q. 今回の資金調達において、スクラムベンチャーズの投資を受け入れた理由を教えてください。またスクラムベンチャーに期待することもあれば!

私たちがスクラムに魅力を感じたのは、メンバーが持つグローバルな経験と、大手自動車会社へのアクセスを含めた日本との関係です。日本には大手自動車会社があります。シリーズBラウンドでは、スクラムを通じたアジアとのコネクションが重要になると考えています。私たちは日本市場への参入を始めていますが、日本と韓国両方でビジネスを拡大していく必要があります。スクラムは、スマートシティに関連する技術への造詣が深く、インターナショナルでの文化的ノウハウを持っています。自分自身がアメリカとヨーロッパのバックグラウンドのみなので、非常に心強いです。

Q. Car IQのカルチャーについて教えてください。他のスタートアップとの違いは何ですか?

多くの創業者が言うと思いますが、Car IQは本当にみんなが協力的です。小さな会社なので、チームの誰もが必要に応じて協力し、お互いに学ぶことを惜しみません。チームには、PhD、自動車エンジニア、決済のスペシャリストがいます。最も興味深い議論は、お互いに学び合っているときに行われます。コロナ禍は誰にとってもチャレンジングだったと思いますが、Car IQのチームは常に連携し、協力し合う努力をし続けています。

Q. 最後に一言お願いします。

Car IQには、私たちがやっていることを信じ、チームを信じてくれる、とても素晴らしいパートナーがいます。2度目の創業者である私は、それがいかに重要であるか、そしていかにありがたいことかを知っています。スクラムベンチャーズからDiscover Financial Services、そして最終的にはパートナーであると感じてくれているお客様まで、私たちの成功を信じてくれる人たちと一緒に仕事ができるのは幸せです。また、このステージと規模の会社としては、強く勢いがあると自負しています。私たちが行っている仕事や解決している問題がそれを証明しています。

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