今週の注目5社:コバルト探査 / モバイル銀行 / 学生ローン / 短期派遣マーケット / 医療費削減

March 16, 2019 今週の注目スタートアップ

今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。

1.「コバルト探査」KoBold Metals

[SaaS/金属] KoBold Metals
Seed VC (NA) Andreessen Horowitz and Breakthrough Energy Ventures

コバルト探査用のプラットフォーム。

統計モデリングやデータ解析を駆使して地質データを調査し、コバルトなどの天然資源を効率的に探査できるプラットフォーム。現在北米で探査中という。コバルトは電気自動車やスマホのバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池に必須の金属で、安定的な供給が喫緊の課題となっている。ビル・ゲイツ、ジョフ・ベゾス、孫正義、ジャック・マーなどが出資する再生エネルギー分野向けのVC「Breakthrough Energy Ventures」が出資していることでも注目を集めている。

2018年創業、本社はバークレー。Andreessen Horowitz等から今回調達した資金は、引き続き開発に活用する予定。

2.「モバイル銀行」Chime

[Service/金融] Chime
Series D ($200M) Cathay Innovation, Coatue Management, Dragoneer Investment Group, DST Global, Forerunner Ventures, General Atlantic, ICONIQ Capital and Menlo Ventures

手数料がかからないオンライン銀行。

月額利用料や振込手数料、最低残高手数料、当座貸越手数料、海外取引時の手数料が一切かからない。売上は、ユーザーに無料で提供されるVISAデビットカードでの取引金額の一部をVISAから徴収する仕組み。給与の10%を自動的に貯蓄してくれるサービスや、デビットカードで支払をした際の$1以下の端数を切り上げて自動的に貯蓄してくれる機能なども提供。ミレニアム世代を中心に、既に300万件の口座(昨年から3倍)が開設されている。バリュエーションは、$1.5Bでユニコーン企業の仲間入り。

2013年創業、本社はサンフランシスコ。DST Global等から今回調達した$200Mは、短期貸付など新サービス開発に活用する予定。

3.「学生ローン」FutureFuel

[Service/ローン] FutureFuel
Series A ($11.2M) First Data Ventures, Impact Engine, Reach Capital, Rethink Impact, Salesforce Ventures and Vulcan Capital

学生ローンの返済を従業員給付としてサポートしてくれるサービス。

企業が従業員給付(未消化の有給休暇やボーナスなど)を通じて、学生ローンを一部返済してくれる。優秀な人材の採用・リテンションや、従業員のダイバーシティ拡大、学生ローンのストレス削減による生産性向上などのメリットがあるという。ターゲットとなるミレニアル世代は、ローン完済にかかる年数が3〜5年短縮できるという。ユーザーは既に数百万人。

2016年創業、本社はボストン。Rethink Impact等から今回調達した$11.2Mは、引き続きサービスの拡大に活用する予定。

4.「短期派遣マーケット」Instawork

[Marketplace/人材] Instawork
Series A ($8.2M) Benchmark

飲食やホスピタリティー業界向けの人材派遣マーケットプレイス。

企業はウェイターや皿洗いなど必要な求人情報(シフト)をプラットフォーム上でポストするだけ。後は、登録済みの候補人材が自身のスケジュールや資格などの条件を勘案し予約する仕組み。保険や請求・支払などの事務手続きは全てInstaworkが引き受けてくれる。求人の97%が24時間以内にマッチングされるという。現在、ベイエリアとロサンゼルスでサービスを提供。2019年にはカリフォルニア州全土にサービスを拡大する予定。

2015年創業、本社はサンフランシスコ。Benchmark等から今回調達した$8.2Mは、引き続きサービスエリアの拡大に活用する予定。

5.「医療費削減」Haven

[Service/ヘルスケア] Haven
Corporate Minority(NA) Amazon, Berkshire Hathaway, J.P. Morgan Chase & Co.

従業員の医療費削減のためのヘルスケアサービス。

Amazon、Berkshire Hathaway、JP Morganの3社が、自社の従業員120万人に対するヘルスケア制度の改善(高騰する医療費の削減など)を目的として設立した合弁会社。詳細は明かされていないが、質の高い医療を低コストで提供するために、2019年はチームの構築、リサーチおよび他社とのパートナーシップによるサービスプログラムのテストに重点を置く予定という。CEOは外科医のAtul Gawandeで、現在チームは12名。

2018年創業、本社はボストン。

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