今週の注目5社:レジなし決済 / DNA AppStore / AIセラピー / コネクテッドカーAPI / 自動運転
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「レジなし決済」AiFi
[HW/小売] AiFi
Seed VC ($4M) Amino Capital, AngelPlus Ventures, Greylock Partners, Hone Capital, Oriza Ventures, Plug and Play Ventures and Stanford-StartX Fund
小規模店舗でも利用可能な「レジなし」店舗システム。
カメラ・センサー・AIを活用することで、顧客が棚からとった商品を判別する。Amazon Goと同様に、顧客はアプリを使用して決済する仕組み。最大500人、数万のSKUをトラッキング可能。料金はシステム利用によるサブスクリプションモデル。2018年後半には、サンフランシスコでデモストアを開始するのに加え、ニューヨークに大規模なパイロットストア(食料品店)も立ち上げる予定。
共にApple・Googleで働いた経験を持つ夫婦によって2016年に創業、本社はサンタクララ(カリフォルニア州)、現在の従業員は25名。Stanford-StartX Fund
等から今回調達した$4Mは、引き続きシステム開発に活用する予定。
2.「DNA AppStore」Helix
[Service/DNA] Helix
Series B ($200M) DFJ Growth Fund, Illumina, Kleiner Perkins Caufield & Byers, Mayo Clinic, Sutter Hill Ventures and Warburg Pincus
DNA検査とサービスを組み合わせたスタートアップ。
まず最初に、Helixが開発した検査キットでDNAを解析。解析されたデータはHelixのデータベースに格納される。後は、自分の興味のあるDNAサービスをリストから購入するだけ。例えば、「Wine Explorer」と呼ばれるアプリでは、ユーザーのDNA解析結果に基づき、自分にぴったりのワインを提案してくれる。現在20のパートナーから35以上のアプリが提供されている。ユーザーはDNA解析費用(80ドル)に加え、自分が購入する各種サービスに対して利用料を支払う仕組み。
DNA解析大手イルミナからスピンオフする形で2015年に創業、本社はサンカルロス(カリフォルニア州)。DFJ Growth Fund等から今回調達した$200Mは、サービスの拡大に活用する予定。
3.「AIセラピー」Woebot
[Service/チャットボット] Woebot
Series A ($8M) AI Fund and New Enterprise Associates
チャットボットを活用したメンタルヘルスケアサービス。
チャット(会話)を通じてユーザーの精神状態を分析し、認知行動療法(CBT)に基づいた対応策(動画を見るなど)を教えてくれる。うつ病などの精神疾患患者向けで、一週間毎に感情の起伏をグラフ化してくれる。現在、Facebook MessengerとiOSアプリで利用できる。既に、130カ国以上のユーザーから、週に200万件以上のメッセージを受け取っているとのこと。
2017年創業、本社はサンフランシスコ。NEA等から今回調達した$8Mは、採用及び、引き続き開発に活用する予定。
4.「コネクテッドカーAPI」Smartcar
[SaaS/モビリティ] Smartcar
Series A ($10M) Andreessen Horowitz and New Enterprise Associates
コネクテッドカー向けの開発者プラットフォーム。
APIを通じて様々な車両情報(位置や走行データなど)を取得できるため、簡易にコネクテッドカー向けのアプリやサービスを開発できる。例えば、ユーザーの位置情報を元に現場に駆けつけ、一時的なデジタルキーでロックを解錠し、車内を清掃する(立会いの必要なし)サービスなどがこれまでに開発されている。既にBMWや米国Hyundaiと提携を発表。自動車産業の「サービス化」が進む中、今後ますます注目される領域。
2015年創業、本社はマウンテンビュー。NEA等から今回調達した$10Mは、採用及び、引き続きプラットフォームの開発に活用する予定。
5.「自動運転」Aurora Innovation
[Service/自動車] Aurora Innovation
Series A ($90M) Greylock Partners and Index Ventures
完全自動運転システムの開発。
完全自動運転(レベル5)の実現に必要な「センサー」「ソフトウェア」「データサービス」のフルパッケージを開発している。ステルスモードのため情報は少ないが、VW、Hyunai、Bytonなどとの提携が既に発表されている。更に、今回の調達でLinkedin創業者のReid Hoffmanと元CiscoのMike Volpiが新たにボードメンバーに参加するとのこと。
Googleの自動運転部門の元CTO Chris Urmson、Teslaの自動運転技術の元開発責任者Sterling Anderson、Uberの自動運転チームの元幹部だったDrew Bagnellら3名のオールスターによって2016年に創業。本社はパロアルト。Greylock Partners等から今回調達した$90Mは、引き続き自動運転システムの開発に活用する予定。