「シリコンバレーの動向を1時間で知る」勉強会Tackle! 一周年を振り返る
1年前の2015年7月から始めたScrum Ventures主催の勉強会「Tackle!」が、今月でちょうど1周年を迎えました。
小さく始めた勉強会ですが、東京とSanFranciscoの二ヶ所で、これまでに計「17回」開催し、のべ「491人」もの方々にご参加いただきました。
一周年というこの機会に、少し振り返ってみたいと思います。
「シリコンバレーの最新情報を一時間で」というコンセプト
まずは「コンテンツ」の話から。
Scrum Venturesの投資方針を説明するとき「Category Agnostic」という表現を使います。「カテゴリーを問わず」という意味です。
実際にScrum Venturesでは、コマース、FinTech、ヘルスケアといった「消費者向け(B2C)のネットサービス」、ドローン、衛星といった「ハードウェア」、VR、セキュリティ、といった「エンタープライズ向け(B2B)のソリューション」など幅広く投資を行っています。投資先一覧はこちらです。
我々の投資チームは私を含めて3人(今はサマーインターンのMBA生が+1人)と非常に小さなチームで、この投資を行っています。当然すべての領域の専門家を揃えているというわけではなく、私自身が興味のあるカテゴリーを見つけると、調査プロジェクトを立ち上げてその業界のリサーチを行い、徹底的に業界構造やテクノロジーを理解した上で、その分野での有望なスタートアップ企業に投資をするというスタイルです。
Tackle!では、そのリサーチの過程で見つけた「面白いトレンド」「知見」についてお話ししています。
コンテンツは大きく分けて、「Monthly Startups Fundraising」と「Monthly News Watch」の二つです。
「Monthly Startups Fundraising」では、このブログで月に20社紹介している「今週の注目5社」という最近資金調達をした面白いスタートアップの中から、5社をピックアップして、その企業のテクノロジー、ビジネスモデル、注目ポイントなどについてお話ししています。
これは、Branchというアフリカで「スマホを使った消費者ローン」を行っているFinTechの事例ですが、コマース、ヘルスケア、メディア、エンタープライズ、ロボット、ドローンなど幅広い分野で、なるべく示唆のあるスタートアップを取り上げるようにしています。
一方、「Monthly News Watch」は、毎週私が書いているブログを元にして、主にGoogle、Facebook、Appleなど、その一ヶ月で重要であると思われるプラットフォーマーの新しい動きを中心に、その解説と裏側にある意図や狙いなどをお話しするようにしています。
前回はFacebookの開発者向け会議の発表の内容をベースに、彼らの長期ビジョンとその裏側にある技術的背景などについて話をしました。
来週月曜日の回では、一年に一回Mary Meekerという有名なアナリストが発表する「Internet Trend」というレポートの要点と、GoogleのARプラットフォームである「Tango」について取り上げる予定です。
「多様な業種の参加者」によるディスカッションの価値
次は「フォーマット」の話です。
Tackle!は、私が一方的に話をするだけでなく、活発なディスカッションを奨励しています。様々な業界、会社の方々が参加をしていますが、Chatam House Ruleを適用することで、参加者の方が発言をしやすいように配慮しています。
これまで一年間にTackle!にご参加いただいた方々の業種の分布は以下のようになります。
東京、San Franciscoとも「ネット /テクノロジー」「コンサル / SI」とテクノロジーに近い方が最も多い業種となっていますが、金融、メディア(テレビ局、新聞、雑誌など)、携帯キャリア、不動産、住宅、商社など非常に幅広いカテゴリーの大企業の方々がご参加されているのが特徴だと考えています。
その時々のテーマのご専門の方をディスカッションに巻き込みながら議論を深めていく、というのがTackle!のスタイルとなりつつあります。
生まれて10年以下のUBERが、トヨタを除くすべての自動車メーカーの時価総額を上回る価値になると誰が想像できたでしょうか?Marc Andreessenが「Software is eating the world」といったのは2011年ですが、近年はソフトウェア、サービス「だけ」でできることはすべてやり尽くされた( “Everything has been invented”)という状況になり、スタートアップの主戦場は「既存の巨大産業のDisrupt」にあります。しかもそれらの多くは、UBERのように「既存産業のルールとは全く異なるところ」からやってきます。自分の業界の知識だけを深めていても勝てない時代が来ているのです。
幅広い様々なシリコンバレーのニュースを、様々なバックグラウンドと専門性を持った方々とディスカッションを行うことで、一つでも何か新しい気づきがあればと考えています。
「ライブ中継」「オンライングループ」など二年目も盛り上げます!
二年目に入るTackle!ですが、良いところは継続し、新しいことにもどんどんチャレンジをしていきたいと考えています。
前回は、初めてFacebook Liveの機能を使ったライブ中継を行いました。
「音声が聞き取りづらい」などテクニカルな課題もあったのですが、より幅広い方々にご参加いただけるようにまたチャレンジしたいと考えています。
また、新たにTackle!参加者専用のFacebookグループもスタートしました。事前にディスカッションテーマのご要望を受け付けたり、事後に継続してディスカッションを行えるような場として使っていければと思います。過去の参加者の方々はどなたでもご参加いただけますので、追加申請をしていただければと思います。
来週の月曜日はTackle!と一周年記念のパーティーがあります。
今回は朝8時から開催している通常と異なり、夕方からの開催ですが、パーティーだけでも参加できますのでご興味ある方はぜひご参加ください。申し込みはこちらからです。
最後になりますが、Tackle!では常にボランティアも募集しています。学生、若手社会人の方々は会場の準備などを手伝っていただければ、ただでTackle!の話が聞けます!ご興味あるかはたご連絡ください。
ということで、二年目もTackle!をよろしくお願いします。