今週の注目5社:クラウドHPC / 赤ちゃんAIモニター / オンラインセラピスト / オンライン公証 / 業務用ARメガネ
今週も一週間の資金調達のニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「クラウドHPC」Rescale
[Enterprise/HPC] Rescale
Series A ($14M) Data Collective, ITOCHU Technology Ventures, Jump Capital, Microsoft Ventures, TransLink Capital and Two Roads Group
飛行機のデザインなどの複雑な処理を高速に行う「HPC(High Performance Computing)をクラウド上で行うソフトウェア」を提供する。
ボーイングで787の羽などのデザインを担当していたエンジニアが創業。飛行機のデザイン、自動車のデザイン、テストなどの複雑な処理を最適化し、高速に行うためのソフトウェアを提供。Amazon、Microsoft、Googleなどのクラウド環境に対応している。現在のクライアントは、大手の航空機メーカーなど。
株主には超豪華エンジェルが並ぶ。VirginグループのRichard Branson、AmazonのJeff Bezos、PayPalのPeter Thiel、Y CombinatorのPaul Grahamなど。現在は、製造業にフォーカスをしているが、将来的には再生医療やエネルギーの分野にも進出予定。
2.「赤ちゃんAIモニター」Nanit
[HW/ベビー] UdiSense
Series B ($6.6M) AME Cloud Ventures, Flextronics International, Jacobs Technion-Cornell Institute, Mark Suster and RRE Ventures
画像認識と機械学習を使った赤ちゃんモニター。
ベビーベッドに設置する赤ちゃんモニターで、クラウドに繋がったカメラで赤ちゃんの様子を観察できる。特徴は画像認識と機械学習が組み込まれたバックエンドで、赤ちゃんの動き、睡眠などを詳細に検知、分析してくれる。両親は、アプリから「何時に寝たか」「起きているか」「睡眠の状態は」という情報をリアルタイムで確認できる。
価格は$349(プレオーダー価格は$279)で、9月から出荷開始予定。また月額契約($10)が別途必要となる。
3.「オンラインセラピスト 」Talkspace
[Marketplace/ヘルス] Talkspace
Series B ($15M) Norwest Venture Partners, Softbank Capital, Spark Capital and TheTime
オンラインで「セラピストとメッセージができる」サービス。
セラピストに何か相談したいことがあるときに、病院に行くのではなく、ウェブもしくはアプリから、気軽に相談を行える。週$25を支払うと、「無制限」に資格を持ったセラピストとメッセージのやりとりが可能。昨年ユーザ数が3倍に伸び、現在30万人が無制限プランを利用しているという。セラピストの側も1,000人まで増加。
10月に非同期型の音声、動画プラットフォームも開始予定。また、今回の増資で、グループセラピーなどの新機能も立ち上げるという。
4.「オンライン公証」Notarize
[Service/法務] Notarize
Series A ($8M) Founders Fund, Ludlow Ventures and Polaris Partners
公証人による「書類の認証がオンラインで受けれる」サービス。
これまでは認証を受けるためには、公証人がいるリアルなお店に行く必要があった。Notarizeでは、スマホのアプリを使い、書類と免許証をアップロード、本人確認の上公証人とビデオチャットで面談し、認証が受けられる。公証人はオンラインで電子認証を行う。費用は一回あたり$25。
認証は遠隔認証が合法となっているVirginia州で行われているが、50州全てで利用が可能だという。サービス開始間もないが、すでに1,000の書類を認証しているという。
5.「業務用ARメガネ」Meta
[HW/VR] Meta
Series B ($50M) Comcast Ventures, Horizons Ventures, Lenovo Group, and Tencent
「ARヘッドセットおよびプラットフォームを開発」しているスタートアップ。
Meta2というモデルのDevelopers Kitを、今年の第三四半期の出荷を目指しプレオーダー($949)を受け付けている。サイズはかなり大きなヘッドセットだが、90度とかなり広い視野角(以前のバージョンは35度。GearVRは98度)を実現しているという。
今回のラウンドの時価総額は$300M程度とみられており、LenovoやTencentといった戦略投資家も参加している。今回の資金は時期バージョンの開発(Meta3)および中国などへの展開に使うという。