Cyber Monday 10周年。ついにオンラインがオフラインを抜く。
小売業者が最も忙しい一週間。Black Friday / Cyber Monday。
米国の小売業者にとって一年で最も重要で、最も忙しい一週間、Thanksgiving Week が終わりました。
昨年は、「今年は”Mobile Thanksgiving”。Cyber Mondayは過去のもの。」というポストでモバイルの躍進について書きましたが、今年は「さらに」オフラインからオンラインへのシフトが進んだようです。
ついにオンラインがオフラインの売り上げを上回る
全米小売協会(NRF : National Retail Foundation)がこの期間のオフラインおよびオンラインにおけるショッピング統計データを詳細に発表しています。
* 集客数
- 全米の61%の消費者、1.5億人がこの週末に買い物しました 。
- そのうちオンラインで買い物をした人数は1.03億人、オフラインで買い物をした人数は 1.02億人でした。
- 店舗内データ分析ソリューションのRetail Nextのデータによれば、この期間のオフライン店舗内のトラフィックは増えていませんでした。
- モバイルからのトラフィックは 57%。そして売り上げは 36.1%で、30.3%の昨年から大きく増加 。
* 売上
- 一人当たりの平均購買額は、$299。
- 史上初めてオンラインでの売り上げが、オフラインを抜きました。ちなみに、米国のEC化率は2014年で8.3%。
- Black Fridayのオンライン売り上げは $2.74Bとなり、昨年の14%増。
- 一方で、リアルのお店での売り上げは 昨年の $11.6Bから$10.4Bに大きく減少している。
Cyber Monday 10周年。この傾向はますます加速する。
日本よりも小売のEC化が進んでいる米国とは言え、EC化率は10%弱。
そんな中、お店に行列を作るのが一大行事となっていたBlack Fridayの売上でオフラインをオンラインが上回ったというのは、小売業にとってはメルクマール的な出来事になったと言って良いでしょう。
果たして来年以降はどうなるのでしょうか?
私はこのトレンドは止まらない、むしろ加速していくのではないかと考えています。
理由はシンプルで「価値が明確だから」です。
オムニチャネルの試験場に
深夜にお店に行列を作って、競うようにセール品めがけて走るというExperienceと、自宅の暖炉の前で家族とわいわいやりながらスマホでショッピングをするのとというExperienceとどちらがいいのでしょう?答えは明確だと思います。今はWebかMobileですが、来年くらいにはApple TVなどをみんなで眺めながら買い物をするというシーンもあるかもしれません。
かといって、オフラインのお店には未来がないということではありません。
事実Targetも、トラフィックが集まりすぎてサイトが落ちるという災難に見舞われながらも、今年のCyber Mondayには史上最大のオンライン売上を記録しています。
スクリーンショットはTargetのアプリですが、すべての商品を検索すると「お店での棚の場所」が表示されるようになっており、店舗への誘導を促そうとしています。どこまでこうしたオムチャネル施策が効果を生み出しているかはわかりませんが、非常に面白い取り組みだと思います。
また、Walmartもオンラインで注文したものを店舗で受け取るためのロッカー を発表しています。日本の感覚では理解しづらいと思いますが、オンラインでの購入の体験が良くても、配送 / 物流は最悪(届かないことも非常に多い)なので、こうした新しい仕組みが重宝される下地はあります。
いずれにしても、10%ならまだしも、50%を越えてきたBlack Fridayのオンライン売上、どんなお店でも無視できないはずです。来年は、今年以上にオンラインとオフラインを組み合わせた「新しいオムニチャネルの仕組み」にトライするプレイヤーが増えるのではと期待しています。