「データでスタートアップを作る時代」への第一歩、Amazonが新ストア ”Launchpad”をスタート。

August 3, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

先日発表されたAmazonの2015年 2Q決算は、売上 $23.18B (YoY +20%)、営業利益 $92M ( 前年同期 -$126M )と非常に好調でした。これを受けて株価は急上昇し、売上規模では5倍程度ある小売最大のウォルマートの時価総額 ($233B)を初めて上回り、世界最大の時価総額($248B)の小売業 となりました。

もはや新規事業とは言えない規模となっているAWSの急成長(売上 $1.82B / YoY +81%)も目覚しいものがありますが、未だ順調に増加をし続ける年間$99のプライム会員が牽引する米国内事業の伸び(売上 $13.79B / YoY +26%)にはAmazonの底力を感じます。

人工知能スピーカー「Echo」、スマート発注ボタン「Dash」、家庭向けサービス「HomeService」など、新しい製品、サービスを立て続けに投入し続けているAmazonですが、今週「Launchpad」という新しいストアをスタートしました。

Launchpadは、ハードウェアスタートアップの製品を集めた新しいストアで、製品の発表から販売、プロモーションまで行える場所です。すでに200以上のプロダクトがLaunchpadに並んでおり、gadget(ウェアラブル、自動車、スポーツなど)、body(ベビー、ヘルスなど)、house (キッチン、ペット、おもちゃなど)などの幅広いカテゴリーの商品が揃っています。

弊社の投資先の「心の状態が測定できるウェアラブルデバイス」SpireもLaunchpadに入っていますが、スタートアップ毎のページが作られ、写真、動画、ブランドストーリーなどをちゃんと紹介することができるようになっているのが特徴です。Shopifyなどを使って自社でECを立ち上げる、Kickstarterなどのクラウドファンディングを使うなど、ハードウェアスタートアップが自社製品を販売するには様々なオプションがありますが、「Amazonのレコメンデーションを通じて多くの消費者にリーチできる」「10の海外の物流拠点を通じてグローバル展開ができる」という点は、スタートアップにとって大きな魅力となりそうです。

このLaunchpadは、Amazon単体の企画ではなく、Y-Combinator、Andreessen Horowitzなどのトップインキュベータ、VCがパートナーとなっているということです。確かにSpireをはじめとして、YC出身スタートアップが数多く参加しているようです。これまでも数多くのスタートアップを買収しているAmazonですが、よりスタートアップのエコシステムに深く関与していくという意思表示のようにも感じます。

弊社の三浦がBlogで書いているように、ドラマや映画などのコンテンツの分野は「データ全盛」の時代に突入しています。従来のテレビや映画と異なり、NetflixやAmazon Prime Videoではユーザの利用動向を詳細に把握できるようになったことで、「当たるコンテンツを事前に予測」して制作を始めるというのが常識となっています。

スタートアップはどうでしょうか?

First Round Capitalが、過去10年300社の投資データから、成功するスタートアップの傾向を分析したデータを発表しています。このデータによれば、「女性」の創業者で、「若く」、「Ivy League」の大学出身で、Googleなどの「大手テック企業出身」で、「Co-Founder」がいる場合の方が成功の確率が高いそうです。

また以前B-Dash Campで一緒にパネルをやったTrevor Kienzle率いるCorrelation Venturesのように、「データで投資決定する」というユニークなVCも出てきています。彼らは過去20年以上のVC投資の詳細なデータ(投資家、取締役、セグメント、調達、Exitなど)を元にした分析をベースに投資判断をしています。

Launchpadが拡大し、多くのハードウェアスタートアップのデータがAmazonに溜まっていったらどうなるでしょうか?

コンテンツ同様、従来は不確実性が高いとされてきたスタートアップですが、「データでスタートアップの成功が予測できる」時代が来るかもしれません。


資金調達

「オンデマンドドローン」のDroneBase、「VRソーシャルプラットフォーム」のAltspaceVR、「オンデマンド弁護士」のUpcounselなどが新たに資金調達しました。DroneBaseは、「DroneのUBER」みたいなサービスで、自分でDroneを準備しなくても必要なときに代わりに飛ばしてくれるサービスです。AltspaceVRは、SecondLifeを彷彿とさせるサービスですが、高機能化したVRの時代にどのような存在になるか非常に楽しみです。

[Marketplace/ドローン] DroneBase
Seed VC – II (N/A) SkyFund
「オンデマンドドローン」

[Service/ヴァーチャルリアリティ] AltspaceVR
Series A ($10.3M) Comcast Ventures, Maven Ventures Growth Labs, Tencent
「VRソーシャルプラットホーム」

[Marketplace/法務] UpCounsel
Series A ($10M) Homebrew, Menlo Ventures and Metamorphic Ventures
「オンデマンド弁護士」

[SaaS/ディベロッパー] GitHub
Series B ($250M) a16z, Sequoia Capital and Thrive Capital
「コードシェアプラットフォーム」

[SaaS/決済] Stripe
Series D (undisclosed) American Express Ventures, KPCB, Sequoia Capital and Visa
「オンライン決済プラットホーム」


M&A

[Service/ファッション] Polyvore
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