adidasがフィットネスアプリRuntasticを$239Mで買収。盛り上がるデジタルヘルス市場の6つの注目分野とは?

August 10, 2015 by Tak Miyata

大手スポーツ用品メーカー adidasが、フィットネスアプリ大手 Runtasticを$239Mで買収しました。

Runtastic は、2009年オーストリアで創業されたヨーロッパ発スタートアップです。アクティビティトラッキングアプリであるRutasticを筆頭に、フィットネス系で20ものアプリをリリースしており、これまでにトータル1.4億ダウンロードの実績があります。また、「アプリ」だけではなく、体重計やトラッカーなど様々な「ハードウェア」も開発、販売しているというのが特徴です。

今年の2月には、Under Armourが、同業のMyFitnesspalを$475Mで買収しています。自社でトラッカー Fuel Bandを開発するなど従来からデジタルに積極的なNikeと合わせて、スポーツ用品メーカーの「スポーツ x データ」の動きはますます加速していきそうです。

こうしたフィットネス、ウェアラブルの領域にとどまらず、「デジタルヘルス」の領域は全般的に大きな盛り上がりを見せています。

ヘルスケア専業のインキュベータ RockHealthが出しているデジタルヘルス業界の投資レポートによると、2015年上半期のベンチャー投資額は、史上最大となった昨年とほぼ同等の$2.1Bとなっています。これはベンチャー投資全体の5%の数字です。

中でも多くの投資を集めている分野は下記の6つです。カッコ内は2014年のベンチャー投資額と当該カテゴリーのScrumの投資先企業です。

1 : Wearables and Biosensing(ウェアラブル / $387M / Spire)
2 : Analytics and Big data(データ解析 / $212M)
3 : Healthcare consumer engagement(消費者向け / $176M / Noom)
4 : Telemedicine(遠隔医療 / $169M / First Opinion)
5 : Enterprise Wellness(企業向け / $128M)
6 : EHR and Clinical Workflow(電子カルテ / $74M)

デジタルヘルスはScrumの注力分野の一つですが、この分野を見る時に「データとの関わり方」という切り口で見るようにしています。データを「作る」のが1、「解析する」のが2、そして、それを「活用する」のが3-6。勃興期の今は、そのいずれにもチャンスがあると考えています。

これまで一年に一度の健康診断でしかとれなかった健康データは、2019年に年間1.2億台以上の規模の市場になると言われているウェアラブルデバイスが増えることが一因となり、日々刻々と大量に生み出されています。

しかしながら、現時点では万歩計のように自分の歩数が確認するくらいで、そのほとんどのデータは何にも使われていないのが現状です。ただそこには一流アスリートのスキルの秘訣といったポジティブなもの、食生活や生活習慣病の兆しのようなネガティブなものなど、解析ができ活用ができれば宝の山となる多くのデータが潜んでいるはずです。

先日の、Facebookに関するポスト「売上の1/3をR & Dに投下するFacebook。ザッカーバーグが明かしたAIを研究する理由。」で、大量の写真や動画を解析することで、Facebookがコミュニケーションに革命を起こそうとしていることについて書きました。

大企業もM&Aにより続々と参入しはじめた健康データ、デジタルヘルスの分野で、これからどのような技術的ブレークスルーが生まれるのか、どのようなスタープレイヤーが生まれるのか、そして我々の生活をどのように変えるのか、大いに期待したいところです。


資金調達

「専門家つきコマース」のEnjoy Technology、「GIFアニメ入力キーボード」のRiffsy、「オフィスIoTセキュリティ」のBastille Networksなどが新たに資金調達しました。Enjoy Technologyは、Eコマースの課題の一つである「買ったけど使い方が分からない」を解決しようというサービス。ガジェットなどを注文すると、その使い方を説明してくれるエキスパートが届けてくれるというアプローチ。Riffsyは、「LINEのスタンプをいろんなところで使えたら」という願いを叶えてくれるアプリ。ある意味逆転の発想。

[Commerce/ガジェット] Enjoy Technology
Series B ($50M) Highland Capital Partners, KPCB and Oak Investment Partners
「専門家つきコマース」

[App/コミュニケーション] Riffsy
Series A ($10M) Cowboy Ventures, Menlo Ventures, Redpoint Ventures
「GIFアニメ入力キーボード」

[SaaS/セキュリティ] Bastille Networks
Series A ($9M) Bessemer Venture Partners, Chris Rouland and Tom Noonan
「オフィスIoTセキュリティ」

[SaaS/人事] Payable
Seed VC – II ($2.1M) Freestyle Capital, Lerer Hippeau Ventures, Redpoint Ventures
「フリーランス向け支払いSaaS」

[Service/開発] Koding
Series C ($10M) 500 Startups, Khosla Ventures, Matrix Partners
「エンジニア向け共同開発コミュニティ」


M&A

[App/フィットネス] Runtastic
239M by Adidas
「フィットネスアプリ」

[Service/ファイナンス] Standard Treasury
N/A by Silicon Valley Bank
「金融機関API」

[App/写真] Wedding Party
N/A by Instacart
「ウェディング写真共有」

[SaaS/CRM] Incent Games
N/A by Microsoft
「営業向けゲーミフィケーション」

最先端の技術調査、市場調査、戦略コンサルティングを行っています

スクラムベンチャーズは、年間1000社超の企業調査の実績をもとに、企業のご要望に合わせてコンサルティングやリサーチを行っています。