ウェアラブル業界の先駆者 FitBitがIPO。グロスマージンはGoPro(45%)、Apple(39%)を上回る48%。

June 22, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

急成長中のウェアラブル業界の先駆者 FitBitが、ニューヨーク証券取引所にIPOしました。

2007年創業の同社は、スマホの普及により価格が急激に下がった加速度センサーを用いることにより、歩数を簡単に測定することができるヘルスケアトラッカーを2009年から販売しています。現在は、製品のラインナップも広がり、$59の廉価版から、心拍数なども測定できる$249ドルの高機能版、ワイヤレス体重計なども販売しています。

2014年の売上は$750Mに達し、2015年には$1.6-2.0Bにまで成長すると予測されています（RockHealthが出しているS-1の分析レポートが非常に詳細です）。またグロスマージンが48%と非常に高く(GoPro 45%、Apple 39%）、2014年の営業利益が$158Mとなっています。

昨年IPOしたGoProと比較すると、売上（$985M）は及ばないものの、営業利益（$60.5M)は大きく上回る数字となっています。正直、ヘルスケアトラッカーで$750Mの売上、$158Mの営業利益というのは、想像を超えて大きい数字でした。

ウェアラブルデバイス、一度試しで買ったけれど、すぐに使わなくなってしまったという声もよく聞きます。

FitBitは、Paid Active Users ( PAUs )という独自の指標を公開しています。公表データによると、購入ユーザのうちアクティブに使っている比率（PAU/RU）は、2014年で46%。一般的な指標ではないためこれが高いのか低いのかは判断が難しいですが、これまでに販売した端末のうち1000万台以上はすでに使われていないという計算になります。

当初$100M程度を調達する計画であったIPOですが、株価は60%も跳ね上がり、時価総額は$6.5B、$740Mもの調達に成功しました。FitBitは、これまでに$818M以上調達している同業のJawbone（最近FitBitが人材を引き抜いているとして訴訟を起こしています）などに対して、上場前にVCから調達した額は$66Mだけでした。

2007年当時、まだハードウェアスタートアップが珍しい時期で、資金調達にはかなり苦労したようです。そんな中シード資金を投じたのは、当時ファンドをスタートしたばかりだったSoftTechVCでした。今や著名VCに名を連ねる彼らが投じた125kのシード投資は追加投資分も合わせて、今回のIPOで$124Mになったそうです。

まさにFirst Mover Advantageを活かして急成長したFitBitですが、JawboneやMisFitといった同業との競争や、スイスの高級時計売上を10%近く奪っているとも報じられたApple Watchのような大物も参入したウェアラブル業界において、今回調達した資金をどのように使っていくのか注目したいところです。