これから自動車業界に起こる3つの変化。一世帯当たりの車台数が「半減」する時代に何が起きるのか?

January 27, 2016 スクラム代表・宮田ブログ

Scrum Venturesでは、スマートフォンの次の大きなトレンドとして、IoT、中でも「自動車」のスマート化に大いに注目しています。その関連分野として、クラウドソーシングバス( Chariot )、ハイブリッドドローン ( Top Flight Technologies ) 、画像AI( Placemeter )などに投資を行っています。

昨年12月には、自動車関連スタートアップ 174社をまとめたレポートを発表し、自動車メーカー、コンサルティング会社、金融機関など多くの業界関係者の方々にご利用いただいています。

今年に入ってから、CES、デトロイトのモーターショーと立て続けに自動車関連のイベントがありました。面白いニュースも立て続けに出てきたので、これから自動車産業にどんな大変革が起きるのかを「3つのポイント」で整理しておきたいと思います。

ポイント1:車は「買う」ものから「使う」ものへ。

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Source: Uber usage by business travelers surpassed taxi and car rentals in 2015

UBERの躍進はもはや言わずもがなですが、経費精算ソフトのCertifyがUBERの利用に関して非常に面白いデータを公開しています。

Certifyのデータによれば、「2015年、ビジネスの出張時の利用において、UBER(41%)が、Taxi(20%)とレンタカー(39%)を上回った」ということになったようです。実感値に近いですが、全米のデータとして、そして「Taxiの2倍」というのはさすがに少し驚きです。

また、これはあくまでビジネス利用に限ったデータですが、少し前にBarclaysが出した自動運転車普及後の自動車業界についてのレポートには以下のポイントがまとめられています。

  • 一世帯あたりの「車の所有数」が2.1台から1.2台とほぼ「半減」する。
  • 新しい車の利用形態として「SAV ( 運転手なしUBER)」「PSAV(運転手なしUBER Pool)」が生まれる。
  • 「自動車の販売」は最大「40%減少」する。

携帯電話時代に「スマホが普及したらこうなる」というレポートはなかったと思うので、このレポートは非常に面白いです。仮説ですし、数字としては衝撃的ですが、この大きなトレンドに関しては誰も疑わないでしょう。

こうした背景があり、この一ヶ月に立て続けに出た大手自動車メーカーの動き、GMによるLyftへの$500Mの出資GMによるSidecarの買収Fordが自動車メーカーから自動車サービスへの転換を表明、につながっていると思います。

ポイント2:「車アプリ」市場の勃興。

自動運転の普及は自動車の「利用形態」だけでなく、自動車に乗っている間のユーザの「行動」自体も変容させることが想定されます。

アメリカでは一日に平均で「46分間」車に乗っているそうです。

しかし、これまでは運転手はハンドルを握っている必要があるため何もすることができませんでしたし、同乗者もスマホでゲームをしたり映画を見たりするくらいしかできませんでした。

これが自動運転の普及で運転手が運転から解放され、車がインターネットに常時接続されることで、大きく変わります。

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Source: ボルボの自動運転のコンセプトカー

今はネットラジオのPandoraくらいしか選択肢がない「車アプリ市場」ですが、2017年までには$1.2Bの規模にまで成長すると予想されています。$77Bまで成長したモバイルアプリ市場と比べればはるかに小さいですが、移動手段である車の中で様々なアプリやサービスが使えるようになると考えると、コマース、サービス、エンタープライズなど様々なジャンルのビジネスが広がりそうです。

スマホの普及によりたくさんのユニコーンが生まれましたが、スマカ(?商標とっとこうかw)で一旗あげるスタートアップはこれから数年でたくさんできてきそうです。

ポイント3:新興プレイヤーの参入。

今の自動車業界と同様に、「スマホ前」の携帯市場は大手企業が独占していました。Nokia, Motorola, Samsung, Siemens, LG, SONYで市場の8割を占めていた時代が懐かしいです。

これがどう変わるのでしょうか?
その一つのヒントは日本にあります。

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上の写真は、日本のスタートアップが開発している電気自動車トミーカイラです。

このスタートアップが面白いのは、この自動車で「自動車メーカー」になろうとしているのではなく、この「EVプラットフォーム」で事業展開していこうとしていることです。中国のネット大手のTencentがFoxconnと組んで自動車業界に参入というニュースもありましたが、トミーカイラのプラットフォームを使うことで、ある意味「誰でも」自動車業界に参入できるということです。

日本でいうとLINEや楽天、ソフトバンクなどは少なくとも参入の検討はしているのでしょう。今スマホをビジネスに取り入れていない企業はどこにもいなくなったのと同じように、5年後には誰もがスマカ関連のビジネスをしていることでしょう。

ということで、まだ2016年始まったばかりですが、とにかく変化が大きな自動車業界。スマホの大波に乗り遅れたという方、大チャンスです!

ということで、自動車業界の未来にご興味がある方は、Scrum Venturesのレポートも御覧くださいw

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