スタートアップ、エンジェル投資シンジケート設立、そしてスクラムへ―Ryan Mendoza [Staff Interview]

September 24, 2021 スタッフインタビュー

米国におけるアーリーステージスタートアップのソーシングおよび投資を担当するRyan Mendoza(ライアン・メンドーサ)。スクラム参画以前は、ペンシルバニア大学によるアクセラレーターPCI Venturesで、大学で開発された技術をベースにしたスタートアップの支援を行っていた。また材料科学のスタートアップに初期メンバーとして参画した経験や、自身が設立したエンジェル投資グループでの投資経験を持つ。

スクラムベンチャーズのパートナーであるRyan Mendozaは、自身のキャリアを決める前から、電気系エンジニアのようなテクノロジーに関する基礎と問題解決能力を身に付けたいと思っていました。彼はエンジニアリングの学士号を取得した後、西海岸を離れ、ペンシルバニアにあるロッキード・マーティン社に就職。 ロッキード・マーチン社にはリーダーシップ開発プログラムがあり、経営の仕事に魅力を感じていた彼にとっては、魅力的なキャリアパスでしたが、最終的には、ペンシルバニア大学の大学院に進学し、電気工学の特定の分野をより深く学ぶことにしました。

その数年前、ナノテクノロジーの分野では、米国の国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)に対する連邦政府からの資金援助が大幅に増加し、支援と投資が着実に拡大していました。実際、2001年から2014年にかけて、連邦政府はNNIを通じて$19B以上のナノスケール科学、エンジニアリング、テクノロジーへの投資を指示しています。

この分野の成長に貢献するため、Ryanはペンシルバニア大学で、物理学の研究を行い、そこからスピンアウトしたグラフェン・フロンティア(グラフェンの生産を拡大するプロセスを開発する材料科学ベースの会社)をリードしました。エンジニアリング部門のSenior Vice Presidentとして、技術・エンジニアリングチームの構築だけでなく、マーケティング、資金調達、契約管理、事業開発などを4年間にわたり担当しました。

グラフェンは5年間順調に成長し、彼はスタートアップと関わる仕事に興味を持つようになりました。「当時、ベンチャーキャピタルの仕事についてはあまり知りませんでしたが、フィラデルフィアでは多くのスタートアップ企業と出会うことができました」と彼は語ります。

この経験をきっかけに、エンジェル投資シンジケートを設立し、ペンシルバニア大学のインキュベータープログラムに参加して、工学部から生まれた技術系スタートアップを担当することになりました。その数年後、スクラムがいくつかの大学のインキュベーターとやりとりしていた際に、Ryanはスクラムベンチャーズに出会いました。そしてアソシエイトとしてスクラムに参画することになりました。

スクラム入社前にエンジェル投資シンジケートを立ち上げたときのことを教えてください。その経験から学んだことはありますか?

3年間フルタイムの投資家として、たくさんのことを学びました。最も大きな教訓は、バラエティーに富むポートフォリオを持つことの重要性です。ベンチャーキャピタルのリターンは「べき乗則」的な分布をしていますから、複数の企業からなるポートフォリオを持つことが重要です。数社にしか投資しないのでは、成功の可能性は非常に低くなります。20社程度の投資ができるようになるまでは、成功のチャンスは限られているんです。

ペンシルバニア大学のインキュベーターでは、多くの企業の役員を務めました。その経験から得たことを教えてください。

一般的なボードガバナンスについて学びました。何が効率的な取締役会なのか、どのような意思決定プロセスが必要なのか。投資家の取締役会の役割は、議題を推し進めることではなく、聞きづらいことでも質問をすることであり、CEOの動きを確認し、時には異議を唱えることであり、また手助けをすることだと学びました。良い相談相手になる方法や、特定の経営陣にとって適切なリソースを見つけ出し、それらのリソースをCEOに提案する方法も学びました。

ベンチャーキャピタリストに必要なスキルや特性は何だと思いますか?

好奇心、高いEQ、そして臨機応変さです。必要な情報を見つけるために創意工夫したり、適切な質問をしたり、臨機応変に対応をする必要があります。

ベンチャーキャピタリストになるにも、 アントレプレナーシップが必要だと感じます。ネットワークを構築し、率先して人と関わり、関係を築くことができるかどうかに、仕事の成果が大きく左右されます。

また木を見るだけでなく、合わせて森も見る。詳細を把握する必要がある一方で、全体を俯瞰して見る能力も必要です。

時間管理も重要な要素です。VCの役割は、さまざまなタスクや活動で構成されています。いつ、何を優先すべきかを理解しておく必要がありますし、何にどれだけの時間を割くべきかを決めることはとても重要です。

今、注目している分野を教えてください。

API、ノーコードツール、AIなどのエンタープライズソフトウェアのカテゴリーに興味を持っています。今後10年間でエコシステム全体がどのように進化していくかに、大きな影響を与えると思います。また、フィンテック、AI/ML(応用とインフラツールの両方)、サステナビリティ、コマースにも興味があります。

自由時間はどのように過ごしていますか?

趣味はスキーとゴルフです。テニスやハイキングなど、どんなことでも体を動かすのが好きです。また、よく本を読みますし、音楽も好きです。本は、ビジネス書や技術書、伝記、ノンフィクションなどをよく読みます。音楽は、Spotifyのプレイリストで、アンダーグラウンドなラップ、メタル、ブルース、ポップスなどを聴いています。

私がスキーを覚えたのは、歩けるようになった頃でした。父が大のスキー好きで、2歳くらいの時に兄と私に教えてくれました。私たち家族は、カリフォルニア州アーノルドの近く、タホの南西から2時間ほどのところにあるベアバレーという山の近くにキャビンを持っています。この山はいわばホームマウンテンです。最近は、コロラド、ユタ、モンタナなどでスキーを楽しんでいますが、アメリカ国内だけでなく、海外でもスキーを楽しんできました。日本のニセコで1週間滑ったこと、そしてブリティッシュコロンビアでのヘリスキー旅行は最高でした。

今後の抱負を聞かせてください。

ベンチャーキャピタル業界は大きく変化しています。その変化に柔軟な姿勢で対応していくことが必要だと感じています。例えば、投資家同士の競争が激化する中、私たちは投資先企業をサポートするための場作り、リソースの提供、コミュニティの構築する必要があると考えています。投資先企業が成功するための機会を作り、競争力を高めるためのプラットフォームを開発することを目指しています。

またレイターステージのファンドへの早い段階での参加、コーポレートベンチャーキャピタルの増加、エクイティクラウドファンディングの増加など、業界では資金調達のメカニズムも進化し続けています。私たちは、こういった新たな資金調達のメカニズムを取り入れながら、我々独自の資金調達を行っていきたいと思っています。常に革新的でありながら、フレキシブルに。

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