終活プラットフォーム「Cake」パンデミックで変わる死生観 [Why We Invested]

August 4, 2021 投資先紹介

このコンテンツはスクラムベンチャーズ Medium Cake: Why We Invested を翻訳したものです。

パンデミックの影響で、人々の生活は大きく変化し、様々ことが見直されています。死生観もその1つでしょう。人生を終えるにあたってのプランニング(終活)や死後の身辺整理というテーマについては、これまで明確な指針がなく、先延ばしにしがちな問題でした。Cakeはこの問題を解決しようとしています。

スクラムベンチャーズはCakeのCEOであるSuelin Chen氏と出会い、彼女が設立した終活プラットフォームCakeに投資しました。Chen氏と彼女のチーム(約20名)は、ウェブベースの終活に関連するコンテンツやエンディングノートを簡単に作成できるツールを開発するために、専門家との相談に何千時間も費やしてきました。緩和ケアの医師、ソーシャルワーカー、資産管理の専門家、不動産弁護士、葬儀プランナーなどと密に連携し、複雑なテーマを分解して、誰にでもわかりやすいシンプルなUXでサービスを提供しています。

Chen氏は長年、ヘルスケア分野で働き、その環境の改善のためのソリューションを検討してきました。その中で終末期のケアはさらに改善できるという考えに何度も行き当たりました。「人はいつか死ぬし、人生の中で何度も喪失感を味わうものです。誰もが経験するこの普遍的なことが、ほとんど話題とされず、ソリューションが提供されていないことは、とても不思議でした」。

彼女は、このタブーな話題をポジティブな力に変えることを目指しました。マサチューセッツ工科大学(MIT)で生物学の学士号とエンジニアリングの博士号を取得したChen氏は、「私たちは皆、未来と過去について考えるいくつかの簡単なステップを踏むだけで、より良く生きることができます」と語ります。Chen氏は、マサチューセッツ総合病院での研究、ハーバード大学でのスタートアップインキュベーターの運営、IMS Health社での新規事業部門の立ち上げに携わり、Hospice & Palliative Care Federation of Massachusettsの役員も務めました。

彼女は、MITのヘルスケアイベントで緩和ケア医のMark Zhang氏と知り合い、2015年にZhang氏と一緒にボストンを拠点とするCakeを立ち上げました。

スクラムベンチャーズは、2019年に初めてChen氏のビジョンと計画を聞きました。その時は、投資するにはまだ早い段階でしたが、その後、彼女が計画したマイルストーンを実行し、計画を上回る速度で成長しているのを見て、最終的にCakeに投資を実行しました。

Cakeは、自分自身と自分の大切な人のために無料で登録することができます。アカウントを作成した後、ユーザーは一連の質問に答えるプロセスに入ります。「リビング・ウィルはお持ちですか?」「扶養家族の計画はどうなっていますか?」「法的書類や財務書類はどこにありますか?」さらに、ソーシャルメディアのアカウントをどうするかについても指示を残すことができます。それぞれの回答に応じて、Cakeは各ユーザーがどのような決断をし、どのようなサービスを受けるべきかを明確にしてくれます。また終活に関連するサービスのレビュー、マーケットプレイスなども提供しています。加えてドキュメントの保存も可能で、重要な情報や資料をアドバイザーや大切な人と共有することもできます。

Cakeの経営陣には、TripAdvisorで検索エンジンマーケティングを担当したコンシューマーテクノロジー業界のベテランであるCMOのAlastair Brownがいます。TripAdvisorが規模を拡大した方法をCakeは参考にし、TripAdvisorが旅行業界で行ったことようなことを、Cakeは終活業界で行っています。

初年度のCakeは、Royal Bank of ScotlandをはじめとするいくつかのB2Bホワイトレーベルの顧客を得て、売り上げ面でも大きな成長を遂げました。今後のさらなる成長の可能性と拡大計画を示唆するものでした。スクラムは、$3.7Mを調達したCakeのシードラウンドに参加しました。

Cakeは、昨年アクティブユーザー数が10倍以上に急増し、年間3,000万人以上の人々にサービスを提供しています。また、金融サービス、ヘルスケア、保険などの分野で評判の高い20数社と繋がりがあります。2020年、同社のリーチは急上昇し、AIと機械学習技術を使用して終活のUXを改善した最初の企業となりました。Cakeは一般ユーザー向けツールに加えて、医療システムや保険会社、銀行向けのカスタムアドバンスドケアとエンディングノートのソリューションを構築するビジネスラインを持っています。

パンデミックは、終活に拍車をかけました。「需要の増加とタブー感の減少が見られました」とChen氏は言います。「一般ユーザーからの関心が高まっただけでなく、企業からの関心も高まりました。消費者の健康や経済的な幸福のために、終活は必要不可欠なものとして注目されています」と話しています。

世界が終活についてオープンになり、悲しみや喪失感についてみんなで考える新しい時代に突入りました。Cakeは、人生の最も重要で意味があることの1つである「死」にまつわる需要の高まりに応えることができる、信頼できるリーディングブランドです。

また、AIベースのレコメンデーションエンジンや、サービスや機能を追加したサブスクリプションモデルの開発により、終活の前段階である高齢者施設や退職金、生命保険などの市場への進出も視野に入れています。Cakeは、終活やポストロスの中心的なツールとして、大きな成長の可能性があると考えています。

Cakeについて

Cakeは、終活のプラットフォームであり、毎年何百万人もの人々に利用されています。3000件を超える記事と革新的なプランニングツールを備えたCakeは、ヘルスケア、葬儀、経済的・法的問題、人生の意義づけ、デジタルレガシーの管理など、終活に関するあらゆる側面をカバーするワンストップサービスです。ハーバード大学で研修を受けた緩和ケア医とMITのエンジニアによって設立されたCakeは、ヘルスケア、金融サービス、保険などのさまざまな組織から信頼を得ているスタートアップです。Cakeについての詳細は、www.joincake.com をご覧ください。

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