今週の注目5社:オンラインMD / フィットネストラッカー / IoTプラットフォーム / データ統合 / カテーテル手術ロボット
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「オンラインMD」Faire
[Marketplace/リテール] Faire
Series D ($150M) Forerunner Ventures, Founders Fund, Khosla Ventures, Lightspeed Venture Partners and Y Combinator
小規模小売店向けの商品仕入れプラットフォーム。
小売店舗は厳選された商品から注文すると、7日以内にメーカーから直送される。直送された商品の内、販売した分だけを支払い60日以内に売れなかった商品は無料で返品できる仕組み。「アマゾンで買えないもの」など、ユニークなフィルター機能も持つ。7,000以上のメーカーがギフト・アパレル・ジュエリー・文房具などの商品を出店し、50,000以上の小売業者が利用するマーケットプレイスに発展。現在、1日の発注金額は$1M(2018年初は$1M/月)を超えるという。今回の調達でユニコーン企業の仲間入り。
元Squareの3名が2016年に創業、本社はサンフランシスコ。Founders Fund等から今回調達した$150Mは、引き続きサービスの拡大に活用する予定。
2.「フィットネストラッカー」Fitbit
[HW/ヘルスケア] Fitbit
$2.1B by Google
フィットネスやヘルスケア用のウェアラブルデバイスの開発。
リストバンド型のフィットネストラッカーやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを開発。専用のFitbitアプリと連携し、歩数、距離、消費カロリーなどユーザーのアクティビティをトラッキングしたり、睡眠時間も記録できる。トラッキングしたデータを友達や家族と共有したり、競争し合うことで、モチベーションの維持にも効果的。今回の買収で、AI・ソフトウェア・ハードウェアを組み合わせ、ウェアラブル分野でのイノベーションを加速させるという。
2007年創業、本社はサンフランシスコ。今回Googleに$2.1Bで買収された。
3.「IoTプラットフォーム」Particle
[Enterprise/IoT] Particle
Series C ($40M) Bonfire Ventures, Counterpart Ventures, Energy Impact Partners, Green D Ventures, Industry Ventures, Qualcomm Ventures, Root Ventures, SOSV and Spark Capital
IoTデバイス向けのオールインワンプラットホーム。
Wi-FiやMeshなどを通じて各種デバイスをオンラインに接続するためのハードウェア(チップ)や、それらのデバイスを管理するための「IoTデバイスクラウド」を提供。オープンソースのハードウェア開発キットを使用すると、数分でIoT製品のプロトタイプを制作できる。既に20万人以上の開発者に活用されており、農業・自動車・スマートシティなど幅広い顧客を持つ。
2012年創業、本社はサンフランシスコ。Qualcomm Ventures等から今回調達した$40Mは、引き続きサービスの拡大に活用する予定。
4.「データ統合」TetraScience
[SaaS/研究] TetraScience
Series A ($8M) First Round Capital, Floodgate, Founder Collective, Underscore.VC, Y Combinator
ライフサイエンスR&D向けのデータ統合プラットフォーム。
創薬研究に欠かせないR&Dデータの収集・正規化(標準化)、分析を容易にできるクラウドソフト。機器・ラボ・ラボパートナーからのデータを統合することで、創薬プロセスを大幅に短縮できるという。既に大手製薬会社やバイオテック企業など70社以上がTetraScienceのプラットフォームを利用している。R&D用の分析機器メーカーWaters Corporationと戦略的提携も発表。
本社はボストン。Y Combinator等から今回調達した$8Mは、営業チームの拡大および海外展開の加速に活用する予定。
5.「カテーテル手術ロボット」Corindus Vascular Robotics
[HW/ヘルスケア] Corindus Vascular Robotics
NA by Siemens Healthineers
カテーテル手術ロボットの開発。
「CorPath」と呼ばれ、カテーテルの誘導やガイドワイヤー、バルーン・ステントなど、心臓病の治療に欠かせないカテーテル手術に必要な作業をコントロールしてくれる手術ロボット(FDA認可済)。今回の買収により、Corindus Vascular Roboticsが持つ精密ロボットプラットフォームとSiemensのデジタル・AI技術を融合することで、新たな医療システムの実現を目指すという。
本社はウォルサム(マサチューセッツ州)。8月に公表されたSiemens Healthineersによる買収が正式に承認された模様。買収額は$1.1B。