売上の1/3をR & Dに投下するFacebook。ザッカーバーグが明かしたAIを研究する理由。

July 6, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

WhatsApp ($22B) , Oculus ($2B) など大型のM&Aを行う一方で、Facebookは自社でのR&Dにも非常に力を入れており、直近四半期では売り上げの約1/3もの資金を投下しています。中でも、最近は「人工知能」分野での動きが非常に活発です。

2013年にDeepLearningの権威であるNYUのYann LeCunを招いて、Facebook AI Research ( FAIR ) をNYに作ったのを皮切りに、先月にはパリにも研究所を開設しています。

このAI研究所 FAIRの一つの成果として、先月「Moments」という新しい写真共有に特化したアプリがリリースされています。

みんなで撮った集合写真などを写っている人にシェアするときに、いちいち誰が写っているのかを確認するのではなく、人工知能が写っている友達を自動的に認識をして、ワンタップでシェアできるという機能に特化したアプリです。先日GoogleがGoogle I/Oで発表したGoogle Photoに比べるとまだまだ精度は結構低いというのが個人的な感想ですが、思想はよく理解できます。Yann LeCun自ら動画でこのアプリにとその技術的背景について説明をしています。

先日、CEOのMark Zuckerbergが、恒例の「一時間何でも答えます」のセッションで、FacebookがなぜAIの研究をしているのかを語りました。Markと参加者とのすべてのやりとりはこちらで見れます。

「我々の人工知能の研究のほとんどは、「人々が何をシェアしているのかを理解すること」にフォーカスをしています。
例えば、あなたが友人の写真を撮ったとすると、我々はその写真を写っている友人がちゃんとその写真を見れるようにしたいのです。あなたが犬の写真を撮ったり、政治に関してのポストを書いたとしたら、我々は内容を理解して、犬や政治に興味がある人とあなたが繋がれるようにしたいのです。
これをうまく実現するために、我々のゴールは、視覚、聴覚といった部分において、人間よりも優れたAIシステムをつくりたいと考えています。
視覚に関しては、我々は画像や動画に含まれるすべてを認識できるシステムを開発しています。それは、人物、モノ、シーンなどです。これらのシステムは、画像や動画のコンテキストも理解する必要が有ります。
聴覚や言語に関しては、我々は「音声から文字への変換」「翻訳」「自然言語によるQ&A」にフォーカスしています。」

日々News Feedのアルゴリズムを変更しているFacebookですが、AIを活用することで、よりシェアの内容を理解し、ユーザそれぞれにとって最適なFeedに近づけていくということを目指しているようです。このあたりは人によっては気持ち悪いと感じるかもしれませんし、便利と感じるかもしれません。議論が分かれるところですね。いずれにせよ、Google Photoで実現されている世界を見る限り、遠くない将来、ここでマークが言っている世界は実現されそうです。

その他にもいろいろと面白いQ&Aがあるのですが、「Facebookは次に何するの?」という質問に対する答えが興味深いです。

「人類のコミュニケーションの中で、まだ改善が必要な点がいくつかあると考えています。
一つ目は、人類がよりリッチな方法で情報をシェアする方法を得ているということです。かつては、テキストでしたが、今は主に写真になりました。これが将来は写真よりも動画がより主流になるでしょう。そして、さらに将来は、VRのような没入できる体験が来ると考えています。そして、さらにその先には、人類はいつでも好きな時に、感覚や感情を共有する手段を得ると考えています。
二つ目は、人類がより高い頻度でコミュニケーションする手段を得ているということです。かつては、目の前にいる人としかコミュニケーションできませんでした。そして、机の上に置かれる大きなコンピュータというものを得ました。そして今は、いつでも持ち歩ける素晴らしいデバイスがみんなのポケットに入っています。しかし、それは定期的にしか使うことができません。将来は、ARやその他のウェアラブルデバイスが、我々のコミュニケーションを改善するでしょう。
そしていつか、人類はそれぞれの思考を直接やりとりできるようになると信じています。あなたは考えていることをすぐに友人に伝え、友人は望めばそれぞすぐに経験することができます。それこそが、究極のコミュニケーション技術です。」

日々14億人がコミュニケーションを繰り返す、人類史上最大のコミュニケーションプラットフォームの進化からは目が離せません。


 資金調達

「3Dプリンタ版Etsy」のShapeways、「衛星データ」のSpire、「ホームヘルパーマーケットプレイス」のHomeHeroなどが新たに資金調達しました。Shapewaysは、おそらく世界最大の3D商品マーケットですが、62万いるユーザが、約400万点の「3Dプリンタで作ったオリジナル商品」を販売しています。Spireは、独自の小型衛星を使い、天候データプロバイダーを目指しているスタートアップです。

[Marketplace/3Dプリント] Shapeways
Series D ($30.5M) Union Square Ventures, Index Ventures, a16z, HP
「3Dプリンタ版Etsy」

[Enterprise/データ] Spire
Series B ($40M) Bessemer Venture Partners, RRE Ventures, Lemnos Labs
「衛星データ」

[Marketplace/ヘルスケア] HomeHero
Series A ($20M) Tencent, The Social+Capital Partnership, Launch Fund
「ホームヘルパーマーケットプレイス」

[App/教育] ScoreBeyond
Seed VC ($2.8M) Khosla Ventures
「試験対策ソフトウェア」

[SaaS/生産性] Airtable
Series A ($7.6M) CRV, CrunchFund, Data Collective,
「データベース」


M&A

[Service/ファイナンス] Xoom
890M by PayPal
「国際送金サービス」

[SaaS/セキュリティ] OpenDNS
635M by Cisco
「DNSサービス」

ブログの更新情報をメールでお届けしています。

米国の注目スタートアップ情報 テックトレンド スクラムベンチャーズの投資先インタビュー
などをブログで発信しています。合わせてメールでもお届けしていますので、お気軽にご登録ください。

ニュースレター登録

でも情報発信しています。

関連ポスト