事業共創は恋愛だと思って向き合っています!ー清水寿乃 [Staff Interview]

June 17, 2024 Article-Show on Top-ja Blog-Show on Top スタッフインタビュー

外資系コンサル会社からScrum Studioに入り、現在『脱炭素』をテーマに、世界のスタートアップと事業共創を行うグローバル事業共創プログラム『GreenX』の、Senior Associateを務める清水寿乃。「恋愛しているのかっていうぐらい、惚れ込んでいる」という、担当プログラムの『GreenX』と、Scrum Studioでのビジネスについて聞いた。

濃密なScrum Studioでの仕事

清水さんは、今のScrum Studioで、どのプロジェクトに関わっているのですか?

主に脱炭素に関連するグローバル事業共創プログラム「GreenX」に取り組んでいます。脱炭素といっても対象領域が広いのでパートナー企業のニーズに合わせて検討テーマを選定します。

私自身も全領域のエキスパートではないので、テーマ選定後は関連書物を読んだり、イベントに参加したりして知識を深めます。特に、スタートアップやメンター、課題を抱えている自治体や事業者の意見を直接聞き、最新の情報を得ることが非常に重要だと思っていて、パートナー企業メンバーの手が届かない貴重な情報を入手して、事業構想図や共創案を提供します。また、街を歩く際も常にGreenXのテーマ領域を意識し、アンテナを張りながら身近な情報を集めています。その意味では、恋愛と似ているかもしれません。好きな人のために一番フィットするもの、Wowと思ってくれるものを探し求めているような感じです。

GreenX以外にも新規プログラムの立ち上げをサポートしたり、個別の企業から依頼された特定テーマをもとにスタートアップを紹介するプログラムにも参画しています。

Scrum Studioに入って1年半が経ちましたが、毎日の仕事が非常に濃厚で、まるで4~5年もここで働いているように感じます。同僚は皆、とてもハイパフォーマンスでサポートもしてくれます。そのため、やりたいことをどんどん進められる環境が整っており、毎日がとても充実しています。プログラムも大好きですが、一緒に働くScrumメンバーも大好きなんです。

GreenXで今取り組んでいること

GreenX2023では、2つのテーマで話を進めていました。

ひとつは、CO2の回収。もうひとつは未利用資源を経済価値に変えるというテーマですね。

温室効果ガスであるCO2の排出抑制は、今、Climate Techにおいて大きなテーマです。日本では、まだあまり浸透していませんが、CO2を転換して、何か他の基幹物質や素材、製品を生成できるような、そういったスタートアップとの協業を検討していました。悪とされているCO2が自分の身の回りの価値ある製品に転換される日がくるかもしれない、1つの資源とされる未来が楽しみです。

未利用資源の領域では、森林資源に着目していました。日本は、樹齢50~60年の木が間伐期を迎えているのに今や多くの山林は資源として活かされていません。資源として活かすには、日々下草を刈ったり、間伐作業が必要なのですが、急峻な日本の山で、それを行える人がどんどん減っていて、手入れされていない山が増えています。立ち枯れた木や倒木が道を塞ぎ、根が死んだら土砂の流出なども起こります。しかし、欧米で使われるような大型の機械は日本で使えません。日本の土地に合ったイノベーションが必要なんです。

一方で、林業って、その土地に根付いた職業なので、これまで実際に現場で活躍してきた方の知見が、今後とても大切になると思うんです。でも、現在そこに携わって、知見を引き継いでいく人がとても減っています。

木材をさまざまな製品に転換するスタートアップは比較的多く存在します。ただ、日本の場合、バリューチェーンの上流にあたる部分では、日本に適したイノベーションが必要です。そのため、現場で働く人々との意見交換と新しい技術の導入、この2つのバランスをとりながら構想を検討しました。5月30日にGreenXのイベントを開催し、その際にもサステナブル素材をテーマに「木」に関連するスタートアップをプレゼンの中で紹介させていただきました。少しでもこの領域に興味をもってくれる方がいればいいなと思います。

Climate Techに限らず、世の中には非常に面白い技術や革新的なスタートアップが存在します。しかし、多くの企業はビジネス構築の初段階でスタートアップの規模や導入コストを気にしてしまい、共創の可能性を狭めてしまうという課題があります。アーリーステージのスタートアップは研究段階にあることが多いですが、製品化する前に共同開発を進めたり、市場を一緒に開拓したり、消費者の環境に対する意識改革を促すようなマーケティングに参入してみたりすることには、大きなやりがいがあります。こうしたポイントも、GreenXを通じて伝えています。

また、Scrumメンバーからだけでなく、スタートアップから学べることも非常に多いです。特定領域の市場全体を見ている彼らは、私たちが無理ではないかと思うようなことでも実現してしまいます。彼らの独自の視点やアプローチは、私たちの考え方やビジネス戦略に新たな視点をもたらしてくれます。スタートアップの挑戦的な姿勢や柔軟な発想から多くを学び、共創の中で双方が成長できることを実感しています。

GreenX Salon & Innovation Day

コンサル時代に鍛えられた情報収集、構造化・可視化能力

Scrum Studioに入る前は、外資系のコンサルティング会社にいたそうですね。

KPMGコンサルティングに在籍していました。厳しい枠組みの中で、情報の集め方や論理的、構造的に物事を整理する方法を徹底的に鍛えられたことは、とても良い経験だったと思います。2~3カ月という限られた時間の中で、いかにクライアントにバリューを提供するかが勝負でした。課題を見つけて、それを解決するソリューションを提供するまでを短期間で行うため、非常に濃密な経験ができました。コロナ禍だったので、想像していたような華やかなコンサルタントの仕事とは異なりましたが(笑)、リモート環境でも効率的に働く方法を学びました。

具体的な例でいうと、どんな仕事を担当していたんですか?

Scrum Studioに入る直前には、ヘルスケア系企業の新規事業に関するリサーチを行っていました。私が好きな医療やヘルスケア系のプロジェクトだったので、個人的にはとても楽しかったです。現状を理解するために、治療法や使用する器具、コストなどを詳しく調べ、代案を提供していました。

他にも、会計システム導入のPMOの役割を担いました。ベンダーとクライアントの間に立ち、組織体制やさまざまな条件に合わせて調整し、開発をマネジメントしていく仕事です。海外では、システムに合わせて組織をある程度調整することが多いですが、日本の場合は組織に合わせて非常に細かい追加機能を求められることが多いという印象です。

さらに、エネルギー関連企業の業務改革プロジェクトにも関わりました。地域にいくつもある支店を回って何百ページという業務フローを取材し、改善された新しい業務フローの提案を行いました。

これらのリサーチや提案の技術は、Scrum Studioに移ってからも非常に役立っています。技術面だけでなく、何かしらバリューを残すというマインドセットは、今でも大切にしています。

家に留学生が常にいた、群馬の5人兄弟の長女

海外の方とのコミュニケーションも多い仕事ですが、そういった経験は?

群馬県の地方都市出身の5人兄弟の長女です。加えて、母が、海外の留学生をホストファミリーとして預かるのが好きだったので、5人兄弟プラス1人か2人、いつも海外の留学生がいて常に賑やかでした。シンガポールなどアジアの人や、ドイツ、ハンガリーなどヨーロッパ、アメリカ、最近はアルゼンチンの留学生もいましたね。

文化の全く異なる人と一緒に住むことはDiversityを自然に受け入れられる良い経験になったと思います。現在の仕事でもUSチームとコミュニケーションを取ったり、グローバルスタートアップと会話する回数も多いですが、抵抗なくできるのも家庭環境が大きいのかもしれません。

大学は歯科医師でもある父の影響を受けて医学部を目指して東京に上京しましたが、グローバルな環境で、文系理系問わずに多様な学問に触れることのできるICU(国際基督教大学)に入学しました。グローバル X 多様なテクノロジーに触れるScrumでは大学で学んだ幅広い知識が役に立っています。

高校時代に、ドイツの離島に留学

海外留学の経験もあると聞きました。

高校の時に、ドイツに1年間留学していました。住んでいたのはノルダーナイ島。ドイツの北、北海のオランダとの国境が近いところにある人口6000人ぐらいの島です。

初めての長期の海外滞在でしたが、素敵なホストファミリーに恵まれました。兄弟4人だったのですが、5人目の兄弟みたいに接してもらいました。そういう意味では日本の家と変わらず、家族の一員として充実した留学生活を送ることができました。

ノルダーナイ島では日本人が私1人だったので、日本を少しでも残したいと思い、日本語教室や日本料理教室を開催しました。また、地域のスポーツチームや課外活動にも可能な限り参加し、地域社会と一体化する努力をしました。その結果、地元のテレビや新聞にも取り上げていただき、少しでも地域に貢献できたのではないかと思います。新しい言語や環境に挑戦し、地域コミュニティに溶け込む経験は、今の仕事においても貴重なスキルとなっています。

ホストファミリーとの写真

業務改善のためのチーム『Angels』

Scrum Studioの日本の若手で、チームを作って提案を行っていると聞きました

Scrum Studioは、若手の意見も積極的に聞き入れてくれる環境です。ジュニアメンバーでチームを作って、我々目線での若手なりの課題観をマネジメントに提案しています。チャーリーズ・エンジェルみたいだということで「Angels」と名付けました(笑)。

我々も意見を言いやすくなりましたし、マネジメント層も「Angelsはどう思う?」と聞いてくれるようになりました。

現場で働くAngelsメンバーが私はとにかく大好きで、彼らがいるから頑張れるというほど、お互い助け合って仕事をしています。それぞれの強みがあって、プログラムや会社をよりよくするための意見交換の場を設けています。今後はAngelsチームで何か新しいことを始められたらいいなと思っています。

Angelsメンバーとの那須合宿

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