今週の注目5社:製造Airbnb / カイゼンAI / スタジアムアプリ / 株アプリ / 歯科矯正
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「製造Airbnb」Fictiv
[Service/製造] Fictiv
Series B-II ($15M) Accel, Bill Gates, FJ Labs, Intel Capital, Sinovation Ventures, Stanford-StartX Fund and Tandon Group
ハード開発者と工場をマッチングするサービス。
製品のプロトタイプを迅速に作りたい開発者と、活用されていない製造設備をマッチングしてくれるオンデマンド製造サービス。中国をはじめとする世界中の機械工場や3Dプリンターを所有する拠点を抱えている。また、デザインから製造、デリバリーまで一貫しており、“製造業のAirbnb”を目指している。既に、電気自動車・医療用ロボット・家電などの製造に使われている。ビルゲイツも投資している。
元FordのDave Evansが2013年に創業、本社はサンフランシスコ。Sinovation Ventures等から今回調達した$15Mは、製造業者のグローバルネットワーク拡大に活用する予定。
2.「カイゼンAI」Drishti Technologies
[SaaS/製造] Drishti Technologies
Series A ($10M) Andreessen Horowitz, Benhamou Global Ventures and Emergence Capital Partners
アクション認識とAIを活用した製造プラットフォーム。
アクション認識を活用して、工場労働者の行動をデジタル化(自動的に数値化)してくれる。例えば、撮影した動画から「ネジをつける」「動作確認」などの個別の作業を認識し、どのくらい時間をかけたかをリアルタイムで数値化してくれる。企業にとっては工場労働者の生産性改善に加え、品質管理・トレーサビリティを大幅に改善可能。SRI Internationalからのスピンアウト。
世界初のコラボレーションロボット(コボット)を開発した元GMのDr. Prasad Akellaが2017年に創業、本社はパロアルト。Emergence Capital Partners等から今回調達した$10Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
3.「スタジアムアプリ」VenueNext
[SaaS/会場] VenueNext
Unattributed VC (NA) Intel Capital
スタジアムでの顧客満足度を高めてくれるアプリ。
観客は専用のアプリを通じて、チケットの購入から駐車場の予約、観戦中の食事・ドリンクの注文、帰りのタクシー手配などをシームレスに行える。加えて、ドリンクを席まで運んでくれたり、見逃したプレーをリプレイしたりとスタジアムでの体験を大幅に改善してくれる。実際に、49ersの本拠地であるリーバイススタジアムでは、本アプリを導入したことで、年間チケットや関連グッズの販売増など数百万ドルも収益が改善された。
2013年創業、本社はサンタクララ。Intel Capital等から今回調達した資金は、サービス内容の拡充に活用する予定。
4.「株アプリ」Robinhood
[Service/金融] Robinhood
Series D ($363M) capitalG, DST Global, ICONIQ Capital, Kleiner Perkins Caufield & Byers, Sequoia Capital and Vlad Tenev
手数料無料の株取引アプリ。
ミレニアム世代向けの、手数料なしで手軽に株取引ができるアプリ。現在は株だけでなく、仮想通貨なども売買できる。ユーザー数は昨年より倍増し、400万人を突破。さらに取引額は$150Bにものぼるとのこと。評価額も昨年$1.3Bから$5.6Bに拡大し、急成長中。2月にRobinhood Crypto(仮想通貨の取引)を開始した際、アナウンス後5日間で100万人のウェイトリストを記録。
2013年創業、本社はメンローパーク。DST Global等から今回調達した$363Mは、商品ラインナップの拡充に活用する予定。
5.「歯科矯正」Uniform Teeth
[Service/歯科矯正] Uniform Teeth
Seed VC ($4M) Founders Fund, Lerer Hippeau Ventures, Refactor Capital and Slow Ventures
アプリとマウスピースを使った歯科矯正スタートアップ。
クリアアライナーと呼ばれる透明のマウスピースを使った歯科矯正サービス。患者は訪問前に専用アプリで、歯の写真と噛み合わせを撮影して送信する。初診時に10秒ほどの3DパノラマX線を撮影し、必要な治療を判断する。アプリを通じて経過を報告し、通院は平均2-3回で終わる。従来の矯正器具の半額ほどで治療が受けられ、かつ平均治療期間も6ヶ月(従来の4分の1)とのこと。
2015年創業、本社はサンフランシスコ。Founders Fund等から今回調達した$4Mは、サービスの拡大に活用する予定。