今週の注目5社: カーシェア / P2Pカーシェア / 教育機関ファンドレイズ / 遺伝子データ / 社員教育

September 18, 2017 今週の注目スタートアップ

今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。

1.「カーシェア」Fair.com

 図2

[Service/ファイナンス] Fair.com
Seed VC ($16M) CRV, Foundation Capital, Javelin Venture Partners and Sherpa Capital

個人の与信に応じた中古車を定額(月額)で使用できるアプリ。

ローン、リース、レンタルとも異なる新たな車の所有形態。クレジットスコアなど個人の与信に応じた予算内で使用できる中古車のオプションが提示され、その中から自分の好きな車種を選択できる。ユーザーは車を購入することなく(Fair.comが所有)、月額のサブスクリプションサービスで、好きなだけ使用することができる。他の車種に乗り換えたい場合は、5日前に連絡すればすぐに返却可能。運転免許証と銀行口座、電子署名のみで、アプリで全ての手続きが完結するため、ユーザーはFair.comが提携している近くのディーラーに取りに行くだけ。6年以下、走行距離70,000マイル以下の中古車に限定されている。既に15のディーラーと提携し、900車種以上が使用できるとのこと。2016年に中古車販売マーケットプレイスのBeepiを買収したことでも知られている。

2016年創業、本社はサンタモニカ。CEOはTrueCarのScott Painter、共同創業者のGeorg BauerはTeslaや BMWの元幹部。今回調達した$16Mは全米にサービスを拡大する費用に活用するとのこと。

2.「P2Pカーシェア」Turo

図3

 [Marketplace/自動車] Turo
Series D ($92M) August Capital, Canaan Partners, Daimler, Founders Circle Capital, Google Ventures, Kleiner Perkins Caufield & Byers, Liberty Mutual Strategic Ventures, Shasta Ventures, SK Holdings and Trinity Ventures

個人が使用している車の貸し借りを可能にするプラットフォーム。

仕組みはシンプルで、車の所有者が車種や年式などの情報と車が使用可能な日時を入力し、車を借りたい人は、場所やレンタル日、車種などで検索しマッチングするだけ。レンタル料は所有者が自由に設定出来る。契約が成立すると、Turoは 手数料15~35%を徴収して残りを所有者のアカウントへチャージする。市場価格2万ドルの車を月に15日間レンタルすると年間6,501ドルの収入が得られるとのこと。米国やカナダ、イギリス内の4700都市、300以上の空港でサービス展開し、800種類以上の車種、 数千台が登録されているとのこと。

2009年創業、本社はサンフランシスコ。ダイムラーはTuroに出資すると同時に、ダイムラー独自のP2Pカーシェアリングサービスである「Croove」をTuroに統合。今回調達した$92Mは、ヨーロッパへの事業拡大に活用するとのこと。

3.「教育機関ファンドレイズ」Evertrue

図

 [Saas/ファイナンス] EverTrue
Series C ($6M) Bain Capital Ventures and University Ventures

卒業生とのネットワークを維持し、教育機関の資金調達を支援するサービス。

大学などの教育機関が所有する卒業生の情報に加え、Linkedin、Facebook、Zillowなどの情報と連携させることで、卒業生との関係を維持し、大学への寄付集めのデータベースツールを提供している。更に、大学の資金調達時にはサポートチームを組成し、進捗状況の把握や分析データも提供するとのこと。既にボストン大学やオレゴン州立大学を含む300以上の教育機関に導入されている。

2010年創業、本社はボストン、社員は現在53名。Bain CapitalやUniversity Venturesから今回調達した$6Mはプラットフォームの改善費用に使用するとのこと。

4.「遺伝子データ」WuXi NextCoDe

図4

[Service/遺伝子分析] WuXi NextCODE
Series B-II ($165M) 3W Partners, China Renaissance Capital Investment, Sequoia Capital China, Temasek Holdings and Yunfeng Capital

世界最大の遺伝子データプラットフォーム。

遺伝子変異を効率的に発見する手法であるエクソーム解析のためのクラウドデータベース。企業向けに研究用のデータを提供すると同時に、中国の消費者にも分析サービスを提供している。2020年までには2M以上の遺伝子情報データベースを持ち、世界最大の遺伝子データプラットフォームになると想定されている。現在はケンブリッジ、上海、レイキャビクに拠点を持っている。アリババのジャックマーも投資をしていることで注目を集めている。

2013年創業、本社はマサチューセッツ州のケンブリッジ。Sequoia Capital China等から今回調達した$165Mはデータベースのインフラ構築に活用するとのこと。

5.「社員教育」Guild Education

図5
[Saas/教育] Guild Education
Series B ($21M) Bessemer Venture Partners, Cowboy Ventures, Harrison Metal and Redpoint Ventures

大学と提携し、企業の社員向けに再教育プログラムを提供するサービス。

優秀な人材の獲得やリテンションの手段として、これまでは給与などの待遇面の改善が一般的な策だったが、福利厚生の一環として、大学を活用した社員教育制度を充実させるサービス。企業と大学と提携し、役員や管理職、一般社員向けに大学のプログラムをカスタマイズして提供する。既にChipotleやKentucky Fried Chickenなど、多くの企業で採用されており、実際にChiptoleでは3500人近くがプログラムを受講し、従業員は89%(通常の約2倍)が受講後9ヶ月以上働き続けているとのこと。単に知識や技術のスキルアップだけでなく、OJTを通じて大学の単位も取得できる。

2015年創業、本社はデンバー。Bessemer Venture Partners等から今回調達した$21Mはチーム拡大のための採用費用に使うとのこと。

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