今週の注目5社:リアルタイム犯罪通知 / 高齢者ホームマッチング / 民泊管理 / 食事宅配 / 高速プログラミング言語
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「リアルタイム犯罪通知」Citizen
[Service/安全] Citizen
Series A ($12.2M) Sequoia Capital
周辺で発生した犯罪のリアルタイム通知アプリ
911コールの情報をもとに、ユーザ付近で発生した事件や犯罪をリアルタイムで通知してくれる。ニューヨーク市でサービス開始。通知するコールを選ぶ厳密な基準は公開されていないが、公共の安全を脅かすような犯罪のコールを選んでいる。ニューヨーク市だけでも毎日1万件の911コールがあるが、通知しているのはその中から300-400件ほどのこと。アプリのマップ上で犯罪発生場所も表示してくれるので、ユーザは犯罪発生場所を避けることができる。iOS and Androidの両方に対応。
2017年創業、本社はニューヨーク。
2.「高齢者ホームマッチング」Silvernest
[Marketplace/ホーム] Silvernest
Seed VC ($1.3M) 1843 Capital, 500 Startups, Halogen Ventures, Investors’ Circle and Rockies Venture Club
高齢者向けルームメートマッチングサービス
高齢者が自宅で一緒に住むルームメートを見つけることができるサービス。ベイビーブーマーや子供が巣立った親で、離婚や配偶者と死別した50歳以上がターゲット。アメリカの高齢化も深刻で、毎日10000人が65歳になり、2030年には50歳以上の人は132Mとミレニアルズ世代の2倍になると言われている。貸し手(オーナー)は$29.99で90日間、制限なしのマッチングサービスを受けられ、借り手は無料。既に20000人が登録しており、マッチングの実績は16000回。
2015年創業、本社はデンバー。 500 Startups等から今回調達した$1.3Mは、ビジネスの拡大、及びサービスの向上に活用する予定。
3.「民泊管理」Pillow Residential
[Marketplace/不動産] Pillow Residential
Series A ($13.5M) Expansion VC, Gary Vaynerchuck, Mayfield Fund, Peak Capital, Sterling Partners and Veritas Investments
集合住宅オーナー向け物件管理サービス
集合住宅のオーナーが、どの部屋がどんな人にAirbnb等の民泊サービスで貸し出されているかを把握することができ、かつその利益をシェアしてもらえるというサービス。Airbnb等のサイトへの物件掲載、予約管理、鍵管理、利用後のクリーニング、ゲストとのコミュニーケーションも代行してくれる。また、昨今各都市で民泊サービスに対する規制が見直される中、民泊サービスをするにあたっての法令順守もチェックしてくれる。本サービスの利用料金は、宿泊料金の15%。現在、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、サンディエゴ、シアトルでサービスを展開中で、25000回以上の予約実績がある。
2014年創業、本社はサンフランシスコ。Mayfield等から今回調達した$13.5Mは、サービスエリア拡大のために活用する予定
4.「食事宅配」Freshly
[Commerce/食品] Freshly
Series C ($77M) Highland Capital Partners, Insight Venture Partners, Nestle and White Star Capital
新鮮食材を使った料理の定期購入型宅配サービス
オンラインであらかじめ好きな料理を選んでおくことで、経験豊かなシェフが新鮮な食材を使って作った料理を週に一回まとめて届けてくれる。料理は冷凍保存はしておらず、冷蔵ボックスに入れて届けてくれるためフレッシュな状態で食べられる。ユーザは、週4、6、9、12回のミールプランを選択でき、曜日等も自由に設定できる。また、メニューはベジタリアン、高タンパク低糖質、グルテンフリー等も考慮して用意されている。週4回のミールプランであれば、一食あたり$12.5、12回のミールプランであれば、一食あたり$8.9という値段設定。料理は、アリゾナ州フェニックスにある巨大な施設で作られており、そこを中心に現在27州で宅配サービスを展開中。今回の出資者の中には、食品大手ネスレが含まれる。
2012年創業、本社はニューヨーク。ネスレ等から今回調達した$77Mは、宅配サービスエリア拡大と人員増強のために活用する予定。
5.「高速プログラミング言語」Julia Computing
[SaaS/プログラミング言語] Julia Computing
Seed VC ($4.6M) Founder Collective and General Catalyst
オープンソースの超高速プログラミング言語
人口知能、マシンラーニング、データアナリティクス用のプログラミング言語を開発。Pythonなどの汎用言語とR、SAS、Stata統計ソフトの機能を両方併せ持つ。非常に高速な言語で、Pythonの20倍、Rの100倍、Metlabの93倍の処理速度をもつ。そのため、従来はRやMetlabを利用してスピードを求める場合C++などの高速な言語への書き換えが必要だったが、Juliaにより不要となった。また構文規則がPython,R,Metlabと非常に似ており、当言語に親しんだ開発者であれば簡単に利用ができるという。100万回以上ダウンロードされており、年間161%でダウンロード数が成長中。
2013年創業、ニューヨーク、ロンドン等世界に7つオフィスをもつ。Founder Collective等から今回調達した$4.6Mは、プロダクト開発に活用する予定。