リードインベスターの役割とは?5つのポイント解説

September 7, 2016 by Guest Writer
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今回は、投資実務に携わっているいるとよく耳にする「リードインベスター」って何なの?という話です。

「リードインベスター」という言葉、そこかしこで日常的に使われている言葉ではありますが、その正確な意味って案外曖昧模糊としているような気がします。

なんとなくのイメージとしては、「ある投資案件で、その案件を主導してくれている投資家」とか「その投資案件で一番シェアを獲得する投資家」といったようなものがぱっと浮かぶかも知れませんが、実際とのころどうなんでしょうか。

リードインベスターの定義は、色々なところでそれらしいものが紹介されていますが、どれもリードインベスターの役割に注目して定義づけしているように思います。そこで、リードインベスターってどのような役割を演じるのでしょうか?という点を、掘り下げてみて行きたいと思います。リードインベスターの役割のうち重要なものとしては、以下のようなものが挙げられると思います。

スタートアップに対して対外的な信用を付与してくれる

「スタートアップ」という言葉がよく聞かれるようになって久しいですし、なんとなく良い響きですが、実際のところ、「スタートアップ」はなにかしらのアイデアをもとに「スタート」した会社に過ぎず、特に初期のスタートアップについては何も生み出していないことが多いと思いますし、今後どのように進んでいくかも不確定な状況が多いと思います。

このような状況を一言で表現すると、要するに、

「信用」がない

わけです。

そんな「信用」のない会社に、しっかりと興味を持って、コミットしてくれる「リードインベスター」なる投資家が存在すると、それによって信用が得られる結果となります。

どの程度の信用が得られるかは、その投資家次第であり、投資家によってむしろ信用がマイナスになるといったことも無きにしも非ずなのかもしれませんが、きちんと投資実務に励んでいらっしゃるVenture Capitalさんがリードインベスターになってくださるのであれば、大なり小なり信用は高まると思います。

そして、そのような「リードインベスター」がいることで、その資金調達ラウンドに参加してくれる投資家(いわゆる「Follower」)が増える可能性もあります。

これは、リードインベスターが紹介してくれることもありますし、「会社に対して興味はあったけど、二の足を踏んでいた」ような投資家さんが、リードインベスターがいるならということで参加してくれることもあります。

そのラウンドで結構大きな金額を引き受けてくれる

「しっかりと興味を持って、コミットしてくれる」ことが定量的な形で示されるものが、投資金額です。

リードインベスターは、そのスタートアップに対する投資ラウンドに関して、結構な額の金額を投資してくれます。それは、そのラウンドにおける調達額の過半以上になることもありますが、そうでないこともあります。

例えば40%とか30%とか、そんな場合ももちろんあります。

その投資ラウンドにおける調達額に対しいくら以上入れていなければ「リードインベスター」とは名乗れないとか、そんなルールはありません。​

スタートアップのビジネスに関して有益なアドバイスをくれる

「しっかりと興味を持って、コミットしてくれる」ことのひとつの証左ですね。

リードインベスターとなってくれる投資家は、そのスタートアップのビジネスに興味があり、豊富な経験や知見を持っていることがほとんどです。そのため、これまでそのスタートアップに主体的にかかわってきた創業者とは別の視野から、そのビジネスや業界について有益なアドバイスをくれることが期待できます。

また、シリーズA等の大きなラウンドのリードインベスターには、Board Memberの選任権が付与されることがほとんどですので、Board Memberとしても、有益なアドバイスを継続的に提供してくれることが期待できます。

投資契約について主体的(というかある意味独占的に)に交渉する

「リードインベスター」である以上、これはある意味当たり前の役割です。

なぜなら、リードインベスターは、その投資ラウンドでかなりの金額を入れるわけで、そうである以上、自分の利益を守るために、投資契約についてガチで交渉する必要があるのは当たり前だからです。

この点に関して「リードインベスターは、他の投資家のためにも交渉をしてくれる人」といった発想が出てくるように思いますが、個人的には、正しい認識ではないと思います。

リードインベスターは、あくまで自分がかなりの額のリスクマネーを投資するからこそ、ガチで契約交渉をするのであって、それは基本的に自分自身の利益を確保するためです。

「このラウンドに参加する他の投資家のためにも交渉しているぜ」なんてスタンスの投資家は皆無と言っても過言ではないような気がします。

実際、「いやー、この条件だと、他の投資家さんが納得してくれないと思うんで」といったスタンスのリードインベスターからコメントは、一度も聞いたことがありません。

ただ、フォローするその他の投資家の視点からは、「あのリードインベスターがしっかり交渉してくれているはずだから、まあ大丈夫だろう」という期待のようなものは生じると思います。

実際、フォロワーの投資家から投資契約一式のレビューを依頼された際、タームシートと異なる条件が契約書に記載されていたり、Cap Tableの前提がちょっと通常と異なっていることがたまにあるのですが、その際には、そのちょっと不思議な点については一応指摘しつつも、「リードとその代理人である●●法律事務所がもう交渉していると思いますよ。一応確認してみてくださいね」といったコメントを行うことが結構良くあります。

「●●法律事務所」が投資実務に慣れていないところだったりすると話は違ってくるのですが、そうでなければ、フォロワーの立場からは、リードインベスターがいることで、基本的にはしっかり交渉されていると(事実上)期待できるという効果は生まれると思います。

そういった意味で、リードインベスターがいることで、フォロワーの投資家の参入障壁が下がるとは言えるのかもしれません(少額の投資家は、自分でガチンコでDue Diligenceをしたり投資契約をレビューするリソースを持っていないことも多いです)。

当該投資ラウンドに参加してくれる投資家を紹介してくれることもある

ネットワークの広いリードインベスターですと、その投資ラウンドに参加してくれるその他の投資家を紹介してくれることもあります。

でも、これはリードインベスターによって異なりますし、フォローの投資家は自分で探してきてねというスタンスのリードインベスターももちろんいます。

なので、これがリードインベスターとして重要かといわれると、必ずしもそうではありません。むしろ、きちんとコミットしてくれるリードインベスターが見つかっているようなビジネスであることをアピールしつつ、自力でフォローしてくれるその他の投資家を探す方が現実的ではないでしょうか。

ということで、色々とリードインベスターの役割を見てきましたが、これらの役割をおおざっぱにまとめてリードインベスターを定義づけしてみると、リードインベスターというのは、

「そのスタートアップに対してしっかりと興味を持って、コミットしてくれる投資家のこと」

であって、その結果として、

  1. スタートアップに信用を付与してくれたり、
  2. 投資ラウンドで結構な金額を引き受けてくれたり、
  3. スタートアップに対して有益なアドバイスをくれたり、
  4. 投資契約の交渉を主体的にやってくれたり、
  5. 場合によっては、その投資ラウンドに参加してくれるその他の投資家を紹介してくれたりすることもある

といった副次的効果(上記以外にもあると思います)を期待できる投資家である、というのが正しい認識ではないでしょうか。

ということで、ちまたで見つかるリードインベスターの定義よりもさらに曖昧模糊とした定義になってしまったような気がしますが(笑)、リードインベスターってなんぞや?という点を、ちょっとだけ掘り下げてみました。


記事提供: JP-US Legal Forum〜Business, Laws & Information BizLawInfo.JP

この記事はTMI総合法律事務所所属の弁護士3名(波多江氏、竹内氏、小川氏)が運営するサイトBizLawInfo.JP の記事を加筆修正の上、転載したものです。

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