今週の注目5社:eSports VR / 製品開発支援AI / ドローンデータ / 1時間配送 / 授業ノート販売
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「eSports VR」Silver.tv
[App/VR] Sliver.tv
Seed VC($6.2M) Bertelsmann, CAA Ventures, Greycroft Partners and The Venture Reality Fund
「eSportsのトーナメント」をVRでライブ配信するプラットフォーム。
米国、中国などで人気の高い「eSports」のイベントをライブ配信し、VRで楽しむことのできるサービス。League of LegendsなどのメジャーなeSportsタイトルのVR中継をカバーしている。先週、まずはGoogle Cardboard向けにβアプリをリリース。今後、Oculusなどほかのプラットフォームにも対応していくという。
eSportsというすでに2.5億人のオーディエンスがいるコンテンツとVRという新しいプラットフォームの融合を狙っている。Silverのプラットフォームを使えば、VR対応のゲームでなくても特殊なカメラを使うことでVR配信が可能だという。また、同時に12個以上のトーナメントを中継が可能。
2.「製品開発支援AI」SigOpt
[Enterprise/データ] SigOpt
Series A($6M) Andreessen Horowitz, Blumberg Capital, Stanford University and SV Angel
人工知能を活用し、様々な製品の「最適化」を支援するソリューション。
従来マニュアルで行われていた様々な製品の開発のプロセスを、人工知能、Deep Learningで効率的に行うというもの。ウェブサービスの世界では幅広く行われているが、消費財の開発など幅広い分野に適用が可能という点がユニーク。
現在、広告、消費財、金融機関、研究機関など様々な業界で活用されているという。消費財系での活用も多く、シェービングクリームの化学成分の配合などのテスト、ビールの成分のテストに活用されているという。インプットとアウトプットに明確に相関関係を見いだすことが難しいようなケースに向いているという。お客さんの側にデータサイエンティストは不要で、製品のチューニングを行える人がいればよい。
3.「ドローンデータプラットフォーム」DroneDeploy
[Saas/ドローン] DroneDeploy
Series B($20M) AngelPad, Data Collective, Scale Venture Partners and SoftTech VC
ドローン撮影データ管理、分析プラットフォーム。
撮影データの収集、分析、地図の生成、3Dモデルの生成など、様々なデータ管理、分析に活用出来るプラットフォーム。これまでに、警察による死体の遺棄場所の特定、飛行機の事故現場の調査、ごみ捨て場の状況の監視など様々な用途に活用されている。一般的な活用方法は、農地、建設現場、保険の調査など。
すでに130カ国で活用されており、これまでに500万エーカーの土地のマッピングに活用されている。今回の資金調達は、採用および採用開発に活用する。将来的には、地上の無人ロボットのデータにまで対象を広げるという。
4.「1時間配送プラットフォーム」Symphony Commerce
[Enteprise/コマース] Symphony Commerce
Series C ($11M) Bain Capital Ventures, Blue Cloud Ventures, CRV and FirstMark Capital
Eコマース向けのクラウドプラットフォーム。
大手企業がEコマースに取り組む際に必要となる、様々な機能を提供している。ウェブサイトの開発ツールなどの基本的な機能に加え、独自の注文管理ツールや倉庫ネットワークを活用することで、大都市において「1時間以内でのオンデマンド配送」を可能としている。米国においては、Amazonなどとの激しい競争があり、大手企業においても単にEコマースを始めるだけでは十分ではなく、こうしたオンデマンド配送も求められている。
すでにゲータレード、ハーシーズなどの大手ブランドが活用している。今回の資金調達で、配送の能力を増強し、二倍にする予定だという。
5.「授業ノート販売」StudySoup
[Marketplace/学校] StudySoup
Seed VC ($1.7M) 500 Startups, Canyon Creek Capital and Leonard Lodish
大学生が授業のノートや勉強ガイドを売買できるマーケットプレイス。
授業をしっかり受けてノートを取っている学生が自分のノートをアップロードし、授業についていくためにいいノートや勉強ガイドが必要な学生がそれを購入できるという仕組み。学生は、誰でもノートを販売できるわけでなく、トレーニングを終了し「エリートノートテイカー」になる必要がある。一旦エリートになると、1つのコースにつき15件程度のノートをアップすることで$400-500の収入が得られる。利用者側は、月額$11-30を支払い、ノートテイカー、授業、教授などでノートを検索可能。
2014年に3つの大学でスタートし、現在は150の大学をカバー。2,000人のエリートノートテイカー、50万人の利用者がいるという。ノートテーカーの収入から30%のフィーをとっている。今回の資金調達は、採用およびマーケティングに利用するという。