今週の注目5社:完全オンライン保険 / オシャレヨガウェア / 社内システムモバイル化 / WiFiマーケティング / EC詐欺対策
今週も一週間の資金調達のニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「完全オンライン保険」Quilt
[Service/金融] Quilt
Corporate Minority (N/A) Baidu
「全ての手続きがオンラインで完結する」保険スタートアップ。
最近大きなブームとなっているオンライン保険スタートアップの一つ。保険商品は複雑で、実際に手続きをしても保険金を手にするまでには非常に時間と手間がかかることも多い。NYで3年前に発生したハリケーンサンディでは、まだ多くの人々に家屋保険が支払われていないという。まずは、今月フロリダ州でオンライン家屋保険をスタート。保険は規制なども複雑なため当初は保険商品自体は従来のもの(Security First Insurance社と提携)でスタート。ただし、書類などの提出は全てオンラインで、かつ5分で手続きが完了するという。
今後は、Security First Insunrace社と共同で新しい保険商品を開発し、州毎に認可をとっていくという。例えば家屋保険などで、家電製品などが一見全てカバーされているように見えるが、実際は一部しかカバーされない、といった既存商品の課題を解決するような商品を開発していくという。家屋保険からスタートし、将来的に生命保険、ペット保険、旅行保険などに取り組むという。
2.「オシャレヨガウェア」Outdoor Voices
[Commerce/アパレル] Outdoor Voices
Series B ($13M) General Catalyst Partners, Gwyneth Paltrow, Leandra Medine
「お洒落なヨガ / フィットネスウエア」をデザイン、販売しているスタートアップ。
弱冠27歳のCEO Tyler Haneyが、黒中心のフィットネスウェアをファッション性のあるものに変えたいということで2013年に起業。「アンチNike」とも呼ばれ、有名な女優やブロガーともコラボレーションをして、急成長している。J Crewと提携し、同社が扱う最初のフィットネスウェアとして取り扱われている。
現在、Austinに初のリアル店舗を構え、今後NYにも店舗を展開する予定。今後は、リアル店舗を活かし、ヨガのクラスやペット向け含む店舗内イベントを充実させ、コミュニティを形成していくという。今回のラウンドには女優のグゥイネス・パルトロー、ブロガー、デザイナー等も出資している。
3.「社内システムモバイル化」Capriza
[Enterprise/モバイル] Capriza
Series C – II ($23M) Andreessen Horowitz, CRV, Tenaya Capital and Vintage Investment Partners
企業の「社内システムをモバイル化」するプラットフォーム。
現在企業の従業員の多くはスマホを仕事でも使うようになっているが、デスクトップ向けに開発された社内システムをモバイル化するにはコストも時間がかかっていた。それを高速かつ安価でモバイル化するためのソリューションを提供している。DirecTV、Del Monteなど100社以上の大手企業がクライアントとなっているという。
2011年創業。現在は10カ所にオフィスがあるという。昨年一年間でクライアント数は300%成長し、すでにトータル100万人以上が利用しているという。
4.「WiFiマーケティング」Zenreach
[Saas/CRM] Zenreach
Series B($30M) 8VC, First Round Capital, Founders Fund, SoftTech VC and SV Angel
「フリーWiFi」を活用した店舗向けマーケティングSaas。
2013年創業、これまではステルスとして活動していた。店舗向けに独自のハードを提供。フリーWiFi用に独自のログインポータルを作成できる仕組みを提供し、ユーザのメールアドレスを取得するという仕掛け。最終店舗来訪日、来訪回数などを蓄積、解析する。そして、90日以内に訪問していない既存顧客に自動で再訪を促すメッセージを配信することなどが可能。
現在、社員数150人。今後300人まで拡張予定だという。これまでに取得したメールアドレスは、San Francisco市全体の1/3をカバーしているという。
5.「EC詐欺対策」Sift Science
[Saas/セキュリティ] Sift Science
Series C ($30M) Insight Venture Partners, Spark Capital, Union Square Ventures
AIを用いた「ECサイト向け不正検知」ソリューション。
米国におけるインターネット犯罪による損失額は$1B以上とも言われており、ECサイトの不正アクセス、乗っ取り等の手法も複雑化している。既存のルールベースによる防御方法では対応は難しくなっており、同社はAIを用いて学習を重ねていくソリューションを提供している。現在、1.6万もの不正パターンを記憶しており、Airbnb, Yelp, Zillow含む6,000以上のWebサイトで利用されている。
従業員数は60名で今回の資金調達で30名ほど増やす予定という。また、ECサイトだけではなく、コミュニティサイトやアプリでの不正検知のプロダクトを発表した。