今週の注目5社:炭素除去ソリューション / ウェアラブル神経調節療法 / 次世代食物繊維 / AI英会話アプリ / カビ検査・治療
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「炭素除去ソリューション」Terradot
カテゴリ:Others/サスティナビリティ
ラウンド:Series A ($58.2M)
主な投資家:John Doerr, Acre Venture Partners, Cisco, Floodgate, George Roberts, Gigascale Capital, Google, Kleiner Perkins, Microsoft, Ponderosa Ventures, Sheryl Sandberg, Tom Bernthal, Valor Capital
岩石の風化促進技術を用いた炭素除去ソリューション。
砕いた岩石で大気中の二酸化炭素を除去する風化促進技術(ERW)を開発するサスティナビリティスタートアップ。玄武岩をはじめとするケイ酸塩鉱物を細かく粉砕して農地などの陸地に散布することで岩石の表面積を増やし、岩石の自然風化プロセスを促進する仕組み。現在、ブラジルでパイロット運用を開始している。Googleは同社と契約し、20万トンの炭素除去クレジットを購入済みという。Sheryl Sandbergなどのエンジェル投資家も出資者に名を連ねている。
2022年創業、本社はカリフォルニア州スタンフォード。John Doerr等から今回調達した$58.2Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
2.「ウェアラブル神経調節療法」Cala Health
カテゴリ:HW/医療機器
ラウンド:Series E ($50M)
主な投資家:Nexus NeuroTech Ventures, Vertex Growth, Action Potential Venture Capital, Ascension Ventures, Fiscus Ventures, Google Ventures, Johnson & Johnson Innovation, Lightstone Ventures, Lux Capital, OSF Ventures, PEAK6 Investments, Reimagined Ventures, TriVentures
手の震えを抑えるウェアラブル神経調節デバイス。
パーキンソン病や本態性振戦(ふるえ)患者を対象に、手の震えを制御するニューロモデュレーション(神経調整療法)デバイスを開発するメドテックスタートアップ。FDA認可取得済みのウェアラブルデバイスは、患者の震えの特徴をリアルタイムに感知し、カスタマイズされた刺激を皮膚を通して非侵襲的に送ることで、手の震えを軽減してくれる。一回のセッションは40分程度。スタンフォード大学からのスピンオフ。
2014年創業、本社はカリフォルニア州サンマテオ。Nexus NeuroTech Ventures等から今回調達した$50Mは、製品開発に活用する予定。
3.「次世代食物繊維」one.bio
カテゴリ:Biotechnology/フード
ラウンド:Series A-III ($27M)
主な投資家:Alpha Edison, Acre Venture Partners, Collaborative Fund, DSM Venturing, E12 Venture Capital, Leaps by Bayer, Morado Venture Partners, Remy Cointreau Group, Skyviews Life Science, iSelect Fund
次世代食物繊維の開発。
農業廃棄物を無臭・無色・無味の食物繊維に変換し、食品に添加して再利用する技術を開発するバイオテックスタートアップ。繊維の構造を変えずに、繊維を溶けやすく、消化しやすいものにすることで、味や食感に影響を与えずに食品に添加することが可能。食品・飲料メーカーは、シリアルや植物性ミルク、清涼飲料水などに使用できるという。カリフォルニア大学デービス校からのスピンオフ。
2019年創業、本社はカリフォルニア州デイビス。Alpha Edison等から今回調達した$27Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
4.「AI英会話アプリ」Speak
カテゴリ:App/エドテック
ラウンド:Series C ($78M)
主な投資家:Accel, Khosla Ventures, OpenAI Startup Fund, Y Combinator
AIを活用した英会話アプリ。
音声認識技術を活用し、英語のスピーキングに特化した英会話アプリを開発するエドテックスタートアップ。AIチューターと話すことで、他のアプリと比べて大量の英語を話すことが可能。また、日常で使う会話のパターンやユーザーが指定したシチュエーションを練習でき、会話終了後にはAIチューターから不自然な表現や文法のミスなどに関するフィードバックがもらえる。今回の資金調達によるバリュエーションは10億ドルを超え、ユニコーン企業の仲間入り。
2016年創業、本社はサンフランシスコ。Accel等から今回調達した$78Mは、サービスエリアの拡大に活用する予定。
5.「カビ検査・治療」MoldCo
カテゴリ:Service/ヘルスケア
ラウンド:Pre-Seed ($3M)
主な投資家:Behind Genius Ventures, Bleu Capital, Boost VC, Conscience VC, Moth Fund, Night Ventures, Salt, Starship Ventures
カビが原因の慢性疾患に対する治療サービス。
カビが引き起こすさまざまな慢性疾患を治療・ケアするデジタルヘルスケアサービスを提供するスタートアップ。ユーザーは、臨床医によるケアや専門的なラボ検査、検査結果に基づく特許取得済みの治療を受けることが可能。現在一部の州で患者を受け入れており、2025年には全米にサービスを展開する予定。今回の資金調達でステルス状態から脱却した。
2023年創業、本社はボストン。Behind Genius Ventures等から今回調達した$3Mは、サービスエリアの拡大に活用する予定。