今週の注目5社：グリーンメタノール / 会話型音声AI / 医療画像データ / グローバル人材採用 / 人工臓器
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「グリーンメタノール」Oxylus Energy
カテゴリ：Others/クリーンテック
ラウンド：Seed VC ($4.5M)
主な投資家：Azolla Ventures, Toyota Ventures, Connecticut Innovations, Earth Foundry
グリーンメタノールの開発。
回収した二酸化炭素を環境に優しいグリーンメタノールに変換する技術を開発するクリーンテックスタートアップ。コバルトベースの触媒を利用した独自の電解装置で、低温低圧のまま回収した二酸化炭素を液体燃料のメタノールに変換することが可能。生産したグリーンメタノールは船舶のe-fuel（合成燃料）や化学物質およびプラスチックの原料、加工してジェット燃料としても使用できるという。Yale大学からのスピンアウト。
2023年創業、本社はコネチカット州ニューヘイブン。Azolla Ventures等から今回調達した$4.5Mは、引き続き製品開発に活用する予定。
2.「会話型音声AI」Tenyx
カテゴリ：SaaS/AI
ラウンド：M&A
主な投資家：Salesforce
AIを活用した会話型音声プラットフォーム。
あたかも人間が対応しているかのような自然な会話体験を顧客に提供する音声AIエージェントを提供するAIスタートアップ。顧客が話し終えるタイミングを察知したり、会話の文脈を正確に理解して返答することで顧客満足度を向上させることが可能。すでにEC、旅行、保険、金融機関などに利用されている。Salesforceは今回の買収を通じて、同社が提供する「Agentforce Service Agent」の機能強化を推進するという。
2022年創業、本社はカリフォルニア州パロアルト。今回Salesforceに買収された（買収額は非公表）。
3.「医療画像データ」Segmed
カテゴリ：SaaS/ヘルスケア
ラウンド：Series A ($10.4M)
主な投資家：Advocate Health Care, iGan Partners, Blumberg Capital, Bold Brain Ventures, Castellan Group, Engine Health Capital, Expeditions Fund, Fox Chase Cancer Center, Nina Capital, Nova Capital, Y Combinator
AIを活用した医療画像データプラットフォーム。
臨床医や研究者、AI開発者が高品質な医療画像データ（リアルワールドデータ：RWD）を入手できるプラットフォームを開発するヘルスケアテックスタートアップ。5大陸の何千もの医療機関や画像診断クリニックと提携し、大規模な医療画像データを集約しているという。完全に匿名化されたデータのみを共有することで、個人情報が一切公開されないようにしている。Y Combinatorが主催する2020年冬のコホートにも参加した注目スタートアップ。
2019年創業、本社はカリフォルニア州パロアルト。Advocate Health Care等から今回調達した$10.4Mは、サービスの拡大に活用する予定。
4.「グローバル人材採用」Oyster
カテゴリ：SaaS/HR
ラウンド：Series D ($59M)
主な投資家：Silver Lake, Emergence Capital, Endeavor, G2 Venture Partners, Georgian, Stripes Group
グローバル人材の採用・給与計算プラットフォーム。
現地法人を設立することなく、世界180ヶ国以上から優秀な人材を雇用することができるグローバル採用プラットフォームを開発するHRテックスタートアップ。現地のコンプライアンスに準拠した雇用契約書の作成や給与計算、福利厚生対応などをワンストップで管理できる。環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる「B Corp（B Corporation）」認証も取得している。今回の資金調達によるバリュエーションは$1.2Bとユニコーン企業の仲間入り。
2020年創業、本社はデラウェア州ウィルミントン。Silver Lake等から今回調達した$59Mは、サービスの拡大に活用する予定。
5.「人工臓器」eGenesis
カテゴリ：Biotechnology/ヘルスケア
ラウンド：Series D ($191M)
主な投資家：Lux Capital, ARCH Venture Partners, Alta Partners, DaVita, Eisai Innovation, Farallon Capital Management, Fresenius Medical Care Ventures, Khosla Ventures, Leaps by Bayer, Natco Pharma (Canada), Parkwood Entertainment
腎臓移植のための人工臓器の開発。
腎臓移植のために人間に適合する人工臓器を開発するヘルスケアテックスタートアップ。世界では数百万人が末期の腎疾患や腎不全に苦しんでいるが、世界的な臓器不足により、移植による治療が受けられない状況が続いている。臓器不全に苦しむ患者を助けるために、ゲノム工学を駆使し、人間の臓器と大きさが近い豚の臓器を利用した人工臓器で異種移植の実現を目指している。
2015年創業、本社はマサチューセッツ州ケンブリッジ。Lux Capital等から今回調達した$191Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
