今週の注目5社:小型巡航ミサイル / 電話応対AIエージェント / AIリスク管理 / 子供向けAI搭載ブラウザ / AI人感センサー
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「小型巡航ミサイル」Ares Industries
カテゴリ:HW/防衛
ラウンド:Seed (NA)
主な投資家:Y Combinator
小型かつ低コストの巡航ミサイル。
既存の発射システムに統合可能な対艦巡航ミサイルを開発する防衛テックスタートアップ。Lockheed Martinをはじめとする大手防衛企業よりも小型で安価な対艦ミサイルを大量に製造する仕組みの構築を目指している。現在、プロトタイプを試験飛行しており、2025年半ば頃のミサイルシステム納入に向けて開発が進められているという。Y Combinatorが初めて出資した防衛テックスタートアップとしても注目されている。
2024年創業、本社はカリフォルニア州エル・セグンド。Y Combinator等から今回調達した資金は、引き続き開発費用に活用する予定。
2.「電話応対AIエージェント」Bland AI
カテゴリ:SaaS/AI
ラウンド:Series A ($16M)
主な投資家:Scale Venture Partners, Jeff Lawson, Max Levchin, Piotr Dąbkowski, Y Combinator
AIを活用した電話応対エージェントの開発。
企業がコールセンターなどの電話応対プロセスを自動化できるAIエージェントを開発するスタートアップ。営業やカスタマーサポート、社内オペレーションなどの活用事例および音声を選択後、企業毎の応対プロセスをカスタマイズするだけで導入可能。多言語対応に加え、人間の感情も理解して会話するようになるという。すでにBetter.comやSearsなどを顧客に持つ。Y Combinatorが主催する2023年夏のコホートにも参加した注目スタートアップ。
2023年創業、本社はサンフランシスコ。Scale Venture Partners等から今回調達した$16Mは、チームの拡大に活用する予定。
3.「AIリスク管理」Robust Intelligence
カテゴリ:SaaS/セキュリティ
ラウンド:M&A
主な投資家:Cisco
AIのリスクを管理するプラットフォーム。
AIモデルを評価し、リスクを監視するセキュリティプラットフォームを開発するAIスタートアップ。AIモデルのセキュリティに関するリスクを継続して自動的にテストする「AI Testing」、特定された各モデルの脆弱性に対処するためにリアルタイムで有害な入出力をブロックし、AIアプリケーションを保護する「AI Firewall」を提供する。PayPalやExpedia、米国防総省などの米国企業に加え、東京海上やリクルートなどの日本企業にも利用されている。
2019年創業、本社はサンフランシスコ。今回Ciscoに買収された。
4.「子供向けAI搭載ブラウザ」Hello Wonder
カテゴリ:SaaS/教育
ラウンド:Seed VC ($2.1M)
主な投資家:Andreessen Horowitz, Chasing Rainbows VC, Chris Williams, Designer Fund, GroundUp Ventures, Jason Toff, Tony Fai
子供向けのAI搭載ブラウザの開発。
5歳から10歳までの子供を対象としたブラウザおよびAIコンパニオンを開発するエドテックスタートアップ。子供にとって有害なサイトをブロックし、有益なコンテンツを提供するだけでなく、子供の質問に答えたり、興味のある分野や保護者が学ばせたい内容の動画を意図的に提供することで子供の才能を向上させることが可能という。保護者は子供とのチャット機能に加え、オンライン活動に関する情報もまとめて受け取ることができる。
2023年創業、本社はサンフランシスコ。Andreessen Horowitz等から今回調達した$2.1Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
5.「AI人感センサー」Butlr
カテゴリ:HW/センサー
ラウンド:Series B ($38M)
主な投資家:Foundry, Carrier, DNX Ventures, GS Futures, Joi Ito, Pacific Alliance Ventures, Qualcomm, Ray Strata
AIを活用した人感センサーの開発。
人の体温を検知してオフィスなどの占有率や利用時間をリアルタイムで把握できるモニタリングプラットフォームを開発するスタートアップ。「Heatic」と呼ばれる人感センサーはワイヤレスで持ち運びができ、壁や天井にわずか数分で設置することが可能。体温を利用した低解像度データのためプライバシーも守ることができる。オフィスの効率的な利用だけでなく、介護施設における転倒や徘徊などの対応にも利用されている。MIT Media Labからのスピンオフ。
2019年創業、本社はカリフォルニア州バーリンゲーム。Foundry等から今回調達した$38Mは、サービスの拡大に活用する予定。