今週の注目5社:自動食品デリバリー / オンライン薬局 / カイゼンAI / 高速ネットワーク / 現場リスク管理
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白い米国のスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「自動食品デリバリー」Jupiter
[Commerce/フード] Jupiter
Series B ($2.8M) Khosla Ventures and NFX
食料品の自動オーダー&デリバリーサービス。
生鮮食品などの食料品の注文を「オートパイロット化」 してくれるサービス。最初の2週間は無料で利用でき、品目ごとの量や頻度など購買傾向を独自のアルゴリズムで分析し、毎週何がどれだけ必要か提案してくれる。ユーザーは提案を確認・承認するだけで自動で食料品が自宅までデリバリーされる仕組み。価格は、月額$20のメンバーシップフィー。コロナ禍で自宅で過ごす時間が増える中、買い物に費やす時間を削減可能。
2019年創業、本社はサンフランシスコ。Khosla Ventures等から今回調達した$2.8Mは、引き続きサービスの拡大に活用する予定。
2.「オンライン薬局」CareZone
[App/ヘルスケア] CareZone
$200M by Walmart
オンライン薬局・服薬管理アプリ。
処方箋の発行や薬を自宅まで届けてくれるオンライン薬局機能に加え、患者の服薬管理、血糖値・血圧などの健康情報もトラッキングできるアプリ。また、薬局向けのプラットフォームも提供し、受注や配送などのワークフローの自動化および患者とのコミュニケーションもサポートしている。アプリは無料で利用でき、これまでのダウンロード数は500万以上という。Amazonへの対抗に向け、WalmartがEC戦略を強化。
元Sun MicrosystemsのCEO Jonathan Schwartz氏が2012年に創業、本社はサンフランシスコ。今回Walmartが$200Mで技術や特許権を買収した模様。
3.「カイゼンAI」Drishti Technologies
[SaaS/製造] Drishti Technologies
Series B ($25M) Alpha Intelligence Capital, Andreessen Horowitz, Emergence Capital Partners, Sozo Ventures and Toyota AI Ventures
アクション認識とAIを活用した製造現場のカイゼンプラットフォーム。
工場内に設置したカメラで従業員の動きを撮影し、コンピュータービジョンで「ネジをつける」などの個別作業を認識し、どのくらい時間をかけたかをリアルタイムで数値化(デジタル化)してくれる。生産性改善に加え、品質管理・トレーサビリティも大幅に改善可能。また、工場内でのソーシャル・ディスタンシング対応にも活用されている。すでにFord、Nissan、Densoなどを顧客に持ち、TOYOTAも北米工場の一部でテスト導入しているという。今後は日本進出を加速させる予定。
世界初のコラボレーションロボット(コボット)を開発した元GMのDr. Prasad Akellaが2017年に創業、本社はマウンテンビュー(カリフォルニア州)。Sozo Ventures等から今回調達した$25Mは、日本など海外展開の加速に活用する予定。
4.「高速ネットワーク」Zycada Networks
[Enterprise/ネットワーク] Zycada Networks
Series B ($19M) Cervin Ventures, Khosla Ventures and Nordic Eye
EC向けの高速ネットワークサービス。
ECやライブストリーミングを運営する企業向けに、高速ネットワーク環境を提供。ボット技術を活用することで、Amazonと比較し、WebコンテンツのローディングスピードなどTTI(Time to Interactive)を10倍高速化できるという。そのため、「今すぐ購入」などのボタンが表示されるまでの時間に耐えられずサイトを離れる(売上損失する)ユーザーを防ぐことが可能。すでにECサイトにおいて、数十億のトランザクションを加速している。
2016年創業、本社はサンノゼ。Khosla Ventures等から今回調達した$19Mは、製品開発に活用する予定。
5.「現場リスク管理」Urbint
[SaaS/リスクマネジメント] Urbint
Series B ($20M) Energy Impact Partners, National Grid Partners, PIVAand Salesforce Ventures
現場向けの安全管理プラットフォーム。
AIを用いて、採掘現場や建設現場などの安全性を管理するプラットフォーム。インフラの修理履歴や今後の建設計画、天候、土壌、感染症など様々なデータを分析し、現場の作業員が今後直面する可能性のあるリスクを評価・スコア化してくれる。すでにPG&Eをはじめ、電力やガス会社など40以上の公共サービス機関を顧客に持つ。
2015年創業、本社はニューヨーク。Energy Impact Partners等から今回調達した$20Mは、開発費用および海外展開の加速に活用する予定。