今週の注目5社:スニーカーD2C / 大麻チェッカー / 老舗百貨店 / パーソナル・クレジットスコア / プログラミングゲーム
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「スニーカーD2C」Atoms
[Commerce/スニーカー] Atoms
Series A ($8.1M) Aatif Awan, Alexis Ohanian, Chris Anderson, Garry Tan, Initialized Capital, Jacqueline Novograts, Kleiner Perkins Caufield & Byers, Michael Dubin and Shrug Capital
究極のフィット感を追求するスニーカー。
特徴はクォーター(0.25インチ)刻みのサイズ展開。例えば、10インチ(25.4センチ)のサイズを選ぶと、9.75/10/10.25の3足が自宅に送られてくる。ユーザーはフィット感を試して好みのペア(左右異なるサイズもOK)を選び、いらない靴を無料で送り返す。ロゴはなく、カラーも黒・白のみでシンプルかつスタイリッシュなデザイン。価格は$179〜とAllbirdsなどと比べると少し高めの設定。Dollar Shave ClubのCEOであるMichael Dubinなども出資。
2018年創業、本社はブルックリン(ニューヨーク州)。Initialized Capital等から今回調達した$8.1Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
2.「大麻チェッカー」Hound Labs
[HW/大麻] Hound Labs
Series D ($30M) Benchmark, Icon Ventures, Intrinsic Capital Partners, Main Street Advisors and NFP Ventures
呼吸からTHC(大麻)濃度を計測できる大麻チェッカー。
大麻の影響度を即時に計測できる世界初の大麻検知器。呼吸を吹きかけるだけで、尿や唾液・血液がなくても大麻とアルコールの濃度を数分で測定できる。コンパクトで持ち運び可能なキャリーケースも付属。嗜好用の大麻使用が合法化される中で、運転への影響も含め使用後2〜3時間以内の検知が求められており、医療用だけでなく一般での利用も今後促進する予定という。
2014年創業、本社はオークランド(カリフォルニア州)。Intrinsic Capital Partners等から今回調達した$30Mは、製造および商業利用の拡大に活用する予定。
3.「老舗百貨店」Lord & Taylor
[Commerce/アパレル] Lord & Taylor
$100M by Le Tote
米国最古と言われる老舗百貨店。
全米に38店舗を展開する百貨店。2018年の売上高は$1.4B(内、約25%がオンライン)。最近では、業績不振から2017年にニューヨーク5番街の旗艦店を閉鎖していた。2012年創業のスタートアップが老舗百貨店を買収するという小売業界に激震が走った今回のM&Aだが、弊社の投資先でもありファッションレンタルのサブスクリプションサービスを展開するLe Toteは、今回の大型買収を通じてオムニチャネル戦略を加速させる。
1826年創業、本社はニューヨーク。Le Toteが親会社であるハドソン・ベイ・カンパニー(HBC)から買収。買収額は$100M。
4.「パーソナル・クレジットスコア」Credit Sesame
[App/フィンテック] Credit Sesame
Debt-II ($15.5M) Undisclosed Investors
Series F ($26.6M) Globespan Capital Partners, IA Capital Group, Inventus Capital Partners, Menlo Ventures, SF Capital Group, ATW Partners
クレジットスコアの管理プラットフォーム。
Alibaba Group傘下のAnt Financialが開発したパーソナル・クレジットスコア(個人信用格付け)サービス。ユーザーは月に1度、信用情報機関「TransUnion」からアップデートされる自分のクレジットスコアを無料で確認できるだけでなく、スコアを改善するためのアドバイス(最適なクレジットカードやローンなど)ももらえる。売上高は直近5年間で毎年90%以上成長しており、既に黒字化。近々バリュエーションは$1Bに達するとも言われており、今回のラウンドがIPO前最後の調達となる模様。
2010年創業、本社はマウンテンビュー(カリフォルニア州)。ATW Partners等から今回調達した$43Mは、AIアルゴリズムの開発およびサービスの拡大に活用する予定。
5.「プログラミングゲーム」CodeCombat
[SaaS/教育] CodeCombat
Series A ($6M) Andreessen Horowitz, Extol Capital, Hone Capital and OceanOne Capital
初心者や子供向けのプログラミング教育ゲーム。
RPG形式で、自分が書いたコードを用いて主人公を操作しながら進めるプログラミング教育教材。月額$10(一部は無料)でPythonとJavaScriptを中心に学習できる。導入ガイドや学習計画、生徒の進捗管理機能などもあり、家庭での利用だけでなく学校などの教育機関でも広く利用されている。既に190か国、1200万人が利用しているという。
2013年創業、本社はサンフランシスコ。Hone Capital等から今回調達した$6Mは、引き続きサービス開発に活用する予定。