今週の注目5社:都市農園インキュベータ / 食肉培養 / ブロックチェーン認証 / オンライン自動車ローン / スマートロック
1.「都市農園インキュベータ」Square Roots
[HW/農業] Square Roots
Seed VC – II ($5.4M) Collaborative Fund
イーロン・マスクの弟キンバル・マスクによって創業された、コンテナを活用した都市型農業スタートアップのインキュベーションプログラム。
コンテナ内で作物を栽培する垂直農法に関するノウハウ、設備、技術等を提供し、この分野での起業を志すアントレプレナーを支援する。第1弾の支援プログラムは、12カ月の期間に渡ってニューヨークのブルックリンに設置された10個のコンテナ内で実施された。参加者のバックグラウンドは多岐に渡り、それぞれ異なる作物を栽培。すでに、ニューヨーク市内の80のオフィスへ販売されているという。当プログラムへは多くの起業志望者が殺到しており、初回公募には、10名の募集枠に対して500名以上の応募があったとのこと。
2015年創業、本社はニューヨーク。現在次ラウンドへの参加希望を受け付けており、2020年までに20都市へプログラムを展開する予定。
2.「食肉培養」Memphis Meats
[Others/食品] Memphis Meats
Series A ($17M) Atomico, Bill Gates, Cargill Ventures, Draper Fisher Jurvetson, Fifty Years Fund, Inevitable Ventures, KBW Ventures, Kimbal Musk, Kyle Vogt, New Crop Capital, Richard Branson, SOSV and Suzy Welch
動物の細胞から食肉を培養する技術を開発。
牛と豚の幹細胞から筋肉繊維を取得し、酸素と栄養を加えて食肉を培養する技術を研究している。2016年時点の生産コストは、鶏肉$9,000/LB、牛肉$18,000/LB程度と非常に高いが、2013年に発表された、世界初の培養肉ハンバーガーの製造に$300,000かかっていたことに比べると、コスト削減に向け大きく技術が進歩している。すでに、ハンバーガーのパテ1枚につき1,200円程度までコスト削減できる見込みが立っており、3~4年以内の商品化を目指す。食肉の培養は、従来の家畜生産により発生する二酸化炭素を9割削減すると言われており、「クリーンミート」と称され注目を集めている分野。 リチャード・ブランソン、ビル・ゲイツ、 ジャック・ウェルチ等といったビッグネームが今回の調達ラウンドに参画している。
2015年創業、本社はサンフランシスコ。Draper Fisher Jurvetson等から調達した$17Mは、培養・量産化技術の向上のために活用する予定。
3.「ブロックチェーン認証」Shocard
[SaaS/セキュリティ] ShoCard
Series A ($4M) AME Cloud Ventures, Correlation Ventures, Danhua Capital, Morado Venture Partners, Recruit Strategic Partners, Robert Tinker and Storm Ventures
ブロックチェーン技術を活用した、モバイルベースの個人認証プラットフォーム。
モバイルアプリ上で身分証明書の画像をアップロードすると、内容を読み込んで暗号化し、ShoCard IDと呼ばれるデジタルIDを発行してくれる。銀行や信用度調査会社、航空会社等、個人がウェブサイトにアクセスする際に、IDとパスワードの入力が必要な会社を中心に導入が拡がっており、既に個人認証サービスでは主要プレイヤーの一つとなっている。今回の調達ラウンドを機に法人向けの認証サービスに進出したいとしており、新製品ShoBadgeは、IDやパスワードの入力をせずとも、企業内のネットワークに参加したり、データベースへアクセスしたりが可能となる。
2015年創業、本社はパロアルト。Recruit Strategic Partners等から調達した$4Mは、法人向け認証サービスの展開に活用する予定。
4.「オンライン自動車ローン」AutoFI
[Service/金融] AutoFi
Series A – II ($10M) Crosslink Capital, Ford Motor Company and Lerer Hippeau Ventures
Corporate
ディーラー向けのオンライン自動車ローンプラットフォーム。
ディーラー、自動車ローン会社を繋いで情報連携することで、自動車ローンの申し込みがオンラインで完結するようにしてくれる。車購入者がディーラーウェブサイト上で必要な情報を入力すると、自動車ローン会社のポリシーと照合の後、申し込み内容を自動で転送。これにより、書類の記入や審査などで数時間も要していた自動車ローンの組成が数分で完了するようになるという。Ford系列の自動車ローン会社Motor Creditと提携済みで、すでにFordとLincolnの一部ディーラーで当サービスを利用できる。
2015年創業、本社はサンフランシスコ。Fordが今回の調達ラウンドに参画。調達した$10Mは、ディーラー・自動車ローン会社ネットワークの拡大と、カナダへの事業展開に活用する予定。
5.「スマートロック」Otto
[HW/ロック] Otto
Seed VC (NA) Greylock Partners and Reid Hoffman
ハイエンドな小型のスマートロック。
専用アプリをインストールしたスマートフォンを携帯することで、ワンタッチで鍵の開け閉めが可能。機能的にはAugustなどの一般的なスマートロックと同様だが、デザインにこだわることで他社と差別化を図る。サイズを、通常のカギと同程度の大きさに収めている。キーボードは搭載していないものの、ロック表面に表示される数字と組み合わせることで、コンビネーションロックのような開け方も可能だという。社内にNokia出身のインダストリアルデザイナーを抱え、デザインを内製化し、美しさを追求。価格は$700とプレミアム価格(参考:August Smart Lockは通常$230程度)だが、今後より手頃な商品もラインに追加する予定。
Microsoftの元幹部により2013年創業、本社はサンマテオ。