IoTは第二章へ。AWSのIoT対応で加速するモノのインターネット。

October 12, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

Scrum Venturesのここ最近の投資テーマの一つは、「IoTのプラットフォーム」でした。

2013-2014年はウェアラブル 、冷蔵庫ビル管理 、ドローン、と様々なカテゴリーのIoTスタートアップに投資をしてきました。そろそろ次はこうしたデバイスを管理したり、デバイスから上がってくるデータを分析するためのプラットフォームが来るだろうということで、最近は個別のハードウェアよりも、バックエンド系の様々なスタートアップを見てきました。

先週、こうしたスタートアップが全て吹き飛ばされてしまいそうな製品が、Amazonの開発者向けイベントre:Invent2015で発表されました。

AWSのIoT向けプラットフォーム、「AWS IoT Platform」です。

コンセプト、製品、ケーススタディなどについて、AWSのCTO Dr.Werner Vogelsがキーノートで詳細に語っています。1時間30分と結構長いですが、ものすごく面白いので、Las Vegasまで行けなかった方は是非ごらんください。

AWS IoT Platformはまだベータということですが、ハードをクラウドに接続するためのSDK、クラウドアプリとやりとりするためのネットワーク機能、それにデバイスとのデータをやりとりを安全にするためのセキュリティ機能などが含まれています。「既存のハードをIoT化したい」「新たにIoTデバイスを作りたい」というシーンにおいて非常に力強い味方になりそうです。

キーノートでは、様々なパートナーの活用例が紹介されています。

食品の成分分析センサー、バスの位置がわかるリアルタイムサイネージ、電気代を支払わないと色が変わる電球、電球の色で街のナビゲーションをダイナミックに変える、などどれもIoTが普及した未来を感じさせてくれる面白い例です。

その中でも面白かったのが、自動車分野のパートナー、BMWです。

BMWは先日新しい7シリーズに自動運転機能の一つ「自動パーキング機能」を世界で初めて搭載するということで話題(タッチスクリーン付きのリモコンもかなり格好いいです)になりましたが、今回は、「車のIoT化」を中心に語っていました。

BMWの中では、CARASSO(カラッソ / CAR AS a SensOr )と呼んでいるということですが、車をセンサーと捉え、それをAWSと接続することで、センサーデータをリアルタイムに活かした様々なサービス、機能を開発しているということです。

一つ紹介をしていたのが「Learning Maps」というアプリケーションで、車から上がってきたセンサーデータをリアルタイムに地図に反映して、ナビゲーションや車のセッティングなどを最適化するというものです。Googleが数年前に利用者の移動情報をリアルタイムに反映するWazeというナビアプリの会社を買収していますが、Learning MapsはWazeをさらに一歩進化させて、ナビゲーションだけでなく、「車自体をリアルタイムで最適化」するというものです。

「リアルタイム」以外に「パーソナライズ」というキーワードも強調されていました。まだまだ導入にはハードルの多い自動運転の本格導入の前に、クラウドサービスを活用した「車のパーソナライズ、最適化」は大きなトレンドになりそうですね。

別の視点から見ると、今回のAWS IoT Platformは、Amazon自体の「データ力」という意味でも大きな意味を持ちそうです。

Amazonは、ECだけでなく、書籍、音楽、動画など様々なコンテンツ、サービスに手を広げてきました。その結果、Amazonが持つ消費者情報は、ECによる「購買情報」だけだったものが、今や様々な「趣味嗜好」そして「消費特性」にまで広がってきています。そして今回IoTにも対象が広がったということで、ウェブ、スマホの枠を超えて、人々がどのような生活、暮らしをしているかが把握できるようになるはずです。Netflixとの間で繰り広げられている「消費特性」データをめぐる争いの先に、新たにIoTの膨大なデータが加わることで、どんな未来のサービス、コンテンツが生み出されるのでしょうか。


資金調達

「従業員リアルタイム評価ツール」のReflective、「植物ベース新食品(肉、乳製品)開発」のImpossible Foods、「ビデオコラボ編集アプリ」のFrame.ioなどが新たに資金調達しました。Reflectiveは、半年に一回のパフォマンスレビューではなく、常に従業員の評価とフィードバックができるツール。このカテゴリーもツールによりリアルタイム化が可能な分野のような気がします。Impossible Foodsは、「そもそも何で肉を食べているんだっけ?」と疑問を投げかける企業。野菜から肉やチーズ「のようなもの」を開発しています。

[SaaS/人材マネジメント] Reflective
Seed VC ($3.6M) Andreessen Horowitz
「従業員リアルタイム評価ツール」

[Other/食品] Impossible Foods
Series D ($108M) Bill Gates, Horizons Ventures, Khosla Ventures
「植物ベース新食品(肉、乳製品)開発」

[SaaS/メディア] Frame.io
Seed VC ($2.2M) Accel Partners
「ビデオコラボ編集アプリ」

[SaaS/データ] Segment
Series B ($27M) Accel Partners, Kleiner Perkins Caufield & Byers
「ユーザデータ統合API」

[Service/ファイナンス] ZestFinance
Debt ($150M) Fortress Investment Group
「ビッグデータ金融」


M&A

[Commerce/チケット] Ticketfly
450M by Pandora
「チケットプラットホーム」

[SaaS/分析] Perceptio
N/A by Apple
「人口知能開発」

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