Teslaの「半自動運転」機能スタート。ただし「日本以外」の世界中で。

October 26, 2015 スクラム代表・宮田ブログ

ちょうど1年前に発表されていたTeslaの「半自動運転機能」、Autopilot機能がついに先週リリースされました。

自動車の新製品の発表ですが「新しいモデル」が発売になったという話ではなく、iPhoneのOSアップデートのように、Teslaの既存のモデルの車に「新しい機能」がダウンロードできるようになった、という話です。

昨年の10月以降のModel Sには、レーダー、カメラ、超音波センサー、ブレーキシステムなどのハードウェアが搭載されているのですが、今回のTesla Version 7.0へのソフトウェアアップデートで、いくつかの自動運転機能が実現されました。

今回実現されているのは主に「自動車線キープ」「自動車線変更」「自動パーキング」の3つです。

残念ながら私がTeslaオーナーでなくまだ実際には触ったことがないため、以下はTesla公式ブログからの引用です。

「自動車線キープ」は、いわゆるクルーズコントロールの進化版で、高速道路でスピードを自動に制御するだけでなく、上にある写真のように「ハンドルから手を離しても車線に沿って車が車線内を自在に走ってくれる」機能です。この機能により、カーブのある高速道路でも、一旦乗ってしまえば、あとは手と足を離しても基本的に大丈夫ということです。これだけでもかなり便利な機能だと思います。

さらにすごいのが「自動車線変更」です。車線を自動的にキープしてくれるだけでなく、前の車がちょっと遅いから車線を変更したいと思った時には、ウィンカーを押すだけで、車が自分でハンドルを切って車線変更をしてくれます。ウィンカーを出した時に近くに車がいるとアラートを出してくれる機能などはすでに実装されている車もありますが、実際にハンドルを切る操作を伴うため、濡れた路面への対応、他の車との関係など含めて、一段と難しい高度な技術が使われていると思います。

最後の「自動パーキング」は、一般道での機能です。車を停めたいなと思うと、車が自動的に路上の駐車スペースをスキャンし、空いているスペースを見つけるとアラートを出してくれます。そして、ある程度自動で縦列駐車までしてくれるという機能です。この機能をベースにして、ショッピングセンターの駐車場で自動で駐車をしてくれたり、出口まで車が勝手に来てくれる機能の実装もすぐにできそうですよね。

Googleがテストをしているような、一般道での完全自動運転機能までは含まれていませんが、車線変更やパーキング機能などは大きな進化だと言えると思います。先日のAmazonによるIoT向けAWSのエントリで、初期パートナーのBMWのLearning Mapsのコンセプトについて触れましたが、今回のTeslaのAutopilot機能はこれをまさに実現しているものです。

そして皮肉なのは、これらのTeslaの自動運転イノベーションは世界中でリリースされたということなのですが、唯一日本にだけは上陸しないようです。Elon MuskのTweetによれば、他のすべての国では認可が下りたが、日本だけはまだ認可が下りないということのようです。

先日、日本でもようやくUBERXやLyftのような「相乗りタクシー」が一部特区で認められる方針になったと発表されました。これは非常に喜ばしいことで、実際にサービスが始まるのが待ち遠しいです。とは言え、世界の国々から遅れること数年、しかも特区限定です。

そしての今回のAutopilot機能も、「日本だけ」認可が下りていないと言います。日本にとって自動車産業は最重要産業であるのは間違いないですが、こうして世界のイノベーションに触れるのを遅らせることが果たして正しいことなのでしょうか?こうしたボディブローはじわじわとネガティブな意味で効いていくような気がします。


資金調達

「外科医用VRプラットホーム」のSurgical Theater、「医師情報データベース」のAmino、「オンデマンド倉庫」のClutterなどが新たに資金調達しました。Surgical Theaterは、外科医が患者とのコミュニケーションに使うためのVRプラットフォームです。複雑な手術などの説明を、VRを使うことで患者に伝えやすくするというアプローチです。Aminoは、医者を探すためのプラットフォームです。従来のサービスとの違いは、2億人近いアメリカ人の健康保険データから構築した医師の詳細なスキルのデータベースです

[SaaS/VR] Surgical Theater
Series A ($9M) HTC and Shanghai Creation Investment
「外科医用VRプラットホーム」

[Content/ヘルスケア] Amino
Series A ($19.4M) Accel Partners, CRV and Rock Health
「医師情報データベース」

[Commerce/ロジスティクス] Clutter
Series A (Oct 22, 2015; $9M) Sequoia Capital
「オンデマンド倉庫」

[SaaS/クラウド] ZeroStack
Series B ($16M) Formation 8, Foundation Capital and Leslie Ventures
「プライベートクラウドSaaS」

[SaaS/分析] Numeracy
Series C ($37.5M) Lightspeed Venture Partners, Sequoia Capital
「クラウドモニタリングSaaS」


M&A

[Marketplace/ファイナンス] SecondMarket
N/A by NASDAQ
「非公開企業向け投資プラットホーム」

[Saas/アプリ] Fastlane
N/A by Twitter
「アプリ開発ツール」

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