起業家精神に根ざし、スタートアップの現場で経験を積んできた投資メンバー ― Anand Engineer [Staff Interview]

September 23, 2025 スタッフインタビュー

米国投資チームメンバーのAnand Engineer(アナンド・エンジニア)は、Partnerで上司である Ryan Mendoza と共に、アーリーステージスタートアップのデューデリジェンスを行っています。Anandの幼少期、これまでのキャリアと、彼に根ざしている起業家精神について聞きました。

幼少期のレジリエンスと起業家精神

重度の吃音を抱えて生まれたAnandは、大人になっても吃音が残る0.1%という稀な存在です。子どもの約20%が吃音を経験し、多くは5歳までに克服しますが、Anandは人生の最初の言葉からこの問題と向き合い続けてきました。難しい発音や会話に挑み続ける中で、人々が吃音について、いかに理解していないかを身をもって体験してきました。彼はこの個人的な課題を機会に変え、吃音を持つ人のためのコミュニティを設立。現在300人以上が参加する活発な組織に成長しています。

Anandは、幼い頃から起業家としての素質をのぞかせていました。小学3年生のとき、同級生がペンに夢中になっていることに気づき、チャイナタウンの店からまとめ買いして、転売する商売を始めます。中学時代にはプロゲーマー向けにプロフィールページ用のカスタムグラフィックを制作。高校ではアパレルブランドを立ち上げ、5万ドルの収益を達成するなど、10代にして驚きの成果を残しました。

学生時代と初期キャリア

UCバークレーでは、経済学とコンピュータサイエンスを専攻し、論理的な思考力と技術的なスキルを磨きました。従兄弟が在学していたこともあり、UCバークレーへの進学は自然な選択でしたが、一方で彼は独自の道を切り拓く決意も固めていました。

大学2年時には社員5人のシードスタートアップ Redaptive Inc. に参加。銀行、コンサル、エンジニアといった一般的な進路を捨て、1年半にわたり初期スタートアップの多様な役割を体験しました。同社はその後ユニコーン企業となり、2024年第4四半期には11億ドルの評価額でシリーズFを調達。Anandの先見性を裏付ける結果となりました。

多様な役割と高い業務遂行能力

その後、AnandはオラクルでAPI統合を専門とするテクノロジーコンサルタントになりました。オラクルで貴重な経験を得る一方で、彼は起業家支援に直接関わりたいと、友人が立ち上げたヘルスケアスタートアップの支援をはじめました。暫定COOとして参画し、初のCTOや営業責任者の採用、業務プロセスの整備などに携わり、成長期のスタートアップ経営を実地で学びました。

ベンチャーキャピタルへの挑戦

VC業界を目指し、Twitter、ポッドキャスト、ニュースレター、カンファレンスなどで知識を吸収。VC関連のInstagramアカウントが少ないことに気づき、自ら情報発信を開始しました。フォロワーは5万人を超え、今やその界隈ではトップ5に入る人気アカウントとなっています。

その後、投資家志望者を支援する「GoingVC」に参加し、2つのベンチャーファンドでパートタイムの役割を獲得します。1つのファンドでは、リードアソシエイトに昇進するほどの成果をあげました。

こうした経験を経て、彼はスクラムベンチャーズに入社。スクラムの長年の実績、スタートアップに対しする日本市場でのサポート、そしてベイエリアでの評価を見て、入社を決めました。ここでヘルスケアとAIへの情熱を注ぐ機会を得ます。

スクラムでの貢献

Anandはすでにスクラムになくてはならない存在です。ヘルスケアスタートアップのプレシード投資を主導し、初回面談から契約締結までを担当。さらに戦略的投資家を呼び込み、その1人が同社にオフィススペースを提供するまでに至りました。既に何件もの投資の初期面談から契約締結までを担当しています。

また、彼はAIの可能性に強い確信を持ち、自らAIエージェントを構築。友人と運営するAIを活用したマーケティング代理店も想定以上に成長しています。投資と実務の両面でAIに関与し、その変革力を体感しています。

スポーツでの活躍

Anandの能力はスポーツでも発揮されました。8歳から15歳まで卓球のプロ選手として活動し、米国ジュニアオリンピックチーム入りやJoola USAからのスポンサー獲得も経験。エクアドル、スペイン、中国、カナダなど世界各国で試合を重ねました。現在はバスケットボールを愛し、レイカーズの試合を欠かさず観戦。スノーボードやスケートボードも楽しんでいます。

オフの時間も創造的で、AIエージェントの開発、マーケ代理店の運営、SNSでの発信、読書による知識の拡大に励んでいます。

起業家の資質を持ち、スタートアップの初期メンバーを通じて、あらゆる業務遂行を経験したAnandは、スクラムにとって必要不可欠な存在です。技術的知見、経営経験、投資判断力を兼ね備え、特にヘルスケアとAIの領域で変革を起こすスタートアップを見抜く力があります。レジリエンスとイノベーションに根差した彼の歩みは、VCの世界で着実に存在感を示し続けていくでしょう。

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