今週の注目5社:PC冷却チップ / 次世代卵巣治療 / AIがん細胞診断 / 金属部品マーケットプレイス / スタートアップインキュベーション
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「PC冷却チップ」Frore Systems
カテゴリ:HW/チップ
ラウンド:Series C ($80M)
主な投資家:Fidelity Management & Research Company, Addition, Alumni Ventures, Clear Ventures, MVP Ventures, Mayfield, Prosperity7 Ventures, Qualcomm Ventures, Stepstone Group
ノートPCやモバイル端末を冷却するチップの開発。
ノートPCやタブレットなどのモバイル端末を冷却し、CPUの性能を高めるチップを開発するスタートアップ。各種モバイル端末はAIアプリケーションの台頭により発生する多くの熱を冷却し本来のパフォーマンスを維持することが課題となっている。この課題に対し、コンパクトサイズかつ静音で作動する「AirJet」と呼ばれる冷却チップを搭載することで、CPUのパフォーマンスを2倍向上させることができるという。
2018年創業、本社はカリフォルニア州サンノゼ。Fidelity Management & Research Company等から今回調達した$80Mは、製造ラインの拡大に活用する予定。
2.「次世代卵巣治療」Gameto
カテゴリ:Biotechnology/フェムテック
ラウンド:Series B ($33M)
主な投資家:RA Capital Management, Two Sigma Ventures, BOLD Capital Partners, Chelsea Hirschhorn, Future Ventures, Ingeborg Investments, Insight Partners, Stacey Bendet
女性の健康向上を目的とした卵巣治療プラットフォーム。
卵巣の老化を遅らせる技術を開発するフェムテックスタートアップ。肝臓・脳・皮膚など、他の臓器と比較すると5倍早いペースで進むとされる卵巣の老化を、他の臓器の老化速度と同等程度にするための卵巣治療プラットフォームを開発中。まずは不妊治療を対象に「Fertilo」と呼ばれる体外で卵子を成熟させる技術を活用することで、体外受精や卵子凍結プロセスをこれまでのホルモン注射で必要とされる約2週間からわずか3日に短縮することを目指している。
2020年創業、本社はニューヨーク。Two Sigma Ventures等から今回調達した$33Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
3.「AIがん細胞診断」Valar Labs
カテゴリ:SaaS/ヘルスケア
ラウンド:Series A ($22M)
主な投資家:Andreessen Horowitz, DCVC, Pear VC
AIを活用したがん細胞の精密診断プラットフォーム。
データおよびAIを活用してがん細胞(腫瘍)を分析し、パーソナライズかつ確実性の高いがん治療選択のサポートを行うプラットフォームを開発するメドテックスタートアップ。まずは「Vesta」と呼ばれる膀胱がんの腫瘍をターゲットとしたAIモデル(精密検査)で治療効果を正確に予測し、医師および患者が的確な意思決定を下すサポートをしている。
2021年創業、本社はカリフォルニア州パロアルト。Andreessen Horowitz等から今回調達した$22Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
4.「金属部品マーケットプレイス」Reibus
カテゴリ:Marketplace/材料
ラウンド:Series C ($30M)
主な投資家:Canaan Partners, HSBC, Nosara Capital
金属部品のマーケットプレイス。
鉄鋼やアルミニウムなどの金属(工業用資材)を取り扱うマーケットプレイス。購入者は何百ものサプライヤーと何千もの資材リストに匿名ですぐにアクセスできる。また、取引の透明性担保やリアルタイムのデータ分析に加え、物流機能も提供することで、複雑な調達プロセスを簡素化してくれる。ユーザーは資材調達にかかるリードタイムおよび在庫コストを大幅に削減することが可能という。
2018年創業、本社はアトランタ。Canaan Partners等から今回調達した$30Mは、製品ラインナップの拡充に活用する予定。
5.「スタートアップインキュベーション」Squared Circles
カテゴリ:Service/インキュベーション
ラウンド:Series A ($40M)
主な投資家:L Catterton
消費者ブランド向けのスタートアップインキュベーション。
食品や飲料、健康、ウェルネスの分野に特化し、サイエンスに裏付けられた消費者向けブランド・製品の開発に重点を置くインキュベーションサービス。すでに皮膚治療ソリューション「Magic Molecule」や、藻類を原料とするヘルシー油「Algae Cooking Club」などをポートフォリオに持つ。今後3年間で少なくとも5つのブランドを立ち上げ、事業を拡大する予定という。
2020年創業、本社はニューヨーク。L Catterton等から今回調達した$40Mは、サービスの拡大に活用する予定。