今週の注目5社:ゲーム型採用 / ソーシャルスタディ / オンライン薬局 / モバイルバンク / 検閲回避インターネット
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「ゲーム型採用」Scoutible
[SaaS/採用] Scoutible
Seed VC-II ($5M) Great Oaks Venture Capital, Learn Capital, Mark Cuban, Mindset Ventures, New Enterprise Associates and StartX
ゲームとAIを活用した採用プラットホーム 。
Scoutibleが開発した20分のゲームを現社員が行うだけで、企業や部署にマッチする人材の特徴(問題解決能力やリスク耐性等のソフトスキル)を特定する。その内容を基に、一次面接前に候補者のスキルやカルチャーフィットを確かめることができるゲーム型採用プラットフォーム。ゲームの内容は、砂漠でサバイブする、暗殺者を阻止するといったシチュエーション。創業者はゴールドマンサックスやホワイトハウスでの職務経験を持つ。
2015年創業、本社はサンフランシスコ。NEA等から今回調達した$5Mは、新たな法人顧客の開拓に活用する予定。
2.「ソーシャルスタディ」Brainly
[Contents/教育] Brainly
Series B-II ($14M) General Catalyst, Kulczyk Investments, Naspers, Point Nine Capital and Runa Capital
生徒同士が互いに勉強を教え合うソーシャルプラットフォーム。
宿題など自分が勉強をしている際に、わからないことや聞きたいことをアプリを通じて質問すると、世界中の友達(他のユーザー)が数分以内に教えてくれる。学校以外の友達と共に励まし合いながら学ぶことができる。質問の内容は、数学や歴史、化学など多岐に渡る。ターゲットは中・高校生で、毎日10万件以上の質問がユーザーから投稿され、既に、35カ国・1億人の月間アクティブユーザーがいるとのこと。
2009年創業、本社はニューヨーク。Naspers等から今回調達した$14Mは、海外展開の加速と開発チームの増強に活用する予定。
3.「オンライン薬局」Nimble Pharmacy
[Service/メディカル] Nimble Pharmacy
Series A ($28M) DAG Ventures, First Round Capital, Khosla Ventures, Sequoia Capital and Y Combinator
薬を自宅まで無料で届けてくれるオンライン薬局。
医師が処方箋を直接Nimble Pharmacyに送付し、その内容に則した薬を指定した日時・場所まで届けてくれるサービス。これまでの様に診察後、処方箋を薬局に持って行き、長い列に並ぶ必要はない。更に即日配送かつ、配送料は無料。薬剤師への相談窓口も設けている。競合は、伝統的なWalgreensやCVS等の薬局に加え、アマゾンも薬局事業に進出すると言われている。現在、ベイエリアとサンディエゴでサービスを展開しており、既に500万回以上、患者に薬を届けている。
2014年創業、本社はメンローパーク。Sequoia Capital等から今回調達した$28Mは、西海岸以外へのサービス展開に活用する予定。
4.「モバイルバンク」Zero
[Service/金融] Zero
Series A ($8.5M) Eniac Ventures, Lightbank, Middleland Capital and New Enterprise Associates
デビットカードの様に機能するクレジットカード。
アプリとクレジットカードを活用したモバイルバンクサービス。デビットカードの機能も備えているため、アプリを通じてリアルタイムに残高確認が可能。また、年間の使用金額(例えば、年間10万ドル以上の場合は3%)に応じて1-3%のキャッシュバックも受けられる。サービスは2018年にローンチ予定だが、告知後2週間で2.5万人、これまでに合計15万人がウェイティングリストに登録しているとのこと。
2016年創業、本社はサンフランシスコ、従業員は現在15名。Eniac Ventures等から今回調達した$8.5Mは、来年のローンチに向け、引き続きサービス開発に活用する予定。
5.「検閲回避インターネット」Orchid
[Enterprise/ネットワーク] Orchid
Seed VC ($4.7M) Andreessen Horowitz, Blockchain Capital, Compound Ventures, CrunchFund, Draper Fisher Jurvetson, MetaStable Capital, Polychain Capital, Richard Muirhead, Sequoia Capital and Struck Capital
ブロックチェーンのプロトコルを活用したインターネットサービス。
現在、世界の75%以上の人々がインターネットにアクセスすることを制限されていると言われており、誰もが政府等からの検閲や監視等の制限を受けずにインターネットにアクセスできる環境作りを目指している。オープンソースのネットワークで、ユーザーの個人情報がISP等を通じて検閲・監視されるのを防ぐ。現在ステルスモードで開発中だが、2018年初にサービスをローンチ予定とのこと。
2017年創業、本社はサンフランシスコ。Sequoia CapitalやAndreessen Horowitz等から今回調達した$4.7Mは、引き続きサービス開発に活用する予定。