今週の注目5社:時間貸しホテル / クラウド銀行 / AIクラウドソーシング / チャット顧客サポート / フリーランス保険
今週も一週間の資金調達のニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「時間貸しホテル」Recharge

[Commerce/ホテル] Recharge
Seed VC ($ 2.3M) Binary Capital, ENIAC Ventures, Expansion VC, Floodgate, Scott Banister
「1分単位で高級ホテルが利用できる」サービス。
昼寝がしたい、ディナーの前にシャワーを浴びたい、子供のオムツを変えたいなどのちょっとした理由で、短時間でホテルを利用できる。1分67セント、1時間40ドルという料金設定。 HyattおよびStarwoodと提携し、San Francisco地域からサービスを開始している。
サービスは開始してからまだ10ヶ月だが、毎月倍増で成長しているという。ホテル側がユーザを評価する仕組みも導入されており、今の所大きなトラブルも起きていないという。
2.「クラウド銀行」nCino

[Enterprise/銀行] nCino
Series C ($15.7M) Insight Venture Partners
銀行向けに「ローン管理などのクラウドサービス」を提供している。
従来型の金融機関に対して、ここ数年躍進しているオンラインレンディングスタートアップなどと同様の、データを活用し、スピードの早いローン管理システムを提供している。多くの銀行はまだローンの処理に紙を使っていたり、レガシーの銀行システムを活用しているため、nCinoのシステムを導入することで大幅に効率化が図れるという。現在、 Bank of the West、SunTrust Bankなどの大手銀行を含む100の銀行がすでに活用している。
nCinoのシステムを活用すると、平均でローン残高が19%増加し、処理時間が34%短縮するという。2016年の売り上げは$24M。従業員は200名。今後、アジアやヨーロッパにも展開していくという。
3.「AIクラウドソーシング」CrowdFlower
[Enterprise/人口知能] CrowdFlower
Series D($10M) Canvas Venture Fund, Microsoft and Trinity Ventures
「人工知能とクラウドワーカーをセット」にしたサービス。
2009年に人材のクラウドソーシングサービスとしてスタートしたCrowdFlowerが、「AI x クラウドワーカー」にピボット。企業は、これまでクラウドワーカーに依頼していた業務を、Machine Learningを活用して自動で処理することができる。AIの進化により、従来クラウドワーカーがやっていた業務は、将来的には全てAIで処理できるようになってしまう可能性もあるが、現在は「AIが得意ではない領域」でクラウドワーカーを活用しているという。例えば、自動運転カー用の画像解析で、ハロウィンの仮装をした人が街の中にいる画像(画像だけを見ると人間とは見えない)の判別などは人が介在することが必要だという。
現在のクライアントは、YouTube、Pinterestなど幅広い。今回のラウンドは、AIに力を入れているMicrosoftがリードしている。
4.「チャット顧客サポート」Helpshift

[Saas/CRM] Helpshift
Series B ($23M) Intel Capital, Microsoft Ventures, Nexus Venture Partners, Salesforce Ventures, True Ventures, Visionnaire Ventures
アプリ向け「顧客サポート用のチャットシステム」ソリューション。
現在主流となりつつあるチャットによる顧客サポート窓口を構築するためのSDKを提供している。無料で利用でき、ユーザが1万人を超えると月額$185が課金される。Supercell、Flipboard、Zynga、Viacomなどの大手企業のアプリで利用されている。チャット機能だけでなく、チャット内容の分析機能、音声サポート機能なども提供しているという。
今回のラウンドは、Salesforce、MicrosoftなどCRM大手が戦略投資家として参加。Microsoftとは、Outlook向けプラグインなども開発している。
5.「フリーランス保険」Bunker

[Marketplace/保険] Bunker
Seed VC ($2M) American Family Ventures, Comcast Ventures, Hiscox Holdings and Route 66 Ventures
「フリーランス向けの保険」のマーケットプレイス。
最近急増するフリーランスワーカーを活用したサービス(米国では1099エコノミーと呼ばれる)に対応し、フリーランスおよびそれを雇用する中小企業に向けた保険のマーケットプレイスを今夏立ち上げる。フリーランスを活用したビジネスは、それに付随するリスクも大きいことをビジネスチャンスと捉え、2015年に設立された。
今回のラウンドには、保険会社のAmerican familyのCVCとHiscoxが投資に参加している。