今週の注目5社:金属3Dプリンター / 非構造化データ処理AI / 音声入力ツール / リモート認知症ケア / ラストマイル宇宙輸送
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「金属3Dプリンター」Sun Metalon
カテゴリ:HW/3Dプリンター
ラウンド:Series A ($21M)
主な投資家:Berkeley SkyDeck, D4V, Globis Capital Partners, Hite Hedge, JIC Venture Growth Investments, Scrum Ventures, Sumitomo Corporation Global Metals, University of Tokyo Edge Capital, i-nest capital
超高速の金属3Dプリンター。
従来比500倍の超高速金属3Dプリンターを開発するディープテックスタートアップ。製造工程におけるCO2排出量を大幅に削減でき、金属業界の脱炭素化への寄与が期待されている。また、独自の金属加熱技術で金属廃棄物から不純物を除去し、高純度素材として再利用する金属リサイクルのプロセスにおいて、従来よりも安価で環境負荷の少ない手法を確立している。弊社も投資する注目スタートアップ。
2021年創業、本社はマサチューセッツ州ケンブリッジ。JIC Venture Growth Investments等から今回調達した$21Mは、チームの拡大に活用する予定。
2.「非構造化データ処理AI」Reducto
カテゴリ:SaaS/データ
ラウンド:Seed VC ($8.4M)
主な投資家:First Round Capital, Andrew Ofstad, Arash Ferdowsi, BoxGroup, JJ Fliegelman, Kulveer Taggar, Liquid 2 Ventures, Ralph Goottee, Richard Aberman, SV Angel, Tracy Young, Y Combinator
非構造化データを効率的に処理するAIプラットフォーム。
PDFやスプレッドシートなどの複雑な非構造化文書を正確に読み取り、効率的に処理するAIプラットフォーム。PDFに混在するテキストやグラフ、表、画像など、複雑なレイアウトの文書を人間のように正確に読み取ることが可能。すでに数百の企業を顧客に持ち、毎日数百万ページもの文書が処理されているという。Y Combinatorが主催する2024年冬のバッチにも採択された注目スタートアップ。
2023年創業、本社はサンフランシスコ。First Round Capital等から今回調達した$8.4Mは、サービスの拡大に活用する予定。
3.「音声入力ツール」Wispr
カテゴリ:SaaS/AI
ラウンド:Series A ($12M)
主な投資家:Matt Kraning, 8VC, Alumni Ventures, New Enterprise Associates, Tim Junio
音声をベースとした生産性ツールの開発。
「Wispr Flow」と呼ばれるプラットフォームは、ユーザーが話しかけるだけでタイピングよりも3倍早く言葉をテキストに変換してくれる。100以上の言語をサポートするだけでなく、文脈を理解して自動で文章を編集してくれる機能や、周囲に人がいる場合でもコンピューターに静かに囁くことで利用可能。価格は、「Basic」プランは無料で利用でき、「Pro」は月額12ドルから。AWSが主催する「AWS Generative AI Accelerator 2024」にも選出されている。
2021年創業、本社はサンフランシスコ。New Enterprise Associates等から今回調達した$12Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
4.「リモート認知症ケア」Rippl Care
カテゴリ:Service/シニア
ラウンド:Series A ($23M)
主な投資家:Kin Ventures, 1843 Capital, ARCH Venture Partners, F-Prime Capital, General Catalyst, Google Ventures, JSL Health Capital, Mass General Brigham Ventures
リモートの認知症ケアサービス。
高齢者と家族(介護者)向けに認知症ケアのためのリモートヘルスケアサービスを提供するシニアテックスタートアップ。認知症患者が自宅で健康に過ごし、救急外来や病院に行かずに自宅で療養できる環境整備を目指している。リモートのカウンセリングセッションなど、カスタマイズされたケアプランをもとに治療や投薬管理を含む継続的なサポートを自宅にいながら受けられるという。現在、ワシントン、テキサス、イリノイ、ミズーリ州でサービスを提供している。
2021年創業、本社はワシントン州シアトル。Kin Ventures等から今回調達した$23Mは、サービスエリアならびにパートナーシップの拡大に活用する予定。
5.「ラストマイル宇宙輸送」Impulse Space
カテゴリ:HW/宇宙
ラウンド:Series B ($150M)
主な投資家:Founders Fund, 137 Ventures, Airbus Ventures, Alumni Ventures, Balerion Space Ventures, DCVC, Elysium Capital Management, First Principles Group, Island Green Capital Management, Lux Capital, Overmatch Ventures, RTX Ventures, Spring Tide Capital, Tamarack Global, Trousdale Ventures
宇宙におけるラストマイル輸送サービス。
軌道間の輸送を可能とする宇宙物流サービスを展開するスペーステックスタートアップ。5トン以上のペイロードをLEO(低軌道)からGEO(静止軌道)に24時間以内に輸送する能力を持つ宇宙船「Helios」などを現在開発中。また、2027年のローンチを目指す、静止軌道に向けた小型衛星のライドシェアプログラムも発表している。SpaceXの創業メンバーの一人であるTom Muellerが立ち上げたことでも注目されている。
2021年創業、本社はカリフォルニア州レドンドビーチ。Founders Fund等から今回調達した$150Mは、チームの拡大および開発費用に活用する予定。