今週の注目5社:家電修理 / 癌データ / 食品倉庫IoT / 在宅透析 / AR用レンズ
今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。
1.「家電修理」Puls Technologies
[Marketplace/修理] Puls Technologies
Series C ($50M) Hamilton Lane Advisors, Hanaco Venture Capital, Red Dot Capital Partners, Samsung NEXT, Sequoia Capital, Temasek Holdings and Viola Ventures
家電のセットアップ・修理のためのマッチングサービス。
スマホやタブレットの修理など、依頼内容に応じて適した技術者をマッチングし、同日中に自宅まで派遣してくれるオンデマンドサービス。スマホ修理($69〜)や、AmazonのAlexaなどのスマートホームデバイスのセットアップ($79〜)、セキュリティシステムなど、家中のIoT機器(約200製品)が対象。50都市に2,500人の技術者を抱えており、年間$70,000以上稼ぐ技術者もいるという。
2015年創業、本社はサンフランシスコ。Temasek Holdings等から今回調達した$50Mは、海外展開に活用する予定。
2.「癌データ」Tempus Labs
[Biotechnology/分析] Tempus Labs
Series E ($110M) Baillie Gifford & Co., New Enterprise Associates, Revolution and T. Rowe Price
がん治療のためのデータプラットフォーム。
がん患者にパーソナライズされた治療法を提供するために、がん患者の分子データや臨床データを収集・統合するデータプラットフォーム。全米の病院からがん細胞や治療の臨床データを入手し、データベースを構築している。これまでに250の病院と提携し、200万件の臨床データを集めているという。既に評価額は$2Bとも言われているユニコーン企業。
Grouponの共同創業者Eric Lefkofsky氏が2015年に創業、本社はシカゴ。New Enterprise Associates等から今回調達した$110Mは、データのカテゴリを心臓病や糖尿病などの新たな分野に広げる資金に活用する予定。
3.「食品倉庫IoT」TeleSense
[SaaS/農業] TeleSense
Series A ($6.5M) Congruent Ventures, Finistere Ventures, Maersk Growth, Plug and Play Ventures, Rabo Food & Agri Innovation Fund, Radicle and Trailhead Capital
穀物・食品倉庫向けのモニタリングプラットフォーム。
穀物倉庫や、食品の冷蔵貯蔵庫などの「湿度」「温度」「有毒ガス」などをモニタリングし、食物の腐敗を防いでくれるプラットフォーム。ワイヤレスのセンサーデバイスとアプリを使ってモニタリングする仕組み。ダッシュボード上で常に倉庫の状態を監視できる上、腐敗につながる異常を検知した際には、SMSやメールでリアルタイムに通知してくれる。これまで$3Mに値する穀物・食品の腐敗を防いでいるという。
2013年創業、本社はサニーベール(カリフォルニア州)。Finistere Ventures等から今回調達した$6.5Mは、引き続きサービスの拡大に活用する予定。
4.「在宅透析」Outset Medical
[HW/医療] Outset Medical
Series D ($132M) Baxter Ventures, Fidelity Investments, Mubadala Investment Co, Partner Fund Management, Perceptive Advisors, T. Rowe Price and Warburg Pincus
自宅で透析治療が受けられる医療機器。
これまで週に数回(一回あたり数時間)の通院を要した透析治療が自宅で受けられる。タッチスクリーン上で操作でき、コンセントを挿して水を入れるだけで、治療中に透析液をリアルタイムで生成してくれる。収集した治療データはクラウド上で共有・分析される仕組み。サイズは37 インチと従来の装置よりも小型。現在、臨床試験中だが、透析患者は世界中に200万人以上いると言われている。
2003年創業、本社はサンノゼ(カリフォルニア州)。Mubadala Investment等から今回調達した$132Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
5.「AR用レンズ」Akonia Holographics
[HW/AR] Akonia Holographics
NA by Apple
ARグラス用のレンズ開発。
フルカラーかつ広視野に画像を表示可能な、薄くて透明なガラスレンズを開発中。ARグラス用のディスプレイで、ホログラフィックや材料関連の特許を200件以上取得しているという。以前からアップルが2020年にARグラスを発売すると報道されているが、今回の買収により、今後の動向に注目が集まる。
2012年創業、本社はロングモント(コロラド州)。今回Appleに買収された。買収額は非公表。