今週の注目5社:AI弁護士 / エンジニア養成所 / セキュリティ格付 / スマート照明 / 地図プラットフォーム

October 23, 2017 今週の注目スタートアップ

今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。

1.「AI弁護士」ROSS Intelligence

2017-10-2201

[SaaS/法務] ROSS Intelligence
Series A ($8.7M) Comcast Ventures, iNovia Capital, NextLaw Labs, Real Ventures, Undisclosed Angel Investors and Y Combinator

AIを活用した判例検索システム。

IBMの人工知能、Watsonをベースにつくられた弁護士向けシステム。キーワード検索の精度を向上させることで、これまで人間が1週間かかっていた判例検索などの弁護士の業務を2-3時間で終わらせることができる。更に従来のデファクトであったLexisNexisのシステムよりも、30%正確ということ。口頭での質問にも対応しており、関連情報を正確に回答してくれる。2016年に米大手法律事務所のBaker&Hostetlerに採用され、20以上の法律事務所と連携してワークフロー及び検索結果の改善に従事している。現在、大手法律事務所を対象に破産法や知財法に関する製品を提供しているが、今後は中小企業もターゲットに労働法に関する製品も提供予定。

トロント大学出身の3名によって2014年創業、本社はパロアルト。iNovia Capital等から今回調達した$8.7Mは、引き続き製品開発に活用する予定。

2.「エンジニア養成所」Andela

2017-10-2205

[Marketplace/採用] Andela
Series C ($40M) Amplo, Chan Zuckerberg Initiative, CRE Venture Capital, DBL Partners, Google Ventures, Salesforce Ventures, Spark Capital and TLcom Capital

アフリカのトップエンジニア養成サービス。

エンジニア不足を補うために、12億人の内、60%が35歳以下の若者であるアフリカでエンジニアを養成し、世界中のトップ企業に供給しようとするサービス。Andelaの養成対象者となるのは非常に狭き門で、これまで7万人の応募者の内、合格したのは0.7%に当たる500人のみ。ナイジェリア、ケニア、ウガンダの養成所で研修を受け、トップ企業のプロジェクトに派遣される仕組み。派遣先は、Mastercard LabsやMicrosoft、IBMなど。FacebookのMark Zuckerberg氏とその妻であるPriscilla Chan氏の慈善団体Chan Zuckerberg Initiative(CZI)やGoogle Venturesも投資しており、注目を集めている。

2014年創業、本社はニューヨーク。CRE Venture Capital等から今回調達した$40Mは、アフリカでの拠点拡大に活用する予定。

3.「セキュリティ格付」SecurityScorecard

2017-10-2204

[Enterprise/セキュリティ] SecurityScorecard
Series C ($27.5M) AXA Strategic Ventures, Intel Capital, Moody’s Corporation and Nokia Growth Partners

企業のサイバーセキュリティを分析・評価・モニタリングしてくれるサービス。

企業システムを分析し、セキュリティ対策が万全かA-Fのランクで格付け。ハッカーの視点から外部システムも含めたクラウドシステムの脆弱性などを診断してくれる。また、10の主要リスク要因を洗い出し、対応状況をモニタリングしてくれる。既に数百社以上の顧客が継続的にサービスを利用しており、顧客数・売上高・従業員数共に、昨年の倍以上に成長。

2013年創業、本社はニューヨーク。Nokia Growth Partners等から今回調達した$27.5Mは、新製品開発に活用する予定。

4.「スマート照明」Brilliant

2017-10-2203

[HW/照明] Brilliant
Series A ($21M) August Capital, Box Group, Miramar Venture Partners and Stanford-StartX Fund

照明や空調などをコントロールできるスマートホームパネル。

タッチか音声で、照明、音楽、空調などの一般的なスマートホームデバイスを簡単に操作することが可能。 また、Amazon Alexaが実装されているため、どの部屋からでも天気予報を確認したり、ショッピングカートにアイテムを追加することもできるようになる。現状の照明スイッチと取り替えるだけなので5-10分で設置可能。プレオーダー(価格は$199)は19日で完売しており、2017年末から2018年初にかけて配送予定。

2015年創業、本社はサンマテオ。August Capital等から今回調達した$21Mは、製品開発に加え、小売店などの販売チャネルの拡大に活用する予定。

5.「地図プラットフォーム」MapBox

2017-10-2202

[SaaS/デベロッパー] MapBox
Series C ($164M) DBL Partners, DFJ Growth Fund, Foundry Group, SoftBank Group and Thrive Capital

デベロッパー向け地図プラットフォーム。

Google、Hereなどと並ぶ地図システム。Airbnb、Instacart、The Weather Channel、Lonely Planet、Metromileといったアプリの地図機能に採用されており、3.5億人以上がMapboxの機能を利用しているとのこと。昨年、自動運転用のSDKであるMapbox Driveをローンチしており、今後は位置情報機能を活用し、カーナビや自動運転システムの開発に注力していくとのこと。また、長期的な目線でVRやARにも投資する予定。Softbank Vision Fundが今回のラウンドのリードインベスターであることでも注目されている。

2010年創業、本社はワシントン。Softbank Vision Fund等から今回調達した$164Mは、自動運転システムの開発とアジア展開に活用する予定。

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