今週の注目5社:持続可能航空燃料 / AI旅行コンシェルジュ / ベビー用品再販マーケットプレイス / リチウムイオン電池安全添加剤 / 遺伝子編集農作物
一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、注目の米国スタートアップを5社厳選して紹介します。バックナンバーはこちら。
1.「持続可能航空燃料」Air Company
カテゴリ:HW/サスティナビリティ
ラウンド:Series B ($69M)
主な投資家:Avfuel, Alaska Air Group, Carbon Direct Capital, Connecticut Innovations, Duncan Aviation, In-Q-Tel, JSSI, JetBlue Technology Ventures, Lowercarbon Capital, Toyota Ventures
大気中の二酸化炭素を活用した持続可能な航空燃料の開発。
回収した二酸化炭素と水素から持続可能な航空燃料(SAF)を製造するクリーンテックスタートアップ。工場などで発生し、大気中に放出されるはずの二酸化炭素を活用することで温室効果ガスの排出を大幅に削減することが可能。SAFだけでなく、カーボンネガティブなフレグランス「AIR Eau de Parfum」やアルコール飲料「AIR Vodka」をはじめとする消費者向けの製品も開発している。JetBlueなどの航空会社に加え、NASAや国防総省とも提携して開発を進めているという。
2019年創業、本社はニューヨーク。Avfuel等から今回調達した$69Mは、チームの拡大および研究開発に活用する予定。
2.「AI旅行コンシェルジュ」Mindtrip
カテゴリ:SaaS/旅行
ラウンド:Series A ($12M)
主な投資家:Costanoa Ventures, Forerunner Ventures
AIを活用した旅行コンシェルジュサービス。
AIと機械学習を駆使し、旅行者の好みに合わせてカスタマイズされた旅行体験を提供するトラベルテックスタートアップ。当プラットフォームは、ユーザーの行きたい場所や興味、予算、制約条件などを考慮し、パーソナライズされた旅行プランを提供してくれる。加えて、フライトやホテル、レストランなどの予約も簡単にできるだけでなく、一緒に旅行するメンバーを招待し、グループチャットができる機能なども提供する。
2023年創業、本社はサンフランシスコ。Forerunner Ventures等から今回調達した$12Mは、引き続き製品開発に活用する予定。
3.「ベビー用品再販マーケットプレイス」Rebelstork
カテゴリ:Marketplace/子供用品
ラウンド:Series A-II ($18M)
主な投資家:Maveron, Serena Ventures, Golden Ventures, Marcy Venture Partners
ベビー用品に特化した再販マーケットプレイス。
過剰在庫や返品されたベビー用品をディスカウントして再販するマーケットプレイスを展開するリテールテックスタートアップ。全ての商品をRebelstorkが独自に検品した上で再販するという。すでにHudson’s Bay、Million Dollar Baby、BabyBjörn、4moms、Targetなどを含む2500以上のブランドと過剰在庫や返品を処理するためのパートナーシップ契約を結んでいる。セリーナ・ウィリアムズのVC「Serena Ventures」も出資者に名を連ねている。
2019年創業、本社はテネシー州レバノン。Maveron等から今回調達した$18Mは、チームの拡大に活用する予定。
4.「リチウムイオン電池安全添加剤」Safire
カテゴリ:Biotechnology/材料
ラウンド:Seed VC ($8M)
主な投資家:Canaan Partners, Ajinomoto, Automotive Ventures, CarLingo, Correlation Ventures, HL Ventures, MaC Venture Capital, Outpost Ventures, Potomac Angel Capital
リチウムイオン電池の安全性を向上させる添加剤。
リチウムイオン電池の安全性を向上させる特許取得済みの添加剤を開発するマテリアルテックスタートアップ。リチウムイオン電池に予め同社の「安全耐衝撃電解液(SAFIRE)」を組み込むことで、電気自動車(EV)の事故による衝突や弾道による衝撃に対して瞬時に液体から固体に変化し、バッテリーの発火や爆発を防ぐことができる。また、固体に変化することで防弾機能も同時に提供するという。
2020年創業、本社はバージニア州ノックスビル。Canaan Partners等から今回調達した$8Mは、引き続き開発費用に活用する予定。
5.「遺伝子編集農作物」Pairwise
カテゴリ:Biotechnology/アグリテック
ラウンド:Series C ($40M)
主な投資家:Deerfield Management, Aliment Capital, Corteva Agriscience, Leaps by Bayer
遺伝子編集技術を活用した農作物の開発。
遺伝子編集技術(CRISPR)を活用した品種改良で、機能性や栄養価の向上、気候変動に強いさまざまな農作物を開発するアグリテックスタートアップ。栄養価を維持しながら苦味を抑えたカラシナの開発を昨年成功させており、直近では世界初の種なしブラックベリーの開発に成功したことでも注目されている。農業大手のバイエルと提携してトウモロコシや大豆、小麦などの研究開発を進めている。
2017年創業、本社はノースカロライナ州ダーラム。Deerfield Management等から今回調達した$40Mは、製品ラインナップの拡充に活用する予定。