今週の注目5社:ロボット次世代AI / 喘息モニタリングIoT / 小売キャッシュバック / レストランPOS / VRコンテンツ

August 7, 2017 今週の注目スタートアップ

今週も一週間の資金調達およびM&Aのニュースから、面白いシリコンバレーのスタートアップを5つピックアップして紹介します。

1.「ロボット次世代AI」Vicarious System

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[Service/AI] Vicarious Systems
Series C ($50M) Khosla Ventures

ロボット用の次世代汎用AIを開発。

ロボットがより柔軟に変化へ対応できるような汎用AIの商品化を目指している。従来型のAIでは様々なパターンに対応するために、個別に詳細なプログラムを作成するか、パターン毎にトレーニングを追加で実施する必要があった。Vicarious Systemでは、物事の因果関係を理解することで多少の変化があってもそれに対応できる人間特有のメカニズムに着目し、”schema network”と呼ばれるモデルを開発。これにより、追加のトレーニングをせずともより多くの変化に柔軟に対応できるようになるという。現時点の売上高や顧客名などは公表していないが、Elon Musk、Mark Zuckerberg、Jeff Bezos等をはじめとする多くの著名起業家から資金を調達。過去に応答者がロボットでないことをチェックするCapthaを破ったこともある。

2011年創業、本社はカリフォルニア州。今回Khosla Venturesのみが出資に参画。調達した$50Mは、研究チームの拡大に活用する予定。

2.「喘息モニタリングIoT」Tueo Health

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[Service/ヘルスケア] Tueo Health
Seed VC ($1.1M) Launchpad Digital Health and Plug and Play Ventures

小児喘息患者の健康状態をモニタリングするためのIoTソリューション。

マットレスにセンサーを設置することで、就寝中の様々な健康に関する指標を取得し自動でクラウドにデータを送信、健康状態を分析してくれる。データから喘息の発作の兆候が見られたら、専門家がユーザに直接コンタクトをとり適切な対処方法を伝えることで発作を防げるように働きかける。実証実験では、当ソリューションにより、喘息が発症する1~3日前に検知できたとのこと。米国における小児喘息患者は多く、700万人に上る。当初は子供にターゲットを絞り、将来的には大人へと対象を拡げる考え。

2015年創業、本社はカリフォルニア州。今回Plug and Play Ventures等から調達した$1.1Mは、9月開始予定の治験資金として活用する予定。

3.「小売キャッシュバック」Ibotta

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[App/ショッピング] Ibotta
Series C – II (N/A) GGV Capital, Harbor Spring Capital, Haystack Partners, Jim Clark

加盟している店舗での特定の商品の購入でキャッシュバックが受けられるアプリ。

単にクーポンを発行するだけのクーポンサイトとは異なり、キャシュバックを受けるために掲載ブランドのクイズに答えたり、関連するビデオを見たりする必要があり、買い物客と掲載ブランドがより多くの接点を持つように設計されている。買い物客がいずれかに応えると、通常約$0.25から$1がリベートとして受け取れ、後に買い物客がリアル店舗やオンラインショッピングサイトで買い物をするとキャッシュバックされる。複雑に見えるが、自分の好みや買い物履歴に基づき関連する割引内容を表示してくるため、自分でクーポンを探すことに比べるとよほど手間がかからないという。提携先は308社。Amazon、Walmart、Targetなどのほぼすべての主要小売を加盟店とするほか、UberやHotels.comなどとも提携済み。すでに2,300万ダウンロードを達成しており、月間300万人が利用している。

2012年創業。本社はデンバー。2017年末までに新たに約100名弱を雇用予定。

4.「レストランPOS」Toast

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[SaaS/外食] Toast
Series C ($101M) Bessemer Venture Partners, Generation Investment Management and Lead Edge Capital

レストラン業界に特化したオールインワンのクラウドオペレーションシステム。

POSを中心に、オーダー受注や在庫管理、従業員勤務管理やロイヤルティプログラムの運営等レストランを経営するにあたって必要な業務を一括して管理してくれる。クラウドベースでPOSシステムを提供する会社は他にも存在するが、レストラン業界に特化することで差別化を図る。クラウドベースで必要な機能を一括して提供することで導入コストおよび手間を軽減、システム活用の促進を狙う。米国49州のレストランで既に導入され、2016年時点で導入顧客数は100超、取引高は$2Bを超える。2017年にForbesによる世界のトップ100クラウドアプリに選出。

2011年創業、本社はボストン。元米国副大統領のアルゴアが代表を務めるGeneration Investment Managementが出資に参画。今回調達した$101Mは、さらなるビジネス拡大を目指し、オンラインオーダーやテーブル決済などの機能拡張および人員の拡充等に活用する予定。

5.「VRコンテンツ」Within

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[App/VR] Within
Series B ($40M) 21st Century Fox, Andreessen Horowitz, Emerson Collective, Macro Ventures, Raine Ventures, Temasek Holdings and WPP

VR/AR用の映像コンテンツ。

ゲーム用のコンテンツが主流のVR業界において、あえて物語を伝えること(ストーリーテリング)に主眼を置く。世界トップといわれるVRディレクターのクリス・ミルク氏と元Googleのアーロン・コブリン氏が共同で設立、決め手に欠けるといわれるVR/ARコンテンツ業界のHBOを目指している。ミルク氏の手掛けた作品はすでにニューヨークの近代美術館に展示されているほど評価が高い。エンタメ分野に加え、国連やNY Times等と提携し時事問題や社会的意味合いの強いコンテンツを作成。携帯アプリやOculus、HTCなどのVR HMD向けにコンテンツを配信しており現在無料で視聴可能。

2014年創業、本社はロサンゼルス。今回21st Century Fox等から調達した$40MはARコンテンツの開発に活用する予定。

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